黒 猫




くろにシロと名前をつけた
試しに
「くろ」と呼んでみた

まるくなったまま
名前が違うとでも言いたげに
鼻をピクリとさせただけの無関心

試しに
「シロ」と呼んでみた

四角いまま
名前も知らないのかと言いたげに
障子紙をパタパタさせて

名前が通り過ぎていった

                     by tamago 










 
わたしが時々
そっと覗いていたこと
あなたはたぶん知らないでしょう
今夜わたしは
あなたの心盗んでいきます

                     by ルドルフ










真っ白
きっちり
直線で
直角

障壁は
“秩序”という名の
上っ面

開ける勇気がないのなら
いっそ
拳でぶち破って

ホラ こんなにも
真っ赤な血が流れているのよ
見て こんなにも
真っ黒な影を背負っているのよ

優美な曲線で
カタチ作られた猫が一匹
誰も知らない座敷牢
魔女の帰りを待っている

                      by みすまる











肌を重ねて一つになれど
所詮一夜の散り花
紅灯篭の
寝屋に抱かれて
華やかに咲かせましょうぞ
さあ、おは入りなさいませ
主がお待ちでございます

                      by 海









一夜限りの散り花は
紅く烈しく乱れ咲く
散り際に
かぐわしき
匂い放ちて

                      by ルドルフ










いつもあなたは少しだけを僕にくれる
いいわよ、と言うときあなたは
瞳を少しうるませて唇を舐める
至福のときはほんのわずか
あなたはすぐに僕を投げだして
ひとりだけ深みへはまってゆく
ただ横で見ているだけしか許されずに
僕がねだりでもしようものなら
あなたは僕を部屋から追い出してしまう
わかっている あなたが望むものは
決してあなたを抱かないあの人だけ
その名を吐息につぶやきながら
あなたは閉じたまぶたの裏で夢見る
報われることなどないとわかっているのに
甘く呼ぶ声に僕はどうしても逆らえない
残酷な僕の飼い主はあなただけだ

                       by 一筆