人魚
サファイア
ねぇ僕の人魚姫
サファイヤが溶けるような
この夜に
二人溶けてしまおう
寒くないかい
寒くないわ
ねぇ僕のどこが好き
わからないけどみんな好き
ねぇ僕たちどうなるんだろう
なるようになるわ
そうだね
サファイアが溶けるような夜に
二人溶けていくんだね
ねぇ僕の人魚姫
by 貴水水海
渚へ
今夜もまたここに来て
朝が来るまで歌を聴いている
君がうたう哀の歌
星を濡らす
砂を揺らす
深い深い哀の歌
君は何処から来て
そして何処へ還るの
波のよせる数だけ
僕は君に恋をして
波のひいてゆく数だけ
そして失恋をする
君が見ているのは
たった一つの月
届かない想い と
届かない歌声
明日の夜もまたここに来て
僕は君の哀の歌を
飽きることなく聴くのだろう
by ルナク
穏やかな日々
報われない努力は
しない
もう誰も
愛さない
そんな想いは
泡みたいに
いつか消えてしまうから
死ぬほど足が痛いのに
踊ったりなんかしない
それともあなたは
痛い足で踊らなくてもいいよって
言ってくれるの?
そんなことないでしょ
踊れない女なんて嫌なんでしょ
男の人は勝手ね
だからもう
わたしは
無理はしないの
そう決めたの
痛い足で踊ったり
魔女にお願いしたり
もうそんなことはたくさん
わたしは誰も
愛さない
そして静かに暮らすの
そのほうが
幸せよ
by チアーヌ
「レクイエム」
冬の海では
真夜中になると
人魚が子守歌を歌います
冷たい星空の下
子守歌の悲しい響きが
広い海を漂います
瑠璃色の海の
一番深いところに
海に消えた人々の魂が
手を伸べて助けを待っていることを
人魚は知っている
歌声にひかれて
夜空の星が一つ
暗い波間に落ちた・・・
by 落合朱美
苦しみを微笑みに変えて
痛みを喜びに変えて
逝ってしまった妹よ
この髪を断って
得たものは
憎しみの刃(やいば)
その性は嫉妬と憎悪
〜ねぇ 私は 本当に お前を愛していたろうか?〜
重い 重い 想い を
母なる海へと投げ捨てて
お前は 風となる
小鳥のようにさえずるがいい
明るい光の波を縫って
優しい風で癒しておくれ
もうすぐ 日が昇る
by みすまる
人魚の涙
人魚の涙は真珠に変わると知って
あなたの眼からは輝きが失われた
真珠のただ一粒が欲しさに
日ごと夜ごとに責め苛む
あなたの変わりようが悲しくて
わたしはただ涙をこぼす
口のきけないわたしには
あなたに訴えるすべがない
海から遠い密室の水槽で
あなたはわたしを飼い続ける
わたしの信じた優しいひとの
面影はもうどこにもない
人魚は本当に悲しいときにしか
涙の粒をこぼさないのに
あなたは真珠とひきかえに
なくしてはいけないものを失った
わたしはそれが悲しくて
ほろほろとただ涙をこぼす
by 一筆
恋は現実
夜が明ける前に 帰らなくては・・・
また この場所に来てしまった私
人魚が美しいなんておとぎ話の中だけ
人間と同じ ひと握りの存在なのに
平凡な私は あの人に恋して
美しくない私に あの人は薄笑い
恋はおとぎ話じゃなく 残酷な現実の世界
冷たく蔑まれて傷ついた私に
追い打ちをかけるように
いつからか美しいひと
あの人の隣に寄り添っていた
人は恋を忘れるために髪を切ると聞いて
月夜の晩に真似してみたの
けれど この思いは募るだけ・・・
もう 遇えるはずもないのに
また 私はここに来てしまう
あの人と出会った季節の
この海 この場所に
涸れた瞳で見ているのは あの人の幻
慣れない熱に干上がった
私は愚かで滑稽な人魚・・・
by 甘井サブレ
君の海が見当たらないから
どこへも行けない
私の海が見つからないから
どこへも行けない
君の名前を呼んでも呼んでも
辿りつけない
君の声が聴こえないから
辿りつけない
月のない海は暗いです
月のない海は深いです
by 海神いさな。