柔道整体 「名倉堂」
バレーボールをしていると、やっぱり怪我をすることもある。
そんな時、私は「名倉堂」に行く。
そこは、捻挫、骨折、肩こり、腰痛などの人が来るところである。
だから、当然私のようにスポーツをやってる人と、お年寄りが多い。
Eさんは、細くて小さな、品の良さそうなおばあちゃんだった。
私が膝の靭帯を伸ばしてしまった時、いつも一緒の時間に来院していた。
「名倉堂」の先生は、Eさんの孫ぐらいの歳だ。
いつも「Eさ〜ん」と呼ばれると、「お世話になります。よろしくお願いします。」と、若い先生にも
丁寧なEさん。
しかし、少々オツムはお花畑状態のようだった。
とてもとても上品にボケる。
(耳も遠いのでかなり大きな声で)
「Eさん、今日は月が変ったから保険証いるんだよ?忘れたなら、明日持ってきてね。」と先生。
「あら、先週持ってきたでしょう?」
「違うよ。今日から月が変ったから、持ってきてっていってるんだよ。第一、この前持ってきたのは、
先週じゃあないよォ。」
「あらあ、・・・昨日はお金忘れたから、じゃあ今日二回分払わないとネエ・・・。」
「そうじゃなくて・・・昨日はお金もらってるから・・・。今日は今日の分だけでいいんだよ。
俺が言ってるのは、保険証のこと・・・」
・・・・と、こんな具合。
耳の遠いEさんとの会話は、大声になるので、他の人にも全部聞こえてしまい、待っている人まで皆笑ってしまう。
ある日、私が患部に電気を当てていると、隣に来たEさんが話しかけてきた。
E 「怪我?どうなさったの?」
さ 「あ、バレーボールでちょっと・・・。」
E 「あらあ、大変ネエ。あれは、けっこう怪我も多いんでしょうねぇ。」
さ 「ええ、まあそうですネエ。」
E 「そう・・・可哀想に。・・・中学三年生?二年生?」
さ 「えっ・・・いやあ、ママさんバレーなんですよ。主婦ですから。」
E 「まあ、そうなの。」
さ 「そうなんです。近所の方たちとやってるんです。」
このとき、どう若く見ても、中学生は言いすぎだとは思ったが、お歳のEさんから見たら
そんなもんに見えるのかなと思った。
E 「頑張ってくださいねえ。」
さ 「ハイ、ありがとうございます。」
E 「ねえ・・・。それで、どこの中学?(ここで「Eさ〜ん」と先生の声)・・あ、あら、私の番だわ。
それでは、ごきげんよう。」そう言うとスタスタ行ってしまったEさん。
(あの、、、!!)
私に誤解を解く時間は無かった。
まあ、わざわざ間違いを正すほどのことでもなかったし。
しかし、私の言った「ママさんバレー」は、一体どこへ行っちゃったのか・・・。
そこらへんに落っこちてるんだろうか・・・。
それなら拾ってEさんの頭にペタッと貼り付けたかった・・・。
私たちの会話は、周りにも全部聞こえていてみんなに笑われてしまった・・・。