組事務所関係者・・・?
昔の話だが、思い出したので書いてみよう。
ぐりとぐらがまだ幼児だった頃、うちのすぐそばには『○×興業』という、いわゆるソッチ系の事務所があった。
幼稚園の送り迎えの時には、そこの前を通る。
この事務所には、ラッキーという名前の縫いぐるみにしか見えないような、可愛い仔犬が飼われていた。
それなのに、だんだん大きくなってくると、組の人たちは餌だけあげて散歩には行ってやらないようだった。
ラッキーは私たち親子が通る道端に繋がれていたので、私は勝手にそぅっと鎖をはずして、散歩してやることにした。
散歩といっても、幼稚園までの送り迎えのついでだったが。
事務所内の人に気付かれないように(ラッキーがいない間に外に出てくれば、すぐわかることなのだが。)、そぅっとそぅっと。
その日は夏の暑い日で、事務所の窓が全開になっていた。
私は、買い物に行く為に事務所の前を通った。
そのとき中から、
「・・・ああ、近所のなぁ。」
「うん、いつもラッキーを散歩に連れて行ってくれてるよなぁ・・・。」
という、会話が聞こえてきた・・・!!
「バレテル・・・。」
私は、ちょっと焦った。
かなりそぅっとしていたつもりだったのだが、なぜか面がワレテイル・・・。
こうなると、単なる好意ではなく、散歩してやることが義務のように感じられた。
途中でやめるわけにはイカナイ・・・。
さて、ぐりが小学校に入学する時、学習机を購入したが、うちの階段はとっても狭い。
それで、とおりに面した窓から運び込むことになるかもしれないということだった。
机が届く日、よりにもよってうちの前に路上駐車している車が・・・。
「邪魔じゃん・・・。」私は、その黒い車を眺めて思った。
時々○×興業の関係者の車が、近所に路上駐車していたので、きっとこの車もアソコの人に違いない・・・。
しばらく迷ったが、「ココはラッキーの件もあることだし、強気になっても大丈夫だろう・・・。」
私は○×興業のドアを叩いた。
「あのぅ・・・うちの前に停まっている車、お宅のじゃあありません?どかして欲しいんですけど・・・。」
う〜ん、勇気あるじゃないの。私ったら。
「えぇ〜??・・・お〜い、表の通りに誰か車とめてるかぁ〜〜??」
ランニング姿から、派手な絵ガラが見えているおじさんが、事務所の中に向かって叫んだ。
「・・・誰も停めてねぇ〜みたいだなぁ。」
「あ・・・じゃあ、いいです。すいませ・・・」
「あぁ〜・・・アレかぁ・・・邪魔だよなぁ・・・よし!俺が近所に聞いてやるよ!!」
「ええ〜〜〜っ!!!!・・・いや、それは・・・結構ですから・・・。」
焦りまくる私をよそに、おじさんは片っ端から近所の家に聞き始めた。派手な絵ガラを、見せたまま・・・。
「あ・・・ありがとうございました・・・。もう・・・もう、いいですから・・・。」
そう言っている私の前を、どんどん歩いていく・・・。
これって、ヤバクナイカ・・・??
絵ガラのおじさんを手先に使ってるみたいで・・・。
どう見たってヤバイだろう・・・。
一通り聞きまくってくれた後で、結局は何処の車かわからなかったが、もしかしたらビビって「うちのです。」って
言えなかったんかも知れない。
その後、○×興業は何処かへ引っ越していった。
ラッキーも一緒にいなくなった。
私は、絵ガラのおじさんのことを忘れかかっていた。
ある日、一人のおじさんがうちにやってきた。
なんと、それは刑事さん・・・。
引っ越した○×興業のことを聞いてまわっているという。(何かやったんだろうか・・・。)
刑 「ここでの様子はどうでしたか?」
さ 「どうといわれても・・・。時々車が何台も来てることとか、ありましたけど・・・。」
刑 「・・・そうですか。・・・で、○×は、よく来てましたか?」
私は、ちょっと考えたが、
さ 「・・・さぁ・・・。いろんな人がきてましたけど、どれが○×だかわかりませんから・・・。」
そりゃあ、そうだろ!!名札つけてるわけじゃないモン。
刑 「あっ!!そりゃそうだ・・・。・・・じゃ、ありがとうございました・・・。」
刑事さんは納得して、帰っていった。
もし、「ああ・・・よく来てましたねえ・・・。」などと、私が答えられたとしたら、なぜそんなに詳しいのか、
ソッチの方が問題だろう・・・。今思うと、彼らは近所ではごく善良なただの人達だった。(よそでは知らないが・・・。)
ラッキーも、気のいい犬だったし・・・。
しかしあの時、何で刑事さんはうちに聞き込みに来たんだろうか・・・。
まさか・・・「あそこの奥さんは、仲がいいらしい。関わりがあるんじゃ・・・?」なんて、噂が流れていたんじゃあないだろうな。
(ちょっと、心当たりが無いともいえない、私だった・・・。)