ラブホテルなんだから!!

ぐりとぐらが、まだかなり小さかった頃。
親子4人で、遊びに出かけた。
何の計画性も無く、フラッと出かけたのだが・・・。

思いのほか遅くなってしまったので、今日はどこかに泊まろうということになった。
連休だったので。
何処かしら、空いてて泊まれるだろうと。

しかし・・・甘かった。
どういうわけかどこもかしこも満室なのである。
このまま車の中に泊まるのか・・・??
子どもはもう眠いし、親も疲れている。


ふと目に留まった駅前のピンク色でキンキラキンのホテル。
・・・子連れでも泊めてくれるだろうか・・・??
鉄人が交渉に行った。−−−−OK!!

ホテルは年取った夫婦でやっているようだった。
同情してくれたのだろう。



部屋に入ると、真ん中にダブルベッド。
我が家は畳に布団の生活だったので、ベッドが珍しい子どもたち。
近くのコンビニで紳士用のTシャツを二枚買い、子どもの寝巻きにした。
ぐりとぐらはもう眠いが、珍しい室内に興味津々だ。
早く寝かさなくちゃ。

「ママ〜!!百円ちょうだい!!」
なぜ??・・・と、見ると小さな妖しい自動販売機を指差している。
ゲゲッ!!それはジュースは出てこないのよ・・・。
やっと諦めさせ、冷蔵庫の中のジュースを飲ませる。

子どもは眠くても、大人にはまだ早い。
鉄人が部屋の電気を消して、テレビをつけた。
お客へのサービスなのか、テレビの画面がやたらにデカイ。
小さな部屋中明るくなってしまう。
「ね・・・ねぇ・・・。明るくって眠れないよ・・・。テレビは諦めて・・・。」と、私。

「しょうがね〜な〜。じゃあ、俺風呂はいろ・・・っと。」
鉄人がテレビを消して、風呂に入ろうとした。
「!!!!」
部屋と風呂を隔てる壁は、なんと一面ガラス張り。
風呂の電気をつけると、またまた部屋中明るいのだ。
「わぁぁぁ・・・風呂もだめだぁ〜〜〜・・・。」
鉄人は風呂も諦め、4人でもう寝ることにした。

ダブルベッドも、4人ではとても狭い。
子どもが落ちないように、両端に親が寝て間に二人の子どもを寝かせる。
からだが痛くなった。


翌朝になり、鉄人が子ども二人と一緒にやっと風呂に入った。
私は、家では決して見られない、親子3人の入浴風景を部屋から見ていた。
3人が風呂から出て、私も風呂に入った。
鉄人は洗面所でドライヤーを使っている。
???
どこかで、子どもの叫ぶ声・・・。何?

ガラス越しに部屋を見ると、ぐりとぐらが窓を全開にし、外に向かって叫んでいる・・・。

「お〜い!お〜〜〜い!!」
機嫌よく手まで振っている。朝の駅のホームに居る人に。
ゲッ!
ここはラブホテルだ。妙な光景に違いない。
ラブホテルの窓から手を振る幼児二人・・・。
「おとーさん!!やめさせて!!」私は、思わず風呂から叫んだ。

大人二人は、なんとなく恥ずかしい・・・。



どこに遊びに行ったときのことだったか、楽しかったのか、まったく覚えていない。
ただ、泊まったホテルでの一部始終だけが、頭にしっかりこびりついている。