
お守りに託した思い届かず
3年連続で修徳に敗れた都世田谷工・脇田秀司投手(3年)
試合前、ユニフォームのズボンのポケットに、小さなお守りをしのばせた。静かに
闘志が胸の底からわき上がってくるのを感じた。
昨年は2回戦、一昨年は5回戦で当たり、いずれも敗れた相手が「修徳」だった。
今年も「修徳」と当たった。3年連続の対戦に1年生からレギュラーだった脇田秀
司投手(3年)は「今度こそ」と思った。
昨年の夏は延長10回にサヨナラ負け。「来年こそ絶対に勝ってくれ」と当時のエ
ース・飯島規隆君から渡されたのがこのお守りだった。中には飯島君の兄が別の
高校で甲子園に出場した際に、持ち帰った土が入っていた。
立ち上がりは好調だった。1メートル76・82キロの体から投げ下ろす力のある直
球、そして落ちる球で1回は2者連続三振。しかし、続く3番打者に「自分では1番
いい球」だった外角低めの直球をスタンドに運ばれた。2、3回にも連打を浴び、マ
ウンドを降りた。
「追い込んでから投げ急いでしまった。打たれてからは力みが出た」。
試合後、頭からバスタオルをかぶり、唇をかみしめた。
4年後に統合される同校には、来年からは、新入生」は入ってこない。世田谷工と
して大会に出場できるのもあと2年。
「来年こそ、壁を乗り越えてほしい。修徳に勝たなければ上には行けないのだから」
3年間の悔しさが蓄積されたお守りは、来年のエース河行雄三君(2年)に託すこと
にしている。
(7月22日・読売新聞朝刊・小林健記者)