11号
小さいから楽しいホテルの経営
                             平成16年1月9日
                                  vol 011
                                金曜日発行

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[小さいから楽しい。古いから味がある
         大きいホテルに負けるな!]
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         サービスについて2    
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◆私が20年以上前、全くの素人でホテルの業界に入った時、新橋
に在ります東京第一ホテル(古い時の)に研修に行きました。

◆業界に入ったきっかけは、札幌にある家具の会社が異業種のホテ
ル経営に参入し、私はオープニングスタッフとして参加ことです。
第一ホテルの寮で共同生活をしながら、ホテルスタッフの仕事振り
を見て、分からないことは聞いて勉強しました。
それでも「ホテルのサービスは何か」とは良く分かりませんでした。

◆ホテルに勤める前は銀行に勤務していており、ホテルと同じく個
人のお客様を中心とした営業でしたが、業界の土壌がホテルとはま
ったく違う世界です。

◆第一ホテルのレストランや宴会スタッフの流れるようなサービス
テクニックはとてもマネの出来ないように見えました。
私はその当時、そのように出来ることがレストランや宴会のサービ
スの出発点だと思っていました。
表面的な仕事の流ればかりに目がい行っていたように思います。

◆ある日、宿泊担当支配人から夕食に誘われ、色々と話をしている
うちに「ホテルのサービスとは何か」という内容になりました。

◆「ホテルのサービスなんて難しく考えてはダメですよ。ホテルに
お客様をお迎えするということは、自宅にお客様をお迎えするのと
同じことです。」

◆「その家の奥さんは、美味しい料理を作ろうと買い物に行き、料
理に腕をふるいます。
家の中や玄関はきれいに掃除をし、ご主人と奥さんはお客様を愛想
良くお迎えします。」

◆「お客様と親しくお話し、お食事を美味しく食べていただき、夜
は清潔な寝具でお休みいただきます。
翌朝はおいしい朝食を食べていただき、どうぞまたお出でください
と言ってお見送りします。」

◆「ホテルのサービスも自宅の応対も同じでなんです。何も特別な
ことはありませんよ。そして、お料理を出す時もカッコ良く片手で
トレーを持ったりしないで、しっかり両手で持ったほうがお客様に
安心感を与えます。そのほうが良いサービスなのです。」
 
◆この話は常に私の頭の中にありました。大切なのはサービスする
側の心です。人を喜ばせようと思う心です。そしてそれはホスピタ
リティーの心です。
お客様が喜ばれたことを自分の喜びと思い,嬉しくなっていくので
す。

◆「来る人に安らぎを、去り行く人に幸せを」という詩の言葉をご
存知でしょうか?
これはドイツのローテンブルグの旧市街に入る門に、建造年の
1586の年号と共に、ラテン語で「PAX INTRANTIBUS, SALUS
EXEUNTIBUS」と彫り込まれているそうです。
これこそがホスピタリティーの真髄だと思います。

◆何かの本で読みましたが、同じ言葉がホテルオークラの会長室に
飾られているそうです。
ホテルに携わる者にとって大切な「心構え」として掲げているので
しょうか。 

◆それに関連して「心の持ち様」として大切だと思っていることが
あります。
「気を配る」と「心を配る」の違いです。

◆「気を配る」というのは「お客様が来館されたから挨拶する」と
か「部屋の室温を25度に保つようマニュアルに書いてあるからそ
うする」とか、決められたことをその通りに守ることです。ここに
は気を配る自分の気持ちが最初にある状態です。

◆「心を配る」というのは「このお客様は長旅でお疲れのようだ」
とお客様の心を思いやり、「お疲れ様でした。お荷物は運びましょ
うか」とお客様の身になって一言が言えたり、「今日は暑い日だっ
たけれど客室の設定温度25度では、暑くないだろうか」と思う気
持ちを持ち、実際にお部屋を確認をしてみることです。

◆「心を配る」とは、自分の心でお客様の気持ちを推し量ることだ
と思っています。
語弊があるかもしれませんが、端的に言えば「気を配る」とは人か
らの評価を気にしたり、怒られたり注意されたりしないために行う
ことです。

◆「心を配る」というのは人の評価を気にするのでなく、時にはマ
ニュアルを超えてそのお客様のためになることをして差し上げる心
の状態のことです。ホスピタリティーの根源だと思っています。

◆似たようなこととして、「応える」と「答える」の違いがありま
す。
ただ単に、お客様からの質問に言葉だけで答えるのは子供でも出来
ます。お客様の心や本当の気持ちに「応える」ことこそがプロの仕
事です。

◆例えばレストランでお客様がウエイトレスに「タバコの自販機は
2000円札使えますか?」と聞かれた時「申し訳ありません
2000円札は使えません」と答えるのは「答えた」です。
両替して来ましょうかと聞くのでもまだ不充分です。

◆「心配り」を持って応対すれば、そのお客様はタバコを買いたい
のが目的であり、両替してくれることを求めている訳ではないのが
わかります。お客様の問いかけに「応える」のは「よろしければ私
が買ってきます。銘柄をおっしゃってください」と言うのが本当の
お客様の心に応えることです。


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■□ 次回もサービスの続きです □■

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■発行者 SHCC 
     山地伸幸
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□■編集後記■□
今日(1月8日)の日経新聞朝刊に「高級ホテル地殻変動」と題し
て国内の主要ホテルの格付けが載っていました。
ご覧になった方も多いと思います。

20年ほど前は外国系ホテルはほとんどなく、東京ヒルトンホテル
(現キャピタル東急ホテル)くらいではなかったでしょうか。
このホテルは数多くの優秀なホテルマンを輩出したホテルの一つで
す。

現在国内最高の平均客室単価を稼ホテルぐ新宿のパークハイアット
東京で5万円を上回るそうです。
日本の代表ホテルである帝国ホテルは2万6700円です。

単純にこれだけを見ると国内ホテルは負けているように見えます。
確かに外資系ホテルのほうが単価は高いです。でも客室数が違いま
す。
帝国ホテルは1057室、ホテルオークラは858室ですが、
パークファイアットホテルは178室、フォーシーズンズ椿山荘で
も283室です。

また宿泊に特化したホテルと大宴会場を備えた総合ホテルとでは顧
客戦略が違います。

日本には世界的にもサービス評価の高い「日本旅館」的なサービス
があります。
そのサービスが日本の「ホテル」には生かされていないのでしょう
か。

ヨーロッパのホテルが経営する時の精神基盤は、一般庶民に対する
サービスではなく、王侯貴族をターゲットとしたサービスをする中
で作り上げられたものです。

外国系ホテルに勤務するスタッフの多くは日本人です。お客様の多
くも日本人です。
それでも国内ホテルとの違いが出てくるのは培われてきたホテルの
精神基盤が違うからでしょうか。

外国系ホテルは長い間に培われてきた精神的基盤によって作られた
「ホテル基本理念」と、それを着実に実行することが「絶対的使
命」という思いが受け継がれてきたのではないでしょうか。

やはり日本とヨーロッパなどとは土壌が違うと思います。
ヨーロッパなどではルイビトンやシャネルなどのブランド品は
「それなりの地位になったら身に着けるもの」として認識されてお
り、日本のように少しお金に余裕があるからといって女子高性が身
につけるという考え方はないと聞きました。

ヨーロッパなどの人々やホテルには無意識の中に階層意識があり、
サービスの語源であるサーバント(召使)の考え方もホテルの中に
生きているのではないかと思います。


今回は編集後記が長くなって申し訳ありませんでした。

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