64号
小さいから楽しいホテルの経営』

                           平成17年1月28日
                                    vol64
                                金曜日発行

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[小さいから楽しい。古いから味がある
         大きいホテルに負けるな!]
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     マニュアルについて2
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◆私が初めて社会に出て、勤めたところは銀行です。
銀行の仕事は全て、マニュアルの一種である「規定」の上に成り立
っています。オペレーションマニュアルです。

◆お金を扱うところですから、当時の大蔵省や日銀からは規定に沿
った厳密な仕事をするように求められます。
何か問題が発生するとその都度、それが新しい「規定」に追加され
ます。

◆全ての仕事は「規定」に基づいて進められますので、自分が正し
いと思っても「規定」からはずれた事は出来ませんし、してはいけ
ないことになっています。

◆たとえ上司や先輩から指示されたことでも、「規定」と違うこと
であれば、拒否することが出来ます。
極端に言えば「規定」を全てマスターすれば怖い物知らずと言えま
す。

◆しかし、このような「規定」の中での仕事に慣れてくると、自己
判断が出来なくなってしまいます。

◆これを思い知らされたのは、銀行を辞めてホテルの仕事に入った
時です。

◆ホテル設立準備室に準備委員として入った時、そこは小さい会社
でしたので、服務規定などはありましたが、銀行にあったような
「規定」のようなモノはありませんでした。

◆これはどこの会社でも当たり前のことです。
しかし、「規定」に基づいた仕事に慣れた思考回路は、そう簡単に
変えられませんでした。

◆新しい仕事ですから全てが始めてのことばかりです。その中で、
都度どうするかの判断をしていかなければなりません。

◆初めのうちは先輩に尋ねて判断しても、全てがそう出来るわけで
はありません。
間違いを犯しながらも自分の「判断基準」「ものさし」を作ってい
ったことを思い出します。

◆その時に良き指導者に恵まれたことが幸運でした。そして本を読
んで自分の判断基準を作っていきました。

◆規定やマニュアルがしっかり出来上がった会社や役所では、マニ
ュアルから外れて仕事をすることが出来なくなっています。
極端に言うと自分で考え行動するという基本的なことが出来ないの
です。
◆また、自分で考え判断するより、マニュアルや規定に沿って仕事
をする方が楽です。

◆ホテルでも立派な運営マニュアルがあるところでは、そのような
マニュアルに頼り切る状態に陥りやすいのではないでしょうか。

◆でも、誤解しないでください。マニュアルは重要でないといって
いるのではありません。
そうではなく、それより以前にホスピタリティーの「心」や「思
い」を抱くことが大切だと言いたいのです。

◆最近の傾向として会社でも役所でも学校でも、何かあるとすぐ決
め事を作り、マニュアルにしてそれで終わりという状況が多いよう
に思います。

◆大切なのは問題点を認識し、解決するのはこうすることだと「思
う」です。
「思う」気持ちがなければ、状況がチョット違っただけで対処でき
ずにまた間違いを犯してしまいます。

◆誰でも「思うことが大切」だということは知っています。私もそ
うでした。
でもその本質は稲盛和夫さんから教えられました。
稲盛さんの著書にも出てくる話です。少しご紹介したいと思います。

◆稲盛さんが若い頃、松下幸之助さんの講演を聞きに行ったそうで
す。
その時松下幸之助さんが「ダム式経営」についてお話をしました。

◆それはダムを作ってそこに常に一定の水が貯えられるような、余
裕のある経営をやるべきだという内容でした。
それを聴いたある人が質問し「私もダム式経営に感銘を受けます。
しかし、今余裕がないのをどうすればいいのか、それを教えて欲し
い」と質問しました。

◆松下幸之助さんはそれを聞いて少し考えてから「そんな方法は私
も知りません。知りませんけれど、余裕がなけりゃいかんと思わな
いけませんな」と答えられました。
そうすると「全然答えになっていない」と皆が失笑されたそうです。

◆しかし、稲盛さんは同じ話を聞いて「松下さんのいう通りだ」と
思ったそうです。
松下幸之助さんは「まず思わなかったら、そうはならない」という
ことを言われたのです。
稲盛さんは『大切なのは「強く思うこと」なのだ』ということを強
烈に印象付けられたといっていました。

◆稲盛さんのこのお話を聞いてから、当たり前に考えていた「思う
こと」を『どこまで強く思うのか』が問われているのだと再認識し
ました。

◆ホテルにとっての「思い」とは、経営者がホテル経営をするに当
たり、そのサービスに対して抱いている「方針」です。
その思いを文章化したものこそが経営理念であり、会社方針マニュ
アルです。

◆経営者の「思い」を基にして作られる経営理念、会社方針マニュ
アルをホテルスタッフが充分理解したうえで、「運営マニュアル」
を活用することが重要と考えます。

◆何よりもサービスの基本となる経営理念や会社方針マニュアルを
全ホテルスタッフに徹底させることが肝要です。

◆会社方針マニュアルに沿っていれば、時として運営マニュアルに
無いことが発生しても大きく間違った処置にはならないでしょう。

◆お客様は時として、運営マニュアル以外のサービスを受けた時に
感動を覚えるのです。



今回は少し理屈っぽくなり、読みにくかったかもしれません。
申し訳ありません。


■□次回はトラブルの処理についてお話します。□■

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■発行者 SHCC 
     山地伸幸
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□■編集後記■□
今回のメルマガを書いていると、銀行に「入行」した頃の事をいろ
いろ思い出しました。

本文にも書きました大蔵省や日銀の検査は、私が勤務していた支店
には直接来たことはありませんでした。

それでも銀行は2〜3年ごとに来るその検査に備え、「自行検査」
というものが毎年ありました。
それは本部の検査部から、大蔵省や日銀の検査と同じように秘密裏
に、そして早朝抜き打ち的に来ます。

検査官は封印紙を持っており、大金庫、書庫、職員全員の机の引き
出しにその封印紙を貼り、行員には勝手には触らせません。
検査官は5〜6名程度で来ます。封印紙の付いたモノは検査官立会
いの下で開けさせます。

もしもその時点で重大な規定違反の事実があれば、その場で「検査
中止」と言われ、それだけで支店長の責任問題になります。

そのようなことはめったにないのですが、それでも行員の引き出し
の中から小銭でも出てきたら、たとえそれが個人のものであっても
重大な減点になります。

また、銀行員にとって自分の印章は常に携行していないといけない
と決まっており、机の中に入っているとそれも減点になります。

印章のことが出てきましたので「印」に関しての言葉をご紹介しま
しょう。
「印」に関する言葉としては「印章」「印影」「印鑑」「押印」が
あります。

「印章」は「ハンコ」と呼ばれる本体のことです。
「印影」は朱肉を使って印章を紙の上に押して転写され現れたモノ
です。
「印鑑」は「印影」の1つですが、届出しているものです。
印鑑登録で市役所が保管していたり、銀行預金を作るとき届けてい
る印影のことです。字のごとく「鑑(かがみ)」という意味で、申
請されてきた書類に押してある印影が本物かどうかを確認するため
の印影のことです。
「押印」は印章を押す行為を言います。

これらの言葉の違いは、銀行に入った時まず最初に教えられました。
「銀行員なら間違えるな」と言われました。


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