70号
小さいから楽しいホテルの経営』
                              平成17年3月11日
                                    vol70
                                 金曜日発行

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    [小さいから楽しい。古いから味がある
                大きいホテルに負けるな!]
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         ホテル建築・改築時の一考2
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前回に続いてロビーの床の話です。

◆ロビーの床を木質のモノにしているところもあります。
木質の床には大きく分けて「フローリング」と「フロアー」があり
ます。

◆「フロアー」は12ミリのベニア合板に0.3ミリから1.0ミ
リの木目のツキ板を張ったもので、一見フロローリングに見えます。

◆でも、それは「フローリング」とは言いません。
「フローリング」とは厚さ12ミリ位の無垢の板です。

◆「フロアー」はホテルロビーの床には使用しない方がいいでしょ
う。
これは価格が安いので住宅の内装用木質床材として使われている場
合が多いです。

◆「フロアー」は価格が安いということで「フローリング」の代用
品として出てきました。
現在は「フロアー」に貼ってあるツキ板の厚さも、以前より厚いも
のも出てきました。

◆それでも「フロアー」の欠点は耐久性が無いことです。
重いものや角のあるものを落として傷が付いた時、そのキズに水な
どが入り込むとツキ板の部分がはがれて来ることがあります。
ささくれ立ってきます。

◆その点「フローリング」はキズや汚れがひどくなった場合は、全
面をサンダーで削り取ってしまうと、まったく新しい表面に生まれ
変わります。

◆次にジュウタンの場合ですが、ジュウタンはその素材によって耐
久性が違います。

◆価格の安いポリピレンやアクリルの素材のジュウタンはすぐヘタ
ってしまいます。アクリルは発色も風合いもいいのですが、耐久性
がありません。
やはり羊毛かナイロンがいいでしょう。

◆以前、私がロビー床として選んだのは、表面がカットされた羊毛
のものを使いました。
ジュウタンは毛の密度が高く、毛足の長いものほどいいものです。

◆同じ時期にレストランもジュウタンにしましたが、レストランの
場合はロビー以上に耐久性を重視しました。
それで、アメリカ製の表面がループタイプのナイロンジュウタンに
しました。

◆結果比べてみると、歩く心地良さはロビーの羊毛のカットジュウ
タンの方でした。密度も高くヘタリも少なかったのですが、どうし
ても「けものみち」が出来てしまいます。

◆レストランのナイロンジュウタンは驚くほどの耐久性がありまし
た。
レストランのホールと厨房との通り道は、「けものみち」が出来や
すいかと思ったのですが、ほとんど目立ちません。そしてヘタリも
ありません。

◆ただ、レストランということで汚れやすいので頻繁に「洗い」を
しましたので、少し脱色してしまいました。

◆アメリカのジュウタンは日本のものと比べ、耐久性が高いと聞い
ていましたが、それを実感しました。

◆ジュウタンにも「タイルカーペット」と呼ばれるジュウタンがあ
ります。
これは取り外し、入れ替えが出来ますので、「けものみち」が出来
そうなところは、常に貼りまわしをすれば寿命が延びます。

◆ただ、ジュウタンはどうしても石やフローリングと比べると寿命
が短いです。ここでお話しているように、長く使い込む素材ではあ
りません。

◆でも、ジュウタンには他の素材に無い、暖かさがあります。
お客様が来館され、ロビーに踏み入れた時、その柔らかさが心地良
さになります。
私はこの部分だけはジュウタンにこだわってしまいます。

◆ジュウタンは土足で歩くので、すぐダメになると思い勝ちですが、
実際はそうではありません。
欧米では床がジュウタンの住宅がほとんどでしょう。

◆しっかりした素材で、そしてジュウタンの密度が高かく、作りが
いいものは、泥がついても掃除すればきれいになります。長持ちし
ます。
泥などはジュウタンにとってはそれほどの汚れではないのです。

◆ジュウタンの専門家に聞いた話ですが、ジュウタンにとって一番
の大敵は人間の油だそうです。

◆昔、家でジュウタン敷きの床をスリッパで歩くと、「スリッパを
脱ぎなさい」と怒られた覚えがあります。
でも、裸足でジュウタンの上を歩くのが一番良くないそうです。

◆足の汗と油がジュウタンに染み付いて普通の汚れと違い、一番落
としにくいそうです。
思い返してみると、道理で、すぐ「ヘタって」しまったなと思いま
す。

◆家では「ジュウタンの上は裸足では歩かないで、スリッパを履い
て歩く」のがいいようです。



次回も続きます。
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□■編集後記■□
先日新聞に「温暖化時代を語る」という題名で建築家安藤忠雄さん
の話が載っていました。

「現在の建築は、短期間に建てては壊すことを前提にしている。
30年〜40年を経過したビルは解体が当たり前。都市再開発の実
態は破壊だ。」と言っています。

そして「100年以上利用できるような建物を作るために、改築や
補修がしやすい設計を考え、メンテナンスしながら長期間使うこと
を前提とするなど、人の意識を変えていくことが大切。」と言って
います。

マンションも天井を今より30センチ以上高くするだけで、後から
古くなった空調機や家電を自在に取り替えたり、増やしたりするこ
とが出来るように、あらかじめ考えておくことが必要です。

確かに将来を見越して配管部分を確保するために、天井高を上げる
という発想は大事でしょう。

例として、消防法の基準等が変わり、ホテルや病院にスプリンク
ラーを付けなければなりなくなった時、天井高が無いため配管を室
内側に露出して取り付けなければならないことが多いです。

今までは、決められた建物法上の高さ制限の中で、1フロアでも多
く回数を取ろうとして、天井高をなるべく低くする考え方でした。
そして年数が経過したら、増改築するより建て直した方が安上がり
ということになります。

過去の日本は「スクラップ・エンド・ビルド」の中で建築業界が大
きな産業になってきました。
「壊しては作り」「壊しては作る」事で、消費が高まり経済が成長
してきました。

「ストック」として残るはずの建築物も、フロー(消費財)化して
いました。
日本は全てが「フロー」の経済でした。だから日本は根本的に豊か
になれなかったのでしょう。消費ばかりして、財産が残されていな
いのです。

古いものを大事にして使い続けたヨーロッパは、「ストック」が充
実しているので、余計なものにお金をかけず、実質的に豊かな生活
が出来ているのではないでしょうか。

「使い捨て社会」から「モノを大切に使う社会」は環境にも優しく、
そして豊かな社会作りの基本です。

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