89号
小さいから楽しいホテルの経営』
                             平成17年11月18日
                                    vol89
                        
  -------------------------------------------------------      
     [小さいから楽しい。古いから味がある
              大きいホテルに負けるな!]
-------------------------------------------------------
      
     私が造りたい「小さいホテル」12
                   

先日旅行業に携わる友人と観光について話をしました。

◆観光というと企業はそれをビジネスと捉え、各自治体も産業とし
て注目しています。
その地域には観光客相手の企業やお店が集まります。

◆企業やお店は、その地方色を出した装飾をし、観光客が買ってく
れそうなお土産を色々工夫して売っています。

◆自治体も環境整備のために道路、トイレ、休憩所等の施設を作っ
てくれます。

◆そこは観光客が集まるスポットになっています。
そこだけが「テーマパーク」になっています。

◆観光客のために作られた「テーマパーク」には観光客しか行きま
せん。

◆地元の人達の生活は別で営まれています。地元の人は地元の
「テーマパーク」には余り行きません。

◆今、人が旅に出かけるのは、その地域の生活に根付いた文化を見
て、体感したいと思っているはずです。
観光客ためだけの形骸化された町並みは「張りぼて」のようです。

◆少し言いすぎたようですね。そのような観光施設全てがダメだと
言っているわけではありません。そのような雰囲気を求めて来られ
る観光客もいます。

◆ただ、行政を中心とした観光関係者が、それだけが観光だと錯覚
し、観光客減少の原因がわからないでいるように思います。
形だけの観光施設では、すぐ飽きられてしまいます。

◆以前にもこのメルマガでお話しました倉敷もそうですが、札幌の
隣にある小樽も観光客が減少しています。

◆小樽の観光の中心地は運河周辺です。
この運河は1923年(大正12年)に完成し、全長1.3km 
幅員40mの規模でした。

◆30年ほど前、経済高度成長期と言われていた頃、この運河を埋
めて道路を作ろうという動きがありました。

◆それに対して反対の市民運動が起き、その結果一部が残りました。
今はその残された運河が観光資源として、経済的には斜陽傾向にあ
る小樽経済の中で重要な位置を占めています。

◆小樽を訪れる観光客は、平成11年までは何とか横ばいでした。
しかし、それ以降はどんどん減少しています。
小樽ばかりでなく北海道全体への観光客も減少しています。

◆ただ、小樽が特異なのは、訪れる観光客数が北海道の各都市の中
で札幌に次いで2番目に多く、年間約800万人もいるのに対して、
宿泊客延べ人数は8番目に落ち、年間80万人しかいません。
訪れた観光客10人のうち1人しか宿泊しないという数字になりま
す。

◆先ほどお話しました倉敷にも、昔の町並みと運河を残した「美観
地域」があります。
ここも観光客が沢山訪れます。
それでも減少が続いているようです。

◆昭和63年をピークに減少が続いていたのですが、「チボリ公
園」が開園したことにより一時的に増加しました。
でも、また平成11年より減少し続けています。

◆倉敷市の資料によると、平成15年度の観光客数は646万人。
それに対して宿泊者数は96万人です。
そして宿泊しない観光客の平均滞在時間が約2時間という数字が出
ています。

◆この点、小樽と倉敷は同じような問題を抱えているようです。

◆小樽にしても倉敷にしても観光施設は地元の生活から離れたとこ
ろに存在しています。
そのような観光施設は2・3時間あれば見て、それで終わりです。
そして1度見ればまた見に行こうとも思いません。

◆友人と話した結論としては、「地元の人が使わない観光客向けだ
けの施設はこれから成り立たないだろう。」ということでした。
地元の人達が使い、生活に根付いたところで、その土地本来の生活
を味わってこそ旅の喜びがあるということです。

◆札幌にある「二条市場」は鮭やカニ等の海産物を扱っていますが、
主に観光客相手の商売です。お客様は観光バスで来ます。

◆地元の人は安くていい物を探しに「札幌中央卸売市場」に行きま
す。
そこには安くて美味しい食堂もあります。
北海道の農産物や海産物が集まってくるところです。

◆午前中には多くの店が閉まってしまいますが、情報通の観光客は
朝6時頃、美味しい食堂を目指します。
札幌青果卸売協同組合の食堂は朝6時から開いています。
一般の人も入ることができます。

◆従来の観光は周遊型の観光でしたから、2・3時間立ち寄って買
い物をする観光客相手の施設でも、お客様も喜び、それでよかった
のでした。

◆でも旅に慣れた人々は自分なりの旅行、体験型の旅行にシフトし
てきています。
滞在型の旅行が多くなってきます。
やはりそこに必要とされるのは地元に密着し、生活の中に溶け込ん
だ「滞在型のホテル」だと考えます。


============================================================
★過去のメールマガジンは私のホームページにもあります。
 よろしければご覧になってください。
============================================================



■ご意見ご感想をお待ちしております。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

■発行者 SHCC 
     山地伸幸
住所 札幌市西区発寒7条12丁目 株式会社ニシモク

■eメール shcc_j@ybb.ne.jp


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


□■編集後記■□


今年の4月小樽に「出抜小路(でぬきこうじ)」という観光施設が
出来ました。
オープン当初は盛んにテレビや新聞に取り上げられていました。

小樽運河の側にあり、24件の飲食店を中心とした小さなお店が集
まっています。
それぞれの店はカウンターだけで10席有るかどうかの規模です。
http://www.otaru-denuki.jp/

先日家内とそこで牡蠣の定食を食べてきました。牡蠣も大きく美味
しかった。

牡蠣定食を食べた『おいーっす開』の店長は、「この時期は観光客
も少ない頃なんです」と言っていたように、平日のお昼ですがどの
店もお客様は大変少なかったです。

でも、夜には地元の人々が集まり結構賑やかだとの事。
地元に密着してこそ本物の店作りが出来、そこの賑やかさに誘われ
て観光客が集まってくるのだと思うのですが。


トップページに戻る

メールマガジン90号