西三河地方におけるフクロウの巣間距離について

住宅難であるフクロウ達に巣箱を提供し効率良く利用してもらうには,どのくらいの間隔で巣箱を架けたら
良いのだろうか,巣間距離を中心に営巣状況,営巣環境を調べてみた.その結果,2つの巣の距離が1km以内とい
う驚くほど近いケースが3組あった.しかし,これらは同時期に繁殖が確認されていないため,同一個体が複数
の巣を利用した可能性もある.そこで,参考に付記するだけにとどめる.今後の観察を待ちたい.

次に,比較的密度が高く同時期に繁殖を確認している5巣を選び出し,巣間距離を測ったところ,
最短は1050mで平均は1966mであった.また,これらの5巣は,いずれも常緑樹,落葉樹,モウソクチクなどを主と
する雑木林的な環境にあった.

自然の洞が使えなくなるなどして営巣場所を巣箱に変えたケースは今のところないが,地上という悪条件で
営巣していたものは,近くに架けた巣箱を利用した.繁殖状況の分かっている5巣がある3km円内には,さらに
他のフクロウが繁殖できる余地もあるだろう.繁殖したくとも,洞など営巣に適した場所がないために繁殖で
きずにいる個体もいるかもしれない.

今回の調査結果から,フクロウは雑木林のような環境があれば1kmから2kmという比較的短い間隔で架けら
れた巣箱でも利用するだろうと推測できる.今後も,少しでもフクロウの繁殖を手助けできるよう,この1kmと
いう数字を念頭に巣箱を架けていくとともに,さらに効率よく巣箱を利用してもらう方法を考えていきたい.
近い将来,この3km円内には第二東名高速道路が通ることが決まっている.そうなれば,少なくとも一巣は確実
に姿を消すことになる.自然開発が今後フクロウの繁殖にどのように影響を及ぼすかを,しっかりと見つめて
いくつもりである.

(西三河野鳥の会発行の研究年報VOL.2から抜粋です。)

西三河研究年報 VOL1.フクロウ用巣箱の必要性 杉山時雄(絶版)
西三河研究年報 VOL2.西三河地方におけるフクロウの巣間距離 杉山時雄
西三河研究年報 VOL3.フクロウの移動記録について 前田茂雄
西三河研究年報 VOL5.西三河地方におけるフクロウ用巣箱とその利用数 杉山時雄
西三河研究年報 VOL7.フクロウの移動記録について 前田茂雄・杉山時雄
西三河研究年報 VOL.8フクロウの巣箱内におけるビデオ解析の報告 杉山時雄・大原満枝・西垣士郎
西三河研究年報 VOL.8フクロウのテレメトリーによる移動調査 西垣士郎・大原満枝・杉山時雄・前田茂雄
西三河研究年報 VOL.9三河湾スカイラインの排水溝で産卵したフクロウ 石川均・杉山時雄
西三河研究年報 VOL.9フクロウのテレメトリーによる移動調査 前田茂雄.大原満枝・杉山時雄・原田秋男・西垣士郎

 詳しくは西三河野鳥の会研究年報を。
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