すみれにまつわる話

ギリシャ神話1

 ある時ヴィーナスが一群の乙女が踊っているのをみて、キューピット にむかって「あの乙女たちと私と、どちらが美しいか」とたずねたところ キューピットは乙女たちの方が美しいと答えたので、ヴィーナスは機嫌を悪く して、乙女たちを紫色になるまで殴ったので、キューピットは乙女たちを気の 毒に思ってスミレの花にしたと言い伝えられている。

ギリシャ神話2
 美女イーオーは、美しい羊飼いアティスの婚約者だったが、アポロが彼女を追いかけた ので、アポロの妹アルテミスによってスミレに変身させられた。今もイーオーは、 森の木陰でアポロの目にふれないように、内気にひっそり花を開いている。
この話からスミレをイーオンと呼ぶようになったと言われている。

ローマ時代
 ローマ時代にヴィオラと呼ばれ、バラ、スミレなどを花冠にしたり、ブドウ酒の 盃に入れたりしたので、この2種の花が栽培されるようになった。園芸草花の草分 けである。

ナポレオンとスミレ
 ナポレオンはスミレが好きでショセフィーヌとの結婚記念日には、スミレの花束を 贈っていた。1814年エルバ島に流されるとき、「余は春になったらスミレを手にして 再来する」といって、パリを去った。スミレはナポレオン支持者のシンポルとされ、 1815年3月彼がエルバ島を脱出し、再びパリに入ると、人々はスミレを宮殿に飾って 迎えた。しかしその後ワーテルローの敗戦、パリ陥落と、はかなくも再びセントヘレナ へと流され、1821年5月5日 流刑の島で死んだ。
死んだ彼のロケットには、ジョセフィーヌの髪と、干からびたスミレの花が入っていた。

花言葉

 スミレは古くから臆病な、知恵のある、愛すべき女性にたとえられ、 「あなたは私を探し求めねばなりません」と言われているし、 「真実の恋」または 「恋の真実」をあらわす花にもなっている。


芭蕉 俳句

  菫は春の季語で、芭蕉の有名な句がある。

山路来て 何やらゆかし すみれ草  松尾 芭蕉

花菫 がむしゃら犬に 寝られたり  小林 一茶

地車に おっぴしがれし 菫哉  小林 一茶

菫咲く 川をとび越す 美人哉  小林 一茶

路側帯 たくましさあり すみれ草  旬草

アスファルト 隙間探して 咲くすみれ  草千里

菫程な小さき人に生まれたし  夏目 漱石

かたまって 薄き光の菫かな  渡辺 水巴

居りたる船を 上から見れば すみれかな  与謝野 蕪村

下草に 菫咲くなり 小松原  正岡 子規



和歌

  万葉の昔から菫は短歌の題材として歌われてきた。

春の野に菫摘みにと来し我そ 野をなつかしみ一夜寝にける 山部赤人

もののふの屍をさむる人もなし 菫花さく春の山陰 正岡子規

日のささぬおどろがもとの花菫 薄紫に咲きにけるかな 正岡子規

きけな神恋はすみれの紫に ゆふべの春の賛嘆のこゑ 与謝野晶子

春の野にさけるすみれをてに摘みて わがふるさとをおもほゆるかな 良寛

紫の花なつかしみ武蔵野の くさはみながらすみれともがな 本居宣長

山吹の咲きたる野辺のつほすみれ この春の雨に盛りなりけり 高田女王

つばな抜く浅茅が原のつほすみれ 今盛りなりわが恋ふらくは 大伴田村家の大嬢

あさぢ原見るにつけても思いやる いかなる里にすみれ摘むらん 紫式部

春雨のふる野のみちのつぼすみれ つみても行かむ袖は濡るとも 藤原定家

数ならで荒れ行く庭にひとり居て 心すみれの花を見るかな 僧慈円

きぎすなく岩田の小野のつぼすみれ しめさすばかりになりにけるかな 藤原顕季

すみれ咲く 横野のつばな 生ひぬれば 思い思いに 人かよふなり西行 山家集
 (すみれの花が咲く横野の茅花が生えると、それぞれ、すみれを摘もうと   したり、茅花を抜こうとしたり、思い思いに人が通うよ)

跡たえて 浅茅しげれる庭の面(おも)に たれ分け入りて すみれつみてむ 西行 山家集
  (人の通った跡もとだえて浅茅の生い茂っている庭園に、いったいだれが分け   入ってすみれの花を摘もうとするのだろう)

たれならむ あら田のくろにすみれつむ 人は心の わりなかるべし 西行 山家集
  (いったい誰だろう、荒田の畔ですみれを摘んでいる人は、わりきれない心を   抱いているのであろう)

つばな抜く 北野の茅原 あせゆけば 心すみれぞ 生ひはかりける 西行 山家集
  (人々が茅花を抜く北野の茅原もさびれてゆくと、心をすますすみれが茅がや   に代わって生えた変わったよ)

ふるさとの 庭のむかしを思ひ出でて すみれつみにと 来る人もがな 西行法師歌集
  (以前住んでいた家の庭の、その昔の有様を思い出して、すみれを摘みにやって   くる人がいたらなあ)

長歌
山傍(やまび)には 桜花散り 貌鳥(かほどり)の 間(ま)なくしば鳴く 春の野に
須美礼を摘むと 白栲(しろたえ)の 袖折り返し 紅の 赤裳裾引(び)き 少女(をとめ)らは
思ひ乱れて 君待つと うら恋ひすなり 心ぐし いざ見に行かな 事はたなゆひ 大伴池主(いけぬし) 


  菫で有名な曲といえばこの歌。

すみれの花咲く頃 初めて君を知りぬ ・・・・・・・・・・ タカラズカのテーマソング?

  こんな歌もありました。

春を愛する人は 心清き人 すみれの花のような ぼくの友だち  ・・・・ 四季の歌

ラララ 紅い花束 車に積んで 春が来た来た 丘から町へ
 すみれ買いましょ あの花売りの 可愛い瞳に 春の夢
  ・・・・  春の唄 (作詞 喜志邦三 作曲 内田 元 )

寂しかったから あなたを信じて 寂しかったから あなたを愛した
 ・・・・ そして一粒 すみれ色の涙
  ・・・・ ジャッキー吉川とブルーコメッツ/岩崎宏美

春の小川は さらさら流る 岸のすみれや れんげの花に
 ・・・・
  ・・・・  春の小川(童謡)/高野辰之作詞/岡野貞一作曲

外国ではかの有名なモーツアルトがゲーテの詩に曲をつけた歌曲すみれや、スカラッティのすみれなどがあります。



  スミレだけを扱った本は意外と少ない

「草木図説」 飯沼慾斎 著 1856 (安政3年)発行
 江戸時代わが国で著作された植物図譜、中にすみれの記載あり(右下図)
「原色日本のスミレ」 浜 栄助 編著 1975 発行、2002.7 復刻版 発行
 私もボーナスで復刻版を買いました。
「原色・すみれ」 鈴木 進 著 1981.4 第3版発行 草木図説より
「すみれ パンジー」 鈴木 進、 鈴木 章 著 1984.3 発行
「写真集
日本のすみれ」
浜 栄助 編著 1988.3 発行
「すみれ図鑑」  田淵 誠也 著 1996.4 発行
「日本のスミレ」 いがりまさし 著 1996.4 発行

花の旅「スミレ」 ガイド23コース 日本列島花maps  北隆館 1993年2月発行
  写真の間違っているものもいくつかあるようですが


その他

スミレの切手
タチツボスミレ切手
タチツボスミレ

タチツボスミレ切手
高山植物シリーズ(タカネスミレ)

宝塚切手
ふるさと切手『宝塚』

スミレ研究クラブなど

日本には各地にいくつかのクラブがあり、展示会開催、品種の保護などの活動している。
 日本スミレ研究会 スミレの集い 日本スミレ同好会 スミレ愛好会 など