沢木耕太郎の見た香港を追って
ノリ一発で香港まで来てしまった。
JALのタダ券がマイレージのおかげで手に入り、急きょ有給休暇をとりやってきたのだ。
2泊3日という強行日程。今までの旅とは訳が違う。
![]() 空港のバスターミナル。バスは「バーシー」と読む。 |
![]() 空港発のバスにはチケットを買ってから乗る。 |
さて、空港に着いたけど、どうしようかな。
とりあえず、市内に出よう。でも、電車は高いねんな。やっぱバスやな。えーとバス乗り場は・・・。
香港国際空港はめちゃくちゃ広い!バス乗り場はイミグレを出て右手に歩いていったところにある。
すぐ目に付くのは電車の駅だ。なんかそのまま駅に吸い込まれていきそうやけど、バス停に向かう。
途中、HSBCのキャッシュディスペンサーがあったので、そこでお金をおろす。
空港ではTCや現金の換金はしない。レートが悪いのだ。
バスに乗って市内を目指す。さあ、短い香港取材の始まりだ。
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チョンキンマンション(重慶大街)
今はなき九龍城を彷彿とさせるこの建物は世界的に有名な安宿街。街と言っても土地環境は悪い香港のこと、18階はあるであろうビルの中に無数のゲストハウス(招待所)がひしめき合っているのだ。客の大半はインドやパキスタンからの出稼ぎか、アフリカからやってきた黒人たちである。安宿の相場はシングルで1泊80ドルから150ドル。香港の物価からすればきわめて安い宿が集まるこの不夜城に、今日も世界中から人が集まってくる。
チョンキンマンションは金城武・フェイウォンなどが主演の広東映画「恋する惑星」(1994)に登場する。10年前の映画だが、チョンキンマンションは昔から何も変わらないようだ。壊れかけのエレベータやいかがわしい勧誘文句が並ぶ案内板、香辛料の臭いを漂わせるインド人の姿。全てが今も存在する。
![]() 集まってトランプをする爺さんたち |
![]() 痛すぎるTシャツ発見!! |
『男は無表情に荷物を拾い上げ、何も言わずに歩き始めた。私も仕方なく後に従った。雑居ビルの中の迷路のような商店密集地を通りぬけると、突き当たりにエレベータがあった。年代物らしく、降りてくるスピードが恐ろしくのろい。ようやく1階に到着し、扉の開いたエレベーターからは、強烈な香辛料の臭いが溢れ出てきた。中国人に混じって何人ものインド人が乗っていたのだ。全員が降り、私が男の後ろから乗り込むと、また別のインド人が走り込んできた。この雑居ビルにはインド人がかなりいるようだった。』
沢木耕太郎−深夜特急1−より
![]() 夜のネイザンロード。ネオンが眩しい |
![]() 100万ドルの香港の夜景 |
夜のベイサイド。たくさんの観光客とカップルたち。コンピュータグラフィックで作ったかのような香港の夜景を背景に、地元の高校生だろうか、若い男女が楽器を演奏している。初めての街頭ライブなのかみんな照れくさそうにしている。キーボードの上の楽譜が海風に吹かれて飛ばされた。慌てるバイオリンの女の子とバスクラリネットの男の子。彼らのやり取りが微笑ましく見えて、思わず数回シャッターを切った。
![]() ベイサイドはたくさんの人で賑わう |
![]() スターフェリーに乗ってつかの間の航海へ |
『十セントの料金を払い、入口のアイスクリーム屋で五十セントのソフト・アイスクリームを買って船に乗る。木のベンチに坐り、涼やかな風に吹かれながら、アイスクリームをなめる。対岸の光景はいつ見ても美しく、飽きることがない。放心したように眺めていると、自分がかじっているコーンの音がリズミカルに耳に届いてくる。このゆったりした気分を何にたとえられるだろう。払っている金はたったの六十セント。しかし、それいい城いくら金を積んだとしても、この心地よさ以上のものが手に入るわけでもない。六十セントあれば、王侯でも物乞いでも等しくこの豪華な航海を味わうことができるのだ。』
沢木耕太郎−深夜特急1−より
![]() これでもかと言わんばかりの数のゲストハウスがひしめきあう |
![]() 香港ではゲストハウスは免許制になっているのだ |
![]() 17階から下をのぞく |
![]() いざ対岸の香港島へ!! |
![]() シンガポールのMRTのような地下鉄車内 |
![]() 色とりどりの魚が売られている |
![]() 女人街・昼間からすごい人出だ |
![]() モダンアート美術館 |
香港はすごい都会で、でもそれでいて素朴な臭いも漂ってくる不思議な街だ。南アジアからの出稼ぎに加え、先進国からの観光客が混じり、混沌としたこの街に、広東語がその存在を訴えるように飛び交う。沢木耕太郎が見た活気のある香港。潜在する力はまだ健在なのだろうが、外資が流入して異常なまでに膨張した香港の魅力は、当時に比べると少しずつ薄れていってるように感じた。