Romeo and Juliet
東京グローブ座改装記念柿落とし公演の『ロミオとジュリエット』に行ってきました。
お話はあまりにも有名なので特に説明する必要もないと思います。
鴻上尚史氏の演出はあくまでもひたむきで、河合祥一郎氏の新訳はシェークスピアの原文を意識した格調高い五七調です。
コスチュームも古典的で、男性は詰襟のジャケットに白いブラウス、細身のパンツとロングブーツが基調。女性は中世風ドレス着用なので可愛い。バストの下にギャザーが寄せてあってふんわりです。
思っていたよりもずっと狭い東京グローブ座は、たぶんどのお席からも舞台が非常に近いと思います。
ただ、舞台真横のお席からは肝心のキスシーンで見えにくいところがあるかもしれない。
客席降りのシーンは近い所に座っていればとってもラッキーですけど、そうじゃなかったら2階席や3階席の方が良く見えるんじゃないかな…。特にロミオがかくれんぼ状態になる辺り。
C列が一番前ですが、舞台の一番手前がなぜか盛り上がっており、しかも花が植わっているので、寝転がった芝居のところはセンター付近の席以外は全滅に近いと思います。これはもう少し考えていただきたかった。
で、とりあえず1回目の感想。
『面白かった!!』…です。長台詞もややこしい形容詞も気にならないくらいスピーディー。
舞台が開くと、そこは現代の書店で、恋愛小説フェアをやっている様子。何人かのお客のあと、ひとりの美女(瀬戸朝香)がやってきて『ロミオとジュリエット』を手にとる。すると上手、下手、客席後方からひとりずつプロローグを唱和し、書棚が崩れるとそこは中世イタリアのヴェローナの街へと変貌して、お芝居が始まります。
この切り替えが見事です。キャピレット家のものとモンタギュー家のものが争う真っ只中に客席が入り込んでしまうの。
1階席は舞台でも通路でも双方の役者たちが剣を交えてびっくりさせられますし、2階席、3階席も戦場です。
そして定石どおりベンボーリオ(大堀こういち)が仲裁を始めるのですが、ティボルト(猪野学)に一蹴される。
そして騒ぎを大公(金田龍一)に咎められ、今後両家の間に争いが起これば騒ぎを起こした張本人には死をもって償わせる…と宣告されるわけです。
モンタギュー家の当主夫妻はベンボーリオから事情を聞いた後、息子のロミオがそこに居合わせなかったことを確認し、そして彼が悩んでいることを聞き出すようにベンボーリオに頼むのでした。
…そして…ロミオ(東山紀之)登場!!恋に悩むロミオは憂い顔で客席上手通路を後から歩いてきます。
ロミオが恋焦がれる相手(しかも相手にされてない)はキャピレット家の姪ロザライン。キャピレット家の女性って美女が多いのかしらね?
ベンボーリオはそんなつれない女性を思いつめないで、もっと他の女性を見るように…とロミオに勧めるのでした。
ロミオは聞く耳もってないけど…しかも客席を埋め尽くす美女たちを見渡して『美しい女性を見て何になる?あの人がもっと美しいと思い知るだけだ』…と、人でなしなセリフを…
そんな風に客席通路は舞台と一体となってお芝居が進んで行きます。
大公の身内のうち、マキューシオ(河原雅彦)はロミオの親友でモンタギュー家寄り。パリス(鈴木ユウジ)はジュリエット(瀬戸朝香)を妻にと望んでいるためにキャピレット家寄り。
ジュリエットは恋も知らない14歳にもならない美少女で。瀬戸朝香ちゃんがもう、可愛いんですよ!!
母親と乳母に呼ばれて駆けて来るシーン、本当に14歳の少女に見えます。ほっぺがピンク色で。
パリスを好きになれますか?と顔も見たこともない男との結婚話を母親から聞かされても、母親の言う通りにする…と答えることのできる子供。
それが、パリスと引き合わされるために催されたパーティーで、ロザライン目当てにやってきたロミオと一目で恋に落ちる。
パーティ会場からロミオがジュリエットを連れ出す場所は舞台上手にしつらえた回廊。ここで初めてのキスと2度目のキス。
ジュリエットに会いたいばかりにベンボーリオとマキューシオから隠れるシーンは、お客さんをキャピレット家を囲む木立に見立ててかくれんぼです。C列とD列の間の通路、および下手通路はかなりおいしい。
ベンボーリオとマキューシオは私たちのことを『この木立』『このとうの立った木立』と呼びますけど、せっかくなんだから一度は『この娘たち』と呼んで欲しいものです。『盛りの過ぎた娘たち』も可。
そして有名なバルコニーのシーンへ。
この赤面もののセリフを大まじめに、可愛く言えるヒガシくんと朝香ちゃんに脱帽です。3回目のキス、4回目のキスはここで。
次の日の午後にはふたりはこっそりロレンス神父(渡辺哲)のところで結婚式を上げてしまう。
それまでは朝香ちゃんの可愛さの方が勝ってますけど、ここのシーンはヒガシくんが本当に16歳の少年に見えますよ!!
5回目のキス、6回目のキスはここで。…しかも長い!!
祈祷をしながらお互いに手を伸ばして触れ合うところ、ヒガシくんの笑顔にやられます。大マジで。
幸せ絶頂の二人は、その夜結ばれることを前提に家に戻るのですが、帰り道でロミオはティボルトから因縁をつけられ、ロミオを侮辱されたマキューシオがロミオの名誉のためにティボルトと争って殺され、そしてロミオもティボルトを殺してしまう…
ベンボーリオがロミオを逃がし、大公と両家の当主夫妻が出てきて1幕目は終り。
2幕目はティボルトの死とロミオの追放に悲嘆するジュリエットが、運命に追い詰められていく様子が中心です。
やっぱりロミジュリの主役はジュリエットなんだよね〜。
ヴェローナから逃げていく前にロミオはジュリエットと結ばれます。そのことは乳母しか知らない。二人が愛し合っていることも、結婚したことも乳母とジュリエットの秘密。
…でも、『朝チュン』でしたね。完璧な『朝チュン』。
結ばれるシーンはなくて、ひばりのさえずりから始まる…その前に確か、膨大な愛のシーンが会ったような気がするが…
ロミオが逃げたあと、パリスと無理やり結婚させられそうになったジュリエットは、ロレンス神父の怪しげな薬で仮死状態になって、でもロレンス神父からの手紙を受け取らなかったロミオは、ジュリエットが本当に死んじゃったと思ってさらに怪しげな薬で自殺。
そして、目覚めたジュリエットはロミオの死を悲しんでロミオのナイフで自殺します。
恋も知らなくて結婚相手も親任せだった深窓のお姫様が、ロミオに恋して、秘密の結婚、そしてロミオと一緒になるためには親も騙し、怪しげな薬も飲み干す賭けに出て、さらに自分の胸に短剣を突き立てるほど激しく情の深い女になっていくの。
メールも電報も電話もない時代だから、人任せの手紙と伝聞のやり取りだけだから、すれ違い、気が狂うくらいの恋だから、一気に死を選んでしまう二人に泣かされます。
二人の死で両家は和解し、ヴェローナに平和が訪れる…で物語りは終り。
こんな時代だから、争いは不毛で暴力は憎しみの連鎖しか引き起こさない…と言いたかったんでしょうけど、最後の戦争の映像は不要かな?言われなくてもわかる…と思いました。
それよりも、悲しみの場面にひらひらと舞い落ちる花びらの美しいこと。舞台にも役者の上にも降り積もり、そして1階席の客席の上にも舞い落ちて、愛の尊さを愛し合う美しさを教えてくれたような気がします。
アンコール、まずは主演のおふたりが、そして全員と手をつないで礼のあと、何度か主演のおふたりはアンコールに応えます。
二人が消えてもなお拍手をすると、客電が点いた後もう一度おふたりが現れますし、調子がよければ他のキャストも皆さんもう1回出てきてくれます。
拍手に手を抜かないように(笑)