ファーストステージを9位で終えた東京。今季の目標でもあるタイトル奪取の可能性はこの日から開幕するセカンドステージ、天皇杯しか残されていない。その為にも、と言う訳ではないが、大事な開幕戦は今後の勢いにも繋がる為、決して落とせない。呂比須・内藤が離脱したが、布陣は1st終盤戦から変わらない。
対する柏は優勝候補の呼び声も空しく前期6位に終わり、監督を西野氏からペリマン氏に交替して臨む初戦。黄善洪・柳想鉄をツートップに、洪明甫をボランチに配している。年に1度の『サンバナイト』も開催され、サンバショーで彩られた東京スタジアムで2nd開幕のホイッスルが吹かれた。
試合は柏のペースで進んでいく。小峯が位置取る東京の右サイドを狙い、中盤から韓国人ツートップへ向けてロングボールを送って崩しにかかるり、時折中央からMF大野がゴール前にパスを送るもののゴールにまでは至らない。特筆すべきは伊藤哲の働き。この試合を通じて、鋭い出足でのパスカットやボールが渡っても激しいマークでピンチの芽を摘み取っていた。
攻撃面では左サイドの小林成が沈黙し続けた影響か、右サイドからの突破に偏ってしまう。好調を維持する由紀彦は幾度もチャンスを作るが、いかんせん一本調子の感は否めず、洪がボランチに上がってやや不安定な柏DFを崩すことが出来ない。それでも三浦が積極的に攻撃に絡んでいくことで何とか試合を互角の状態に持ち込んでいく。
柏がやや優勢のまま膠着状態に入っていた34分、フィールド中央付近で攻めにかかろうとしていた柏からケリーがボールを奪い、そのままドリブルを開始。ケリーから前線にいたアマラオにボールが渡り、アマラオは左側を追い越していったケリーに向かってすかさずパスを出す。柏DFを引き付けたケリーはグラウンダーの横パスを送り、中央に走りこんできた三浦を通過したボールは逆サイドの由紀彦へ。由紀彦は落ち着いてボールを処理して柏ゴール右隅にシュートを突き刺した。やや劣勢ともいえる状況の中でのカウンターが見事に決まって東京が先制する。
この先制点を契機に柏の攻撃がヒートアップし、東京ゴール前で何度かFKの好機を得るものの、東京もなんとか踏ん張って得点を与えない。東京も返す刀でチャンスを掴んだが得点できないものの、リードを奪ったまま前半を終える。
後半に入り、両チームとも選手交代で流れを自らのものにしようとする。東京は沈黙を続けた小林成を増田に代える。柏はFW北嶋を投入して柳を中盤に、洪をボランチからDFに下げて守備の安定と攻撃の活性化を同時に図った。試合は前半終盤の流れを引き継いだかの様に攻め合いが続く。
55分、柏自慢のアウトサイドの一角、左の平山からクロスが送り込まれる。このクロスは土肥がパンチングで逃れるが、中央に攻め入っていた柏自慢のアウトサイドのもう一角、右の渡辺光がペナルティーエリア付近でそのクリアボールを抑えて大野に繋がる。大野がミドルシュートを放つと、ここしかないというコースにボールが吸い込まれ、柏が同点に追いつく。
その後は中盤でのマークが緩くなり、両ゴール付近での攻め合いが繰り返される。柏が東京DF裏に抜け出そうとするプレーには土肥の鋭い飛び出しで事なきを得る。東京も小峯が再三攻め上がって柏DF裏へパスを送ろうとするものの精度が無くチャンスを潰していく。それでも小峯のパスが三浦に渡りGKと1対1になるチャンスも、シュートがGKの正面を突いて勝ち越せない。
どちらが得点してもおかしくない流れで迎えた75分、交代出場していた喜名がボールを奪い、それを受けたケリーが右の由紀彦へはたく。ドリブルで攻めあがった由紀彦は鋭い切り返しで柏DFを振り切り、中央に走り込んできたケリーに折り返す。ケリーはそれをダイレクトで蹴り込んでゴールネットを揺らした。積極的な守備からの素早い攻撃を繰り出し、前日に長女が誕生したばかりのケリーのバースデーゴールで東京が勝ち越した。
残り時間は15分。同点に追いつくべく柏は猛攻をかける。逃げ切るべく東京はカウンターをちらつかせながら守備を固める。そして約3分のロスタイム。ドリブルで突っかけた増田がボールを奪われ、そこからつながったCKは土肥が難なく処理。土肥はパントキックで大きく前線へ送るが、相手GKが抑えてすかさずMF明神→大野へとボールが渡る。ハーフウェイライン上からペナルティーエリアに蹴りこまれた大野のクロスボールに、CKで攻め上がったままだったDF渡辺毅が飛びついて中へ折り返す。それにいち早く反応した柳が押し込む。試合終了まで残り僅か、東京にとっては悪夢の、柏にとっては起死回生の同点ゴールが飛び出した。
そのまま延長にもつれ込み、双方共にチャンスを作り出す。柏はDFを投入して由紀彦をケアし、東京は土肥が気迫のこもったセービングを見せて互いにゴールを割らせない。120分戦い抜いたが、結局同点のまま試合終了。東京にとっては勝点2を失った試合となってしまった。
最後まで諦めずに同点に追いついた柏の粘りは見事だったが、勝ち越した後の東京の試合運びにも疑問は残った。DFラインは引きすぎてしまわなかったか。ロスタイムに入ってまで無理して攻め込む必要があったのか。CKを防いだ後にすかさずボールを蹴り出すことはなかったのではないか。全ては結果論になってしまうが、より安全に、より確実に、逃げ切る為の方策というものがあったのではないかと思ってしまう。追いつかれてもなお突き放すという展開は今季初めて見たのだが、その精神的な強さを最後まで持続させることが出来なかったのが残念で仕方ない。
試合の流れから、延長で負けなかっただけ良かったとも言えるが、はっきり言って『勝てた』試合であったことに変わりは無く、今後に一抹の不安さえ感じさせる試合であった。 |