メッセへの道
第三回 「 GUNチャン登場 」

三月。最終的に出展申し込みが終わった。
30小間。前回は45小間。三分のニの大きさだ。
今も出展物の内容は決まっていない。

レイアウトを練っていた。前回までは Mac を使っていたが、今はWindows である。ノートはNEC のNr12 である。メモリーは目いっぱい増設してあるが、それでもけっこうつらいものがある。
Mini-Cad 4.0 を使って3Dにする。そうすれば、社内の検討用に3Dのレイアウト図を使うことが出来る。外注するとけっこう取られるのだ。

「げっ!フリーズしたっ」
不安定だ。Nr12 も虚弱体質なら、Winも不安定だ。なんだってこんなに弱いのだ。もっとも、Mac も似たようなもんだ。それでも個人的にはMacの方が好きなのだけれど、パワーポイントと互換しないんだな・・・
「ちくしょったれ!」
Ctrl+Alt+Delete ・・・

30小間は、横5小間 X 縦3小間。1小間は、約 3mX 3mだ。
小間の大きさは、横 15mX 縦 9m となる。
小間の中央に大型のモニターを置く。
モニターの大きさは・・・、5X5の25面キューブ・・・、幅約4.5m、高さ約3m・・・いいんじゃない、かなり目立つでしょう。

モニターの部屋に入る前と、見た後、小間全体を3つに区切る。
前で興味を引き、モニターの映像でプレゼンテーション、そのあと実物のデモンストレーションで現実味をもたせる・・・

会場の人の流れをどう読むか。ブース内の人の導線は。

タバコを咥えて火をつける。椅子の背もたれに寄りかかり、PCのモニターを眺める。見ようによっては、いや、見ようによらなくてもかなり不遜な態度。

3月*日。P社のS氏がGUN氏を伴ってやってきた。
「こんど、御社を担当させていただくGUNです。宜しくお願いします」
GUN氏はかなりユニークなキャラクターの人物だ。
身長は180は超えているだろう。長い手足にがっちりとした広い肩幅、俊敏そうな引き締まったボディ。
整った顔立ちに異彩を放つスキンヘッド。ジャン・レノを髣髴とさせる。
N体育大学出身で、トライアスロンをやっていたそうだ。

応接室に通ってもらう。
「今日は映像のプランを持ってきました。」とS氏が切り出した。
私はといえば、GUN氏の様子が気になってしょうがなかった。
「かなり、ラフなんですけど、コンテを用意してきましたから・・・」
( ほよよ、何者だ? なんかすっごいなあ )
「ほんとは、ディレクターのSAKAが来れればよかったんですけど・・・」
( S さんもけっこう怖いけど、これはかなり恐ろし気な人だぞお )
「じゃ、見てもらえばわかると思いますけど、簡単にご説明しますね」
( むむむ・・・、どこまでがオデコなのかなあ )
「あっ、はいはい」と絵コンテを開く。

「・・・ガイド役の博士と、女性キャスターが宇宙船に乗って、未来のセンターへ案内します」と、S氏が説明をはじめた。
コンテには、スーツ姿の女性と白衣を着た”お茶の水博士”が描かれていた。

「宇宙船が飛ぶシーンは、CGでかっこよく仕上ます。そして、センターの中では、機能別にわかれた各ゾーンを博士の案内で、御社の製品を紹介していきます。実写の中を博士とキャスターが進んでいくんですけど、ここで例のバーチャルスタジオの合成をつかって、いかにも製品の前に2人が立って居るように見せます」

S氏が自信ありげに説明する。

「うんうん、いい感じじゃないの。・・・でも、キャスティングが難しいかな」と、私。
「ええ、それはSAKAともう少し検討してみないと。それと、素材なんですが、どうします。ありものだけでいきますか?」とS氏。
「いやあ、もう古くなってるし、せっかくだから新しいの入れましょうか」
「じゃあ、ロケを?」
「うん」
「どこか、もう決まってますか?」
S氏が身を乗り出さんばかりだ。

制作をやっていると、やっぱりロケは心踊る。ありものの編集だけではつまらない。
素材そのものがシナリオを意識していないので、しっくり来ない場合が多い。(それに代理店からすると、ロケは利益の素なのだ)

「まだ・・・なんとも。でも、HC社は行きたいなと思ってるんだよね」
「HC社ってどこに・・・やっぱり北海道ですか?」
「そりゃそうでしょ、HCってぐらいだから。函館です」

今度はGUN氏が身を乗り出す。
「いいですねえ、北海道」
満面の笑顔がやさしげで可愛らしい。

「ええ」つられて私も思わず微笑んでしまう。
「でも相手があることだから、それに実写の部分のシナリオをもうチョット検討して素材の状況確認してみないと」

「じゃあ、そこんとこ、DONKYさんの方で検討してもらえます?」
「そうですね、そうしましょう」
「では次は、・・・*日にうかがいます。それまでに概略でいいですから」と、S氏が締めた。