| 第二十六回 「デモ・プラン 」 会議室。準備委員のメンバーが集まっていた。デモンストレーションの最終プランの打ち合わせが行われていた。
展示のシステムは、展示会が終わるとそのまま得意先に納入の予定である。自然とその営業担当のシンちゃんが、システムの仕様や、デモ運転の運用などの責任者になっていた。技術部門の担当者とのパイプもある。
繰り返しデモ運転のスケジュールが組み直されていた。どの動作に何秒。その時のMCのコメントはどうで、何秒。ここで動作が切り替わって何秒。
「だめやなあ」ムータンが椅子の背にもたれかかり頭の後ろで手を組んだ。
「もっとナレーション詰めますか?」とシンちゃん。
「でも、今の、全部売りなんやろ」ムータンは思案顔でシンちゃんの方を見やった。
私はなんとなくぼんやりと二人の様子を眺めていた。ムータンは頭頂部から、シンちゃんは前額部から、髪の様子があやしげになってきた。
まだ若いのに。などと余計な事を考えていた。
「運転のほう、もっと延ばせんと?」
「ワークの供給が間に合わんです」
ムータンとシンちゃんの話し合いが続いていた。
そのとき、それまで黙って話を聞いていたタケボーが
「足りない分は映像で流しちゃいましょうか」と言った。
シンちゃんが、おっ、といった顔でタケボーの方に振り向いた。
展示機の背が高いために、上面を流れるワークの様子が来場者から見えにくい。そのために、小間装飾の上のほうからCCDカメラで撮ったライブ映像を機械のすぐ横の60インチモニターに映すことにしていた。
タケボーの提案は、そのモニターに始めに説明用のVTRを流して、実機の動作時間が足りない分をカバーしようというのである。
どうやらずいぶんと映像づいてきたみたいだ。私はなんとなく嬉しくなってしまった。何故だかわからない。なんとなく嬉しかっただけだ。
「いいけど、できるかいな?」
ムータンが私の意見を求めてきたようだ。
「いいんじゃない。できるよ、たぶん。でも映像素材がないなあ」
「ロケですか。実機のロケっていうと、北海道ですね」
タケボーが身を乗り出さんばかりに勢い込んだ。おいおい、そればっかりのために北海道までロケに行けるわけないでしょう。ましてまだトラブルはおさまっていないのに。
「んなわけないでしょう」私は苦笑した。「工場でテストするんだから、それを撮影しよう。むこうの業者に頼めばいいよ」
タケボーも苦笑しながら「ですよね」とポリポリと額を掻いた。
「シナリオはシンちゃんが書いてよ。それからだいたいどんな画が欲しいかもね」
どうやら工場での撮影に立ち会う事になりそうだ。編集はどうしよう。P社に相談してみるよりないな。
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