メッセへの道
第三十回 「 準備へ・・・(1) 」

プロモ―ションビデオの完成パッケージが事務所に届いたのは10月に入ってすぐであった。
私達準備委員とP社のS氏とGUNちゃん、ディレクターのSAKA氏が会議室のテレビの前に集まった。
「じゃ、さっそく見てみましょう」
GUNちゃんがテープをVTRデッキに挿し込んだ。

私とタケボーは既に完パケを見ていたが、ムータンとシンちゃんは初めてである。
オープニングとともに始まるCGを見て、「おお、かっこいいやん」と、ムータンがうなずいた。
私とタケボーの顔には満足げな笑みが浮かんでいたことだろう。
SAKA氏も満足げだ。サラウンドの音響をひき、宇宙船が飛び去ると、特にサラウンド音響にこだわっていたS氏が嬉しそうに、「どうです。迫力あるでしょう」と言った。
初めて見たムータンとシンちゃんにも充分迫力が伝わったようだった。これを展示会場の大画面で流せば話題性も、視覚効果も抜群だ。約20分。やや長いが、この内容なら充分耐えられる。見終わった私達はしっかりとした手応えを感じていた。

「これでいいですね。こっちがセールスマンの携行用になります」
SAKA氏が別のテープを出して、デッキのテープと入れ替えた。
「イベント用のとはエンディングだけがちがっています。そこだけ見てください」
イベント用では、VTRの中のキャスターから会場のナレーターにナレーションを渡すようにつくってあるが、セールス用は最後のコメントとが終ると、エンディングロールが流れるようになっている。
「いいですね。オーケーです」
私はSAKA氏に頷きながら応えた。

SAKA氏はコピーの本数を打ち合せて、先に引き上げた。
私達は準備の最終確認を行った。
「まず装飾造形の確認からしましょう」
S氏がそう言うと、GUNちゃんがかばんから図面を取り出した。
「これが最終の図面になります。これが平面図で、こちらが立面図。
 メインのサインはここと、ここ。ここがシアターの入り口になります。入場口はこ
 こ1ヶ所です。これが、16面マルチの大型モニターで、バーチェアを横に3台
 の4列で合計12台置きます。
 スピーカーは前方に2台、後方に2台設置します。出口はここと、ここの2ヶ所。
 外開きで、ノブは外にしかつけません」
GUNちゃんが図面の説明を続けた。
「出て右側にモニターを1台。正面が展示機械となります。左に回ってパネルの 展示コーナーを通って出口になります」
「接客コーナーへは?」と、ムータンが尋ねた。
「ここからは通れない。外から誘導するしかないな」
GUNちゃんに代わって私が説明を補足した。

図面を見ながらの確認が続いた。音響、照明の位置や台数、壁の色や、ロゴサインの位置、大きさなどが入念に確認される。
しかし、図面での確認は所詮は机上のものである。現場に行けば必ず追加や修正がある。
「じゃあ、これで製作発注しますので」
S氏の確認があって、造形の打ち合せが終った。