メッセへの道
第三十一回 「 準備へ・・・(2) 」

VTRの完成パッケージの確認と、小間の装飾造形の確認が済んだ後、ムータンから運営要綱書が皆に配布された。
運営要綱書とは、展示、造形、展示機のPR内容のほか主に展示会期中の社員の着衣や配置、対応や食事の手配にいたるまでを規定したもので、準備委員がまとめるものである。内容は実に様々に細部まで及んでいる。前回までのひながたがあるとはいえ、これをまとめるのは大変な作業である。
今回の要綱書はほとんどムータン一人でまとめたと言ってよかった。

ムータンが内容を説明した。出展コンセプトにはじまって、会期中の人員計画、飲食物の管理や昼食の弁当の手配などなど、ムータンらしく細部までよくまとめられていた。
この要綱書に基づいて、社内、協力企業への説明会が行われる。

「説明会は来週の水曜日の予定です」
「うちの代理店さんは呼ぶの?」と、タケボーが尋ねた。
「うん。今回は新製品発表もないので、向こうの展示会担当者だけきてもらうようにした」
代理店の窓口担当者でもあるムータンが答えた。

今の時点で私達にとって最も重要なのが、設営の予定と段取りである。
展示会の会期は月曜日から金曜日の5日間。設営は会期前の金曜から日曜までの3日間である。
「日曜の朝から備品関係の搬入やセッティングをして、午後からリハーサルの予定やから、機械の試運転は日曜の午前中までには終らせないかん」
出展機の担当のシンちゃんにムータンが確認するように言った。

「えと、搬入車両は金曜の朝から入場できまして、土曜の昼には試運転開始の予定っす。日曜の朝からは機械側だけのデモ運転のリハーサルに入ることになっとうです」
「受電の予定は?」
私がシンちゃんに質問した。機械が据え付いても、電気がなければ動かない。問題が出るのは動かし始めてからである。少しでも早く試運転を始めたい。
「送電開始は土曜の午後からなんすが、希望を出せば優先工事してくれるそうです」
「設営工事が始まったら電気工事業者のデスクが出るから、すぐに念押しに行っといた方がいいよ」
「あ、はい。菓子折りでも持って行きます」

「造形の業者は一応金曜の朝からの予定です」
P社のGUNちゃんが説明を引き継いだ。
「機械の搬入と重なるね」
「現地の様子を見て、邪魔にならない方から始めたいと思います」
「少しずらせないの?」と、私が尋ねるた。
「16面のマルチモニターは調整にけっこう時間がかかるんで、できるだけ早くしておきたいんです」
「機械の回りは避けて、接客スペースとエントランス回りから始めます」
S氏が補足の説明をした。
「その辺は現場で様子を見ながら調整するしかないですね」

現地の工事予定、運営要綱書の確認が終るといよいよ展示会である。