メッセへの道
第三十六回 「 リハーサル(1) 」

メッセのレストランで昼食を摂った。イベントが開催されていない期間は、開いているレストランも限られるし、営業していてもメニューが限られている。ただし、少し価格も安価に設定されている。

食事からの帰りに他のブースを見て回った。どのブースもほぼ出来あがって、なかにはリハーサルに入っているブースもあった。
私達のむかいがわのブースでは、まだまだ設置工事の真っ最中である。
このブースは私達のライバル会社のブースで、例年大きな小間をとり、独創的な装飾と、演出で注目を集めるブースである。
今回は、ブース全体を2階建てにし、手すりや壁面を木と、木目の経師で飾り、驚いた事に、白壁に漆喰をつかって、作り上げている。
窓枠や、破風などもつかい、なんとも本格的な造形だ。

出展機も搬入され、機械の調整もはじまっているようだが、造形の方はまだ7割くらいの出来であろうか。
私は他人事ながら少しだけ心配になってしまったが、反面、もし開会までに間にあわなっかったら、おもしろいことになるという思いも大きかった。

もう一つ、ライバル会社の大きなブースが、私達のブースよりも少し奥に行った、メイン通路のどん詰まりにあった。
こちらはブースは大きいが、目だった装飾も演出もなさそうで、大きさが返ってブースのめりはりをなくさせていたが、簡単なブースなだけに、すでに完成しているようであった。マイクチェックがはいり、ブースの回りに設置された40インチモニターにも、デモテープが流れていた。

隣のブースは、大きさも私達のブースとほぼ同じくらいであった。なにやら白いシートのようなものが搬入され、何がはじまるのかと思っていたら、みるみる膨らんで、なんと直径3〜4メートルのエアドームが出来あがっていた。
「中で3Dの映像を流すらしいですよ」
タケボーが誰から仕入れたのか、隣の演出を聞いてきた。
3Dといえば、今回の計画当初、私達も企画した。
どうやら難しそうだということでボツにした企画だっただけに、どんな仕上がりになるのか気になった。
しろい大きなエアードームはかなり目立つことは間違いない。

各社の広報担当やイベント屋が、練りに練った企画がぶつかり合う。
展示会は出展企業の製品を展示する場だが、面子を競うのはある意味我々イベント担当者の企画と演出なのだ。
今のところ私達のブースはアイキャッチの面では充分に面目を施していると言えた。

設営が済んだ応接スペースで、煙草を吸いながら缶コーヒーをすすっていると、「おはようございま〜す」と、元気のよい心地よい声がした。
ナレーターのNとYが入ってきた。