霞沢岳

2004年12月27日〜30日

 私は今年の正月は家で過ごそうと考え、年末に山行をと思っていた。 ちょうどAさんとFさんが4日間の休みが年末に取れると聞き、 3人で山に行こうということになった。 冬山初心者もいることだし、 対象は3人の実力を考えて霞沢岳を私が提案した。


27日 天気:くもり
中の湯入口8:30〜10:30河童橋〜11:35明神〜12:30TS(林道終点)

 沢渡に車を置き、タクシーで釜トンネル入口へ行く。 年末にまだ間があるためか、長野県警は出張していない。(28日からと後で知る。) 河童橋の近くで治山工事をしているため、ひんぱんに工事車両が行き交う。 しかし、登山者はまだぜんぜん見かけない。 アイスバーンとなった道路の上に薄く雪が乗っているために歩きにくい道だ。 河童橋を過ぎると、急に静かになる。 雪は5cmほどで、下りのトレースがあった。 明神の少し先で徳本峠への道に入ると、トレースはない。 しかしラッセルというほどの雪はないので楽だ。 林道終点で道路上にテントを張ることも考慮して、荷物を置き少し先を偵察する。 すると沢のヘリに平地が得られ、しかも簡単に水が得られる場所が見つかった。 少し時間が早いが、峠までは遠いのでここにテントを張る。

 今回は3人パーティーで3泊の予定なので、食料担当を決めず、 各人が1泊分の食事を用意することにした。 この日はFさんの担当で夕食は「カツとじ」だった。


28日 天気:はれ
TS7:10〜9:25霞沢岳分岐〜12:20ジャンクションピークBC

 徳本峠への登りとなると雪はやや増える。 くるぶし程度の量なので、さほど苦にならない。 それに道は規則正しくジグザグになっていて歩きやすいルートだ。 夏のコースタイムとあまり変わらない時間で徳本峠・霞沢岳分岐に着いた。 標識の雪を払って写真を撮った。

 霞沢岳分岐からは膝ていどのラッセルになった。 夏道は標識が豊富でわかりやすかった。 次第に雪が増えたので一時ワカンを付けたが、 ワカンを付けても雪が柔らかくほとんど地面までもぐってしまう。 急斜面も所々あるために、すぐにアイゼンに付け替えた。 ルートは終始深い樹林で展望はほとんどない。 それでも所々樹木の間から北側の山が見える。 朝のうち高い山は雲に隠れていたが、 次第に青空が広がり、蝶ヶ岳や常念岳が山頂まで見えるようになった。 夏よりも大幅に時間がかかったが、とうとう斜面は緩くなり、 ジャンクションピーク頂上らしい一角にでた。 少し樹林が開けた場所があり、ここをテントサイト候補にし少し先に進んだ。 するとテントがひと張できる展望のきいた場所があり、 樹木の幹に赤ペンキでJPと書いてあった。 JP山頂は東から南東方面の展望があり、 正面に八ヶ岳、そして南アルプスの山並も見渡せる場所である。 西側は深い樹林で風を避けられ、ベースキャンプとして絶好である。 夕方には八ヶ岳は雲海の上になり、夜は夜景がきれいだった。

 明日は長時間の行動が予想されるために、 暗いうちから歩くつもりだった。 そのために明日歩くルートのラッセルをおこなった。 しばらくは下りが続くので、ラッセルの効果はあまりない。 しかし明るくなるまでは夏道どおりに歩くことは困難と考えた。 テントサイトから少し進むと、目指す霞沢岳と樹間にK1に続く稜線が眺められた。 霞沢岳の左手には乗鞍が鋭利な形の山頂をのぞかせている。 おおらから樹林の山を歩いて来たためか、予想以上にアルペン的な霞沢岳の風貌に見とれた。 しかし、反対側に濃い針葉樹林の間から明神の岩峰をチラッと見ると、 やっぱり穂高には見劣りすると感じがっかりもした。 風もなく青空の見える冬としては珍しいこの日の天気が、明日だったら、 また明日も続くことを願ってのんびりとテントに戻った。
 今日の夕食はAさんの担当で「うなぎ丼」であった。


29日 天気:雪
BC6:00〜10:20引き返し〜13:25BC

 小雪がちらつく天気だったが、視界はさほど悪くない。 出発して30分ほどで昨日つけたトレースの終点に着いた。 ここで大休止し、明るくなるのを待った。 ラッセルは終始膝程度であった。 小さな登り降りがいくつかあり、やっとK1への登りとなる。

 このあたりから針葉樹林が樺の疎林と潅木帯となった。 当初、針葉樹林帯を突破してしまえば、雪が少なく歩きやすくなると考えていた。 しかしこの思惑は逆の結果となってしまった。 潅木帯は雪が深く遅々として進まなくなった。 今までアイゼンで歩いて来たが、ついにワカンに替えた。 やっとここを抜けると、急斜面になりワカンでは登高不能になった。 またアイゼンを付けるが、 雪が不安定で胸をつくラッセルとなる。 我々は全員パワーがないが、 この斜面の登高に不安を抱くメンバーもいた。 また無理してここを登りきっても、頂上には時間的には無理なので、 半分ほど登った地点で、登頂をあきらめ引き返した。
 この日の夕食は私の担当で「マーボー茄子」だった。


30日 天気:くもり
BC6:55〜7:55霞沢岳分岐〜8:45林道終点〜10:10小梨平〜12:00中の湯入口

 前日の夕方から雪になった。 ゴーという風の音はするが、テントのあたりは風はあたらない。 この雪も朝には止んでいた。 テントのあたりではうっすらとトレースは残っていた。 もう下りだけで、しかもトレースもあると出発前は楽観ムードだった。

 ゆっくりと支度をしたので、撤収した頃には十分明るくなっていた。 歩き始めるとすぐに、トレースはほとんど消えていた。 樹林で展望がないために、夏道をはずすとやっかいになるので、 慎重に標識を探しながら下降する。 たいていルート選択に迷うと、決まって標識があった。 一度道を見失い、ブッシュとなってしまったので登り返す。 ここは尾根を右に越す場所で、迷いやすいと思った。 ここからはトレースが残っており、やっと安心した。 そして霞沢岳分岐に出ると新しいトレースがあった。

 明神で入山後はじめて登山者に会った。 この時は、しばらく人の気配もない場所にいたので、妙になつかしかった。 だが、正月近い上高地である。 ここからは次から次と登山者にすれ違い、 少し前までの自分たちだけの世界が非常に懐かしく思えた。 力不足で登頂はできなかったが、自分たちだけの登山を楽しめた幸運を喜んだ。


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