魚野川支流・渋沢

2004年9月11日〜12日

 谷川連峰と志賀高原の間にある中津川流域の山は地味な山である。 しかし山の奥深さと樹林の見事さは素晴らしいものがある。 私が若い時に所属していた会にこの山域の精通者のKさんがいた。 彼はこの山域を「この山域には一流のものはない。 二流のものでもこれらがまとまると一流の素晴らしい山になる。」 と表現していた。
 渋沢は信濃川の支流中津川水系の沢である。 中津川は切明で雑魚川と魚野川に分かれ、 魚野川の一番大きな支流が渋沢である。 (位置図



9月11日
天気:くもりのちはれ
3:00野反湖6:30〜7:35地蔵峠〜10:15渋沢出合10:45〜ゴルジュ上12:30〜15:50TS(コザ沢出合・二俣間)

 横浜を出たのが遅く、野反湖に着いた時はすでに3時。 駐車場で仮眠する。 心配していた天気は途中で少し降ったが、この頃には星も見えるようになっていた。

 野反湖から白砂山への登山道をたどり、 地蔵峠で切明への道に入る。 この道は魚野川の谷底へ下る道であるが、 大きな沢を横切るために、いったん標高1800mあたりまで登り、 最後は標高1080mの渋沢出合に一気に下る。 この下りはブナを主体とした樹林が素晴らしい。 風の影響が少ないためか、素直に延びた大木が目立つ。 新緑の頃にこの道を通りたいと話し合いながら歩いた。

 崩れ落ちた旧渋沢小屋を過ぎ、 渋沢ダムが見える吊橋の手前で渋沢に下りる。 渋沢は幾筋かの流れに別れた広い河原になっている。 そして水辺まで鬱蒼とした樹林がせまっている。 こんな川をのんびりと歩けたらという思いは、 すぐにゴルジュに会い消えた。 入口の滝は深い釜を持っていて、 右岸をへりれそうだが、水量が多く釜は渦を巻いている。 落ちたら面倒になると考え、ここは右岸を高巻いた。

 暗いゴルジュはなおも続き、 深い瀞が連続する。 一度カメラを首にかけたまま、深い瀞に突入してしまった。 次第に瀞は深みを増し、とうとう足が底から離れた。 カメラが水没するところで、カメラを口に加えて難を逃れた。 出口に近い箇所で深い釜を持つ滝に出会った。 左岸にルートがあり、 右岸からAが水中を左岸に飛びつく。 上手い具合に岩に手が届いたが、 つるつるの岩に体が水中から持ち上がらない。 冷たい水にとうとうあきらめて、泳いて元に戻った。 ここは右岸を大きく巻く。

 ゴルジュを抜けると、沢は河原状になる。 とりたてて悪場はないが、ところどころに瀞があらわれ、 体が乾く間がない。 思ったより時間がかかり、 大滝上まで今日中にという希望は消え、 目標を東ノ沢との二俣(1380m)にする。 4時少し前に、二俣の少し手前の左岸に広い台地があった。 砂地の平地があり、流木も豊富なために、ここでこの日の行動を止めた。 タープを張り、焚き火を囲むうちにようやく濡れた服が乾いてきた。 星空を眺めながら話が弾んだ。 やはり沢はいい。


12日 天気:はれ時々くもり
TS6:30〜7:00二俣〜7:15ゴルジュ7:30〜9:15大滝上9:30〜10:10奥の二俣10:50〜10m滝11:30〜12:30源頭12:50〜13:30堂岩山13:50〜15:35野反湖

 夏の盛りを除いて、朝の渡渉は躊躇するものである。 しかし夜の寒さのわりに、水の冷たさは感じなかった。 出発してすぐに東ノ沢、西ノ沢とを分ける二俣に着く。 本流の西ノ沢に入る。 昭文社の地図ではこのような名がついているが、 Kさんの遡行図ではこの先の奥の二俣(1630m)を東ノ沢、西ノ沢との分岐としている。

 二俣のすぐ先は顕著なゴルジュとなっている。 入口には3mほどの滝があり、その奥で沢は右に大きく屈曲し、 その奥に大滝が隠されている。 少し戻りガレ状のルンゼから右側のブッシュ帯を登る。 左へ草つきをトラバースし、 いやらしい草つきルンゼをザイルを出して直上すると尾根に出た。 ここまで1時間かかった。 なおも尾根を登ると、河原が見下ろせる位置に出た。 急なブッシュ帯を下ると、次第に傾斜が落ちて谷に下りれた。 下りた場所はちょうどナメ状の小滝の上だった。 この上にはもう悪い箇所はないために、 岩に腰掛け、開放感あふれる休息をとった。

 ゴルジュから上はしばらく河原状の谷を歩く。 水量が減ったのか、渡渉も不安なくできるようになった。 そして奥の二俣に着く。 左は白砂山に突き上げ、右は堂岩山に突き上げる。 水量の多い右の沢に入る。 今まで歩いても歩いてもほとんど高度を上げない沢だったが、 ここからはやっと傾斜も強まり、小さな滝が連続するようになる。 しかし水量も少なく、困難な滝もないので楽しく遡行できる。 途中階段状の10m滝で安全のためにザイルを出す。 そしてとうとう水流が消えた。 ここで登攀具を片付け、靴を履き替えた。

 笹に覆われた水のない窪をたどる。 方向は堂岩山から北に延びる尾根に向かっている。 尾根に出ると傾斜も弱まり、笹の背も低くなった。 そしてついに道に出た。 堂岩山のほんのわずか野反湖よりだった。


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