地球劇場 第12幕 江の川
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地球劇場第12幕 島根県編
夏が来た!昨夏、四万十川カヌーツーリングの際、ちょうど、郷ひろみの『ゴールドフィンガー‘99』が流行していた。カヌーツリング中、僕達はいつも口ずさんでいた。キャンプ中も歌っていた。帰りの車の中でも。そうだ、この時から、きっと200年の夏はここにくるような気がしていた。GO!GO!ごうのかわ!
第1章 「俳優エド」を乗せていざ、島根県へ!
8月11日、わしらは愛知県を夜の10時ごろ出発し、東名・名神を使って明石へ行き、そこでエドを乗せて、一路広島は三次へ未明に到着するというスケジュールを組んでいた。愛知県を出発するのは、わし、ポンちゃん、そして夏カヌーツアー皆勤の平岩、ユーノスロードスターにカヌーを乗せて走る室田の4人であった。
予定通り、10時前に愛知県を出発し、夜中2時に明石に到着するよう東名高速をぶっ飛ばした。・・・といっても愛車はハイエース、時速100Kmがやっとというペースだ。
えど。漫画のキャラクターとして、こんな人間いたら楽しいだろうなあ。誰もがそう思う。彼の強烈な個性は、決して説明できるものじゃない。エピソードを挙げればきりがないが、彼は、必ずトラブルを起こす。なにもない普通の行動の中でも、エドが一人いるだけで、何か問題が起こる。わしらは、尊敬の念と軽蔑の眼差しを向けて、こういう。
「また、えどったか・・・」
トラブルメーカーでもあるが、それは同時に爆笑メーカーでもある。エドの参加した舞台は、いつも笑いに事欠かない。今回も期待ができる。
さて、そのエドを迎えに行く為にわしらは西へ西へと高速道路を走っていく。そして、大津に差し掛かったときである。前を行く車がハザードを点灯させ、ブレーキを踏む。
「そろそろ、渋滞か?ここはいつも混むんだよ。」
とわし。
『30分もあれば渋滞から抜けますよ』
これは平岩。皆、うなづき、これから始まるカヌーツアーの期待感に酔いしれる。
『早くエドに会いたいなあ』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まだ、渋滞。
「そうだ、えどさんがいるんだった!」
皆、無口に成らざるを得ない。一体、明石に到着するのは何時になるのだろう?しかし、そもそも、なぜ明石なのだ?現在のエドの住まいは福島県、実家は愛知県。あまりに進まない車内はますます険悪な雰囲気になり、その怒りのはけ口は何時しかえどに向いていた。いわく、『なぜ愛知県に合流しないんだよ』いわく、『なぜ明石待ち合わせなんだよ』いわく、『なぜえどが参加しているんだよ』そしていわく、
『これもいわゆるえどるってことだよなあ』
ちなみに、翌日の新聞には、名神高速史上最大の渋滞と一面に記してあった。
なんとか大阪を抜け、既に空が白くなりそうな朝4時ごろ、明石のサービスエリアが近づいてきた。しかし、これまでのあまりの渋滞の影響であろう、休憩のために
そのサービスエリアに立ち寄るドライバーの多いこと!今度は、サービスエリア渋滞を引き起こしていた。やおら携帯を取りだし、
「えど、とにかく高速道路を歩いて遡ってきてくれえ」
「えー、そんなこと危ないっすよ」
いつもの聞き取りにくい早口でえどは言う。はたして15分後、えどは本当に路側帯を歩いてきた!高速道路を歩いている奴を生まれて初めて見た。
再会を喜びつつ、そこで立ちションをする。30秒ほど時間がかかるが、先ほどからのサービスエリア渋滞の為、ほとんど車は動かなかった。
エドを乗せて、一路広島へ。約束の時間より約一時間遅れてわしらは広島に着いた。そこには馬場・裕紀が四国から、杉山と千恵ちゃんが広島から、そして清水が愛知県から集合していた。そうそうたる顔ぶれである。そして、ここから、カヌーツーリングが始まる。
ちなみに、愛知県を夜の11時に出発し、京都から日本海経由で広島に一人でレガシーをふっ飛ばしてきた清水。朝の5時には現地に到着したらしい。
高速代10,000円を支払い、それでも一番遅かったわしら・・・。ちょっと、えどったかな?
第2章 「俳優杉山」羊役?狼役?オヤジ役?
広島在住の杉山は、今回の幹事さんである。しかも、千恵ちゃんと言うかわいい彼女を連れ、ぴかぴかの新艇を引っさげての舞台である。ニュージーランド公演の際獲得した、料理長の地位は揺るぎ無い。
朝6時、誰もいない広島の三次駅にてハンバーガーを食べ、そして江の川に沿ってスタート地点まで移動する。今回は大和村を出発し、邑智町を通り、そして川本まで下る予定である。途中、ダムがあるため、2日目の朝、車でそのダムのみパスせねばならない。ここまで、杉山が下見をし、プランを立ててくれた。100人を越す静大サイクリング部の部長を経験しただけあって、要領はとてもよい。一同感心することしきりである。
しかし、わすれてはならない。
エドも、元サイクリング部部長である。
少し小雨がふっていたけども、大和村から出発する。同時に杉山の新艇の進水式でもある。江の川は、大和村より下流は、ほとんど瀬と言う瀬はなく、また水量に困ることもなく、気持ちよくツーリングできる川であった。特にファルト、カナディアンカヌーには最適である。江の川にもさっそくカナディアンバーがオープンし、皆の肝臓を潤していた。
1日目のキャンプ、杉山はお風呂の手配、食事の準備、テントの設営と、こまめに働いた。酒は控えめ。食後の片付けも手際が良い。焚き火を囲んで話が盛りあがる。カヌーの話や山の話、自転車の話を皆思い出を交えて面白おかしく、そして懐かしく語る。上を見上げれば満天の空。雰囲気は最高と言って良い。
杉山の彼女の千恵ちゃんのみ、静大のサイクリング部ではない。一人、我々の話に感心し、また驚き、今まで知らなかった世界、とりわけ杉山という人物の普段と違う一面を聞き、更に彼に対する熱い目線を送り続けていたのをわしはひそかに気づいていた。
杉山の株はうなぎのぼりである。
この日のおかげかどうかはわからないが、二人は翌年の五月に結婚することになっている。
翌日、その千恵ちゃんが仕事の都合で一人広島に戻っていった。その夜のキャンプ。同じく焚き火を囲んで話に花が咲く。話題は『エドに女の口説き方を考える』。現在、エドの意中の女の子を、いかにグッとくる言葉を持って口説き落とすか。それをわしらは考えていた。
わし曰く「花火を使ってムードを出し、えどった振りをして同情を誘う」
馬場曰く「ドライブ中、熱い言葉でストレートに語る!」
平岩曰く「想いを、つぶやくように心に染み込ませるしかない!」
そして杉山「カラオケをしようと言って、いきなりホテルに連れこむ!」
皆、すぐにこの手を使って杉山が千恵ちゃんを手篭めにしたのだと直感していた。この言葉を皮切りに、杉山は羊の皮を脱いで狼に、いや、オヤジになった。このあと、下ネタのオンパレードだった。自分の彼女がいなくなって、これほど変わる人間もめずらしい。たった一人残された女性、ポンちゃんはまるで立場がないではないか!
下ネタの杉山。
杉山の下部はうなぎの様である。
株価、急落。
余談だが、この夜わしらのレクチャーを受けたえど、なんと、11月にちゃんと彼女を口説き落としたのだ。
えどいはく「佐野さん、ちゃんと反面教師にさせて頂きました」
カヌー妖怪 平岩じじい
第3章 『俳優馬場』『俳優室田』カヌーに乗るサムライ二人?
三日目の朝。いつものように、ゆっくりとした時間が河原に流れている。
ここ邑智町は、中国山地の山間の、江の川沿いにある小さな町である。この町のキャッチフレーズは『カヌーの郷』。町全体でカヌーを盛り上げ、ここ数年来の過疎に悩む田舎町の町おこしの目玉になっている。例えば、カヌー博物館がある。カヌースクールがある。バス停留所には、カヌーが描かれている。しかし、こんな表面的なことだけではない。小さな町ではあるが、下水道は完備され、一般排水が江の川に流れることはない。町民の認識がとても高いのだ。カヌイストに対しても、とても温かかったことを思うと、ソフト面も充実していると思われた。
特に大きな瀬があるわけでもない川面を静かに下る。下り始めて15mほどで、さっそくカナディアンバーがオープンし、プシュッ!とスーパードライの心地良いプルタブの音がする。とても静かで、のんびりしたツーリングである。
・ ・・・・・っと思いきや、ふと後ろを見ると、また馬場と室田がカヌー相撲をしている。水の掛け合いをしている。「エスキモーロール30回するぞー」とか、すごいことを言い合っている。大岩を見れば必ずよじ登り、そして飛び降りる。彼らは、脳みそまで筋肉なのである。わしらの愛する、風情だとか、わびさびだとか、花を愛でる心だとかは理解されないであろう。
一歩離れてみてみるとその風景は、サバンナで見たような、戦国時代に見たような、また天保の大飢饉で見たような、そう、死体にたかるハイエナ、戦場の飯場、寺院の炊き出しといった、生命力あふれる、食欲と食欲のぶつかり合いに見えた。
このメニューは、道具も少なく時間もかからないので、おそらくカヌーランチの定番となるであろう。
ところで、ここでもエドはえどっていた。
なんと、箸をビール缶の中に落としてしまい、しかも何故か取れなくなってしまい、本当に困っていた。・・・何分後かしてやっと取出したが、随分出遅れた彼は、遅れを取り戻そうとすすり上げる能力以上の麺を掴み、食べようとした。が、皆の予想通りほとんど落とした。そして2回目、ちょっと学習し、少量の麺を取り、鍋から離れる。鍋から離れるのは、10人近い人間が一つの鍋を囲むのは物理的に不可能で、鍋の近くで麺を取り、その後何歩か離れてから食べるというのが暗黙のルールになっていたからである。エドはというと、皆の予想に反して、なんと、
河原の石につまづいて、見事に転び、麺を宙高く放り投げてしまった!
しかし、それは作戦だったのか、そのおかげで、わしらは笑い転げ、それ以降食べることができなかった。結局えどが一人占めをしていた。
公演中の馬場と室田は四六時中動き回っていた。朝起きるとまず薪を拾いに行く。そしてピークワンに火をつけて飯を作る。昼はカヌーを漕ぐ。岩に登る。夜を迎えれば,下ネタ話をマシンガンのようにしゃべりつづける。彼らの体力にはいつも驚かされる。おそらく、普段相当の筋肉トレーニングを行っているのだろう。いつか、こう聞いてみたい。
「馬場、筋トレ毎日しているのか?」
多分彼はこう答えるだろう。
「・・・・・・肝(臓)トレなら毎日しています」
そして、室田。
「・・・・・・チントレなら毎朝毎晩しています」
多分,自主トレだろうけどね。
わしは、この二人は、良い意味でサムライだと思っている。最終日,川本町の岩船温泉で見たカタナは、たいしたことなかったけども。
第四章 「俳優平岩」 河原なくっちゃ!2000! オヤジギャグ連発!
幾多の舞台を経て、ますます演技に磨きがかかってきた平岩。地球劇場のお父さんといいたいところだが,実は,単なる地球劇場のオヤジである。
ついに、3日目の夕方,目的地であった川本町に到着した。中国山地の山間の小さな町ではあるが,この地方の中心都市でもあるらしい。かなり小さな町だが,高校があり,県の庁舎があり、そして,不似合いなプールまである。利用している友人の話によると、
毎晩貸し切り状態らしい
推定人口5000人。この町で打ち上げをする予定である。
この町には3時ごろ到着した。すぐに上陸して町に繰り出してもいいのだが、誰彼ともなく江の川から離れるのが惜しいのか、河原でごろごろしていた。わしは一人エスキモーロールの練習に精を出していた。他のメンバーは誰が言い始めたか分からないけど、ビーチボールを膨らませて、輪になってバレーをしていた。「ほほえましい風景だ」一人川から岸を眺めて、無邪気に遊ぶ皆を見て、思いを馳せる。
しかし、たかだかバレーのトスやレシーブをしているだけなのに,異常なほど盛り上がりを見せている。少し不審に思い、わしも参加してルールを聞いてみる。なんと!
ボールを落とした人はセクシーポーズをとらなければいけない!
参加している女性は、わしのかみさんのみである。杉山の「だっちゅーの!」なんて見たくない。平岩のハイレグなんて、想像だけで気分を害してしまう。しかし,わしのかみさんのセクシーポーズは・・・・・・・・人に見せたくない!
平岩か杉山かのアイデアであろう。全く,オヤジコンビである。
彼らは,ポンちゃんを狙うことに性を出していた。
この夜は川本食堂にて打ち上げをし、バカ飲みをした挙句、盆踊りの輪に飛び入り参加させてもらい、楽しい一夜を過ごすことができた。はるばる島根に来て、やはり最高に楽しかったといえる。このとき、あまりの気分の良さと星の美しさに、翌日の24時間かけての帰宅のことなどすっかり忘れていた。いや、そんなことはどうでもいい。愉快な仲間たちとこんな所にいるという青春の1ページがとても大切なのだ。
名残を惜しんで河原にて二次会をし、そして翌日解散。また次の夏まで!
終わりではない。まだ,帰り道がある。せっかくだからと、平岩,室田,ポンちゃん,わしの4人の乗るハイエースは,出雲大社に行き、島根ワイナリーに行き,そして境港市の水木茂ロードを闊歩してから帰ることに決定した。
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出雲大社では大の字ジャンプを決め, ワイナリーで酔っ払い,そして,妖怪通りの目玉のオヤジのブロンズ像の前で目玉に似せて乳首を出す。これぞ,オヤジの島根ツアー!おまけに烏取砂丘に夕暮れに着き、日本海に浮かぶイか釣舟の幻想的でロマンチックな風景に見とれるカップルを冷やかし,そして烏取にて三谷という悪友と一杯飲む。これまた烏取オヤジツアー。
酒臭い車の中の会話といえば,これがとても印象に残っている。平岩曰く、
「珍しい宝物と書いて,チンポウと言うんですよ!」
クルージング時間約10時間。平岩のオヤジギャグは止まらなかった・・・・。
「珍しい矛と書いて、チンポコとも言うんですよ!」
もうええ!っちゅうねん!
しかし,おかげさまで,無事帰ることができました。わしはといえば・・・・
烏取から最後まで爆睡!
おやじ!・・・・・室田と平岩の声が聞こえてきそうである。
| 完 |
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