地球劇場第13幕 21世紀突入の旅
〜九州ラーメンツアー〜
1.MTB 九州編
建築屋さんは忙しい。(と思っている)。時には夜中に修理の電話があって呼び出されたり,
職人さんに日曜日の仕事に付き合わされたり,お客さんに打ち合わせだといって無理やり?酒を飲まされたり、ダムの下見に行くといってカヌーに乗らされたり、たけのこが竹林から生えてきたから処分して欲しいと依頼されたりする。おちおち休んでいられないのにあまり儲かる仕事ではない。
普段よく利用する自転車屋さんの改装工事をしたのは2000年の8月だった。100万円の仕事のはずが,ちょっと見積りを失敗して,約50万円ほど赤字になってしまった。落ち込む私を見て,店長がさすがに申しわけなくなったのか、声をかけてくれた。
「(売価60万円の)YETI(自転車メーカー名)を今なら20万円でいいよ・・・・・」
まさに天の声!さっそく妻に電話をし、付き合いでしょうがないから,建築屋ってのはこういう商売なんだよ、とないことないことしゃべりまくり、一方で
「いやあ,妻がうるさくて・・・・。15万円なら買います。」
と、店長には伝えた。
「しょうがない,佐野君には随分損をさせてしまったし、15万円で手を打つよ」
「税込みですよ!!」
「・・・・・・えっ!・・・・あ、はい。」
こんな過程で,私はYETIという名車を手に入れた。
さて、12月29日、ハイエースにYETIとポンちゃんの愛車GTを、そしていつものキャンプセットを積みこんで出発。途中琵琶湖畔で一泊し,大晦日の前の30日,1日中車を走らせ九州に上陸する。日本全国何処でも寒いけど,この国だけはしっかり暖かい。MTBツーリング然り,キャンプ然り。
九州の阿蘇山は以前は大日本帝国火山と呼ばれていたらしい。その阿蘇には思わず写真を撮りたくなるような,思わずそこで寝転
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| *阿蘇外輪山を走る |
びたくなるような、思わずヤッホーと叫びたくなるような、そんな景色がたくさんある。ここをMTBで走ることが出来たのはとても幸せだった。
大観望−地名はそう書いてある。ここは外輪山の頂上で,阿蘇山とその周囲を取り囲む世界一のカルデラを眺めながらぐるりツーリングすることが出来る。ゆるやかな丘が続くアップダウンを走る。ふと上を見るとハングライダーが悠々と鷹のように羽根を広げている。
こんな時間がずっと続けば良いのに・・・・そう思っていたが,急にお腹が痛くなって会えなくリタイヤ・・。
「峠の下りで腹まで下っちゃって・・・・・」わたくし。
「あそう」
阿蘇と並ぶ活火山といえば南の雄,灰の桜島。毎日毎時間灰を吹き上げつづけている。灰の積もったその景色は南国九州というより、雪国を思い出させる。灰の降る中,顔を真っ黒にしてツーリングしたい。その気持ちはこのツアー前から持っていた。
鹿児島港から桜島までカーフェリーに乗って渡る。約15分後,灰の中の風景が現れる。風向きが西の風のため,港には灰は降っていない。快調に走り出す。桜島は一周約45km、普通に走れば二時間半ほどのツーリングになる。途中桜焼きの窯元に寄り,コーヒーカップを1セット買った。鹿児島に住む友人が近々結婚するのでそのお祝いだ。桜焼きは桜島の火山灰を釉薬に溶かしこむ。独特の青に近い灰色はインテリアとしても使えるほど趣がある。
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東側は目を開けれないほどの降灰だった。汗に灰がくっつき、顔中真っ黒になってしまった。ポンちゃんと二人顔を見合わせ大笑いし,のち、急いで顔を洗い流す。埋没鳥居という、大正の大噴火ですっかり埋まってしまった鳥居の前で、自然の猛威を感じながらも、不届きな馬鹿ポーズ写真を撮ってしまった。ただし,全体的には桜島は降灰がひどく,あまり写真を撮れなかったのは少し残念ではあった。 |
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| *桜島疾走?避難? |
最後に,YETI最高。
2.21世紀の迎え方−佐野家の場合−
20世紀最後の日のイブ,つまり12月30日,私たちは博多に居た。博多には友人鉄人太一郎がいる。30日,我々夫婦は太一郎の両親の経営する喫茶店に泊めていただいた。オープンしたばかりのそのお店はまだとてもきれいで,しかも掃除が行き届いていてぴかぴかだった。その床にダブルの布団とハイエースに普段から乗せている畳を敷いて爆睡した。ちなみに、3年前に我が妹も博多を訪問し,太一郎のご両親のお店に泊めてもらっている。その時の店名は、「キッチン熊」だった。
そして12月31日。20世紀最後の日,我々つまり,私達夫婦,太一郎、そして料理部長の杉山の4人は阿蘇の大観望にてキャンプをし,そこから雄大な御来光を拝むというプランを計画していた。やはり福岡出身の杉山の発案である。私たちと太一郎はキャンプセットを満載して杉山の実家に到着した。3人とも21世紀を迎える準備は万端である。20世紀最後の晩餐は料理部長にすっかりお任せしてあるので、間違いなく大丈夫である。
いざ,大観望へ!という時である。
「あっ、テントと寝袋を忘れてきました!」 ・・・・・・杉山である。
急遽,杉山のオヤジさんの知り合いの山小屋に泊めてもらうことにし,その厨房を借りて最後の晩餐を作り,4人で食べた。そして,ただただケダモノの如く食べているうちに、21世紀になってしまった!
| 21世紀はスーパードライとと共に迎えた。翌朝悪天候の為(本当は寝過ごしたんだけど),御来光は拝めなかった。しかし,愉快な仲間達とまた朝からスーパードライを開けた。これ,アサヒ・・・・? | ![]() |
| *20世紀最後の晩餐 |
21世紀も楽しくなりそうだ。
3.ひたすら温泉にはいる
日本全国温泉だらけという昨今。しかし、実態はどうだろうか。本物の温泉はどれほどあろうか。冷泉という名目で,給湯機を使って沸かしなおしている温泉。それは単なる井戸水を温めているだけじゃないのか?源泉を何十倍にも薄めている温泉。ほとんどただの風呂である。そんな温泉が非常に多いのが現実である。私の住む三重県のとある南ヨーロッパをモチーフにしたテーマパークにも新しい温泉施設が出来たが,これまた名前だけなのである。
ところが,この国の温泉は本物が多い!九州の温泉と聞いて頭に浮かぶだけでも別府,湯布院,阿蘇温泉郷、霧島温泉郷に指宿。何処へ行ってもお湯には事欠かない。事実,私たちはツアー10日間,毎日温泉に入っていた。
阿蘇の温泉は,町営で100円。無料の温泉も多々あった。由布院の近くでは、山の裾野から止まることなく終わることなく煙が上がりつづける。鼻を突く鼻を突く硫黄のにおい。そこかしこに,地元住民が温泉卵を作っている。そこは観光地でも何でもないただの山間の村なのだ。地獄絵のような斜面からの煙,それに当たり前のように卵や他の食物が置いてある。それが自然の風景。
霧島温泉は濃度が高い。源泉に限りなく近いらしい。人生で最も肌がすべすべになったのもここのお湯に浸かった後である。なぜか、バンペイユというドッジボール大の果物が浮いていたのは気になったけども・・・・
指宿といえば砂虫温泉。砂の中にすっぽり埋められてしまうこの温泉は観光客には大人気だそうだ。砂の中は約45℃。10分も入っていれば汗ぐっしょりになる。いつまでもぽかぽか温かいのが特徴だけども,1月の寒い中、浴衣一枚で海岸を歩くのは少し寒かった。しかし、指宿にすむ私のいとこは誰も砂虫温泉に入ったことはないという。ふと、日本の観光地の足もとの脆弱さが目に付いた。
ともあれ,ここは温泉パラダイス。毎日,風呂⇒ビール⇒キャンプ飯⇒寝る という規則ただしい生活の出来る天国でした。
4.こんなラーメンの美味い国はない
温泉天国であると同時に、ラーメンパラダイスでもあるここ九州。北の北海道そして南の九州と,日本全国何処へ行ってもラーメンはとても美味い。美味いラーメンを食べた時が、日本人で良かったと思うひとときの一つである。世界中何処へ行ってもチャイナレストランはあるけども、またそのレストランには必ずラーメンがあるけども,美味かった記憶は一度もない。世界中のチャイナレストランで間違いなく美味いのは、春巻きである!
さて、九州上陸初日,博多。太一郎の案内で晩飯を食べに行った。彼の自慢の店は『ウエスタン』。彼曰く,ビフテキが最高に美味いらしい。確かに,美味かった。しかし,私はラーメンが食べたい。16オンスのビフテキを食べた後だったけど,私一人近くの屋台のラーメン屋に突入していった。とんこつラーメン500円!味は,まずい!
後で聞いたけど,地元の人はあまり屋台のラーメンは食べないらしい。ではどこに行くのだ?
翌日,つまりは12月31日,20世紀最後の日に,生涯忘れ得ぬラーメンに出会った。
太一郎自慢の店は長浜地区にあるという。長浜は、魚市場のある地区で,博多ラーメンの発祥の地でもあるらしい。その店名は『将軍』。なんてことはない寂れた店だが,客の入りはすごい。大晦日にもかかわらず,地元の人間が並んで待っている。店を出る人皆,満足感のあふれた顔をしている。空腹ではなかったが,というよりも少し胃袋がもたれ気味だったが,期待感は膨らんだ。約20分待ち,やっとテーブルにつく。メニューはラーメンと餃子だけである。すかさずラーメンを頼み,待つこと5分。美味そうなとんこつの香りの,ちょっとこってりした感じのスープに細い麺が泳いでいる,そんなラーメンがやってきた。太一郎のまねをし、明太高菜を少し入れ,一口食べてみる。
美味い!
今まで生きてきた中で,最高に美味いと思ったのはやはり博多ラーメンの『一蘭亭』だった。しかし、この瞬間、『将軍』に変わっていた。この昼,替え玉3発!しかし,これだけ食べて630円は安すぎる。満足!
さて,南下をし,熊本にやってきた。熊本といえば熊本城。その黒い天守閣の近く,繁華街の中にそのラーメン屋はあった。街ゆく人に熊本で一番美味いラーメン屋を尋ねると,かなりの人がここを教えてくれる。その名は『桂花』本店。午後3時ごろ店の前に到着したけど,まだ満席だった。
独特の匂いのする茶色いスープが食欲をそそる。確かに美味い。
そして鹿児島ラーメン。ここは,黒ブタのスープで有名である。鹿児島で中学の先生をやっている友人の1番のオススメの店はあいにく閉店だったけども,二番目にオススメという『・・…』(店名調査中)のこってりしたスープもうまかった。
この国を旅するものは毎日美味いラーメンが食える!
他にも,今回のツアーでは行けなかったが,長崎の誇る長崎ちゃんぽんも九州のラーメンを語るのには欠かせないだろう。最後にもう一つ,都城市に宮崎ラーメンという看板を掲げた店があった。まあまあ繁盛はしていた。私たちも並んでまで食べた。しかし,これはまずかった。全てのラーメン屋が美味いわけではない・・・・・・・。
5.そしてキャンプの夜は更けていく
冬の日は短い。そしてキャンプ場もクローズが多い。気温は低く水も冷たく,トイレに行くにも食事を作るにも苦労が多い。いきおい、さっと作ることが出来,洗い物が少ないメニューになる。北風に首をすくめ,ちらちらと舞う雪を眺め,恨めしげに天を仰ぐ。
薪をくべ、焚き火の大きくし,ポンちゃんと身を寄せ合う。フリースの上に着たゴアテックスの擦れ合う音だけがする。普段ウィスキーはストレートで飲むが,こういう夜はお湯割にする。芋焼酎然り。体の中から温かくなり始めるとごそごそと寝袋を持ってハイエースの中にもぐり込む。ごうごうという風の音を聞きながら、PM9:00,キャンプの夜は更けていく
・・・・・・・・・ちなみに,翌朝の起床はAM9:00,キャンプの朝は完全に明けていた!
完