地球劇場第23幕
秋の四国四県ツアー
Special Thanks: 曽我部祐樹・ゆかりご夫妻、ババ・あきちゃん、しげお、じゅんちゃんへ
第一幕:香川県
10月21日木曜日夕方5時。今日このときから、四国ツアーは始まった。そもそも、23(土)に曽我部ユーキとゆかりちゃんの結婚式に招待されたことから、この舞台の計画は始まったのである・・・。そう何度も遊びにいける国ではない本州から少し離れた四国。ワタクシ、結婚式を理由にまずは妻子を実家に預け、仕事のスケジュールを全て空白にし、4連休を作り出して、いざ出発したのである。
しかし、前日には非常に強い台風23号が日本列島を縦断しており、各地にその爪痕が生々しく残っているという状態だった。この23号がなくとも、今年は台風の上陸が史上最高となっており、四国は土砂災害と水害に何度も見舞われていたのだった・・・。
![]() ・屋島山に行く、コンクリートの登山道のはずが・・・ |
10月22日、四国NO.2の鋭鋒・剣山に向かう。標高2,000m近いこの山は、既に紅葉が始まっており、とても景色がよさそうである。しかし、貞光町まで行ってみると、全ての道路が土砂崩れで通行止という絶対の事実。諦めきれず、貞光町役場に行き、裏道がないかを確認する。担当の職員は、三重県から来たワタクシに同情してくれたのか、とっておきの裏道を教えてくれた。しかし、途中に、巾1.6mの潜水橋(沈下橋)があり、無念の涙を飲む。 そのご、土柱を訪れるも、ここも土砂崩れのため、歩道は完全に崩落。洪水と侵食が作り出した自然の芸術を見るために作られた人造の歩道は、洪水によって、見るも無残な姿をさらけ出していた。 そのまま高松に行き、うどんを食べる。近くの屋島山に歩いて登ってみるも、左のように、コンクリート製の歩道にも地滑りのために、完全に登山道状態となっている箇所もあった。 |
屋島から瀬戸内海を望むと、川から流れてきた土砂の色で、沿岸のみ完全に茶色くなっている。四国で被災された方々の一日も早い日常生活への復帰を願いつつも、やはり、2日後の吉野川カヤッキングの心配をしつつ、香川県を後にした。
第二幕:愛媛県
22日金曜日の夜、愛媛・四国中央市に到着した。あきちゃんとババに温かく迎えられて、祭りの真っ最中の三島市内を散策する。30分近く並んで、名物の「鶴亀焼き」なる、たいやきの親戚みたいなお菓子を購入し、ババはじめ、愉快な仲間達の行きつけの焼き鳥屋にお邪魔する。聞いたこともないようなメニューがたくさんあるが、疲れと、美味いビール&日本酒のおかげで、ほとんど記憶をふっ飛ばしてしまい、アキちゃんの別邸にて爆沈する。30分近くも並んだのに、名物「鶴亀焼き」を食べ損なったのが、無念である。
さて、二日酔いながらも朝を迎える。この日は、四国ツアーのハイライト、というか、最大目的であるユーキ&ゆかりちゃんの結婚披露宴である。寝ぼけ眼で、その上気持ち悪いが、礼服に着替えてアキちゃんの車に乗り込む。徳島のまことちゃんも合流し、いざ、4人を乗せたアキちゃんのH−RVは松山道をひたすら西へ行く。
道後温泉の前のホテルに荷物を置き、4人で結婚式場に向かう。丘のうえの素敵なチャペルが今回のユーキの晴れの門出の舞台である。
![]() ・式場内で緊張するユーキ |
ロビーでくつろぐ我々の前に、消防士が現れた・・・・、とおもったら、それは新郎つまりユーキだった。銀色に光り輝くそのタキシード姿は、後ろから見ると、まるで新品の消防服を身にまとったファイアーマンにしか見えなかった。まあ、これから、夫婦喧嘩の火種を小火の段階で消さねばならないので、その心意気がよくわかる結婚式の正装である。 式は、厳かに行われ、二人は結婚指輪をはめる指を間違えそうになったり、誓いのキスの時に、二人とも同じ方向に首を傾けて、鼻と鼻がぶつかりそうになるキスを3回ほど繰り返したりと、笑いを誘う場面もあったけども、無事終了した。 |
| さて、場所は変わって、披露宴会場。道後温泉 坊ちゃんの湯を見下ろす高台にあるホテルが舞台である。ワタクシとババはそろそろ昨夜のアルコールが抜けつつあるという状況で、その披露宴は始まった。ワタクシ、光栄にも乾杯の音頭をとらせていただいたが、披露宴開始が14時30分という時間もあって、出席された皆様の 「早く飲みてえ〜!」というオーラにおされ、酒臭い息を吐きながらの短めの発声となってしまった。 式は、新婦の和装・カクテルドレスとお色直しのたびに盛り上がりを見せる。そんな新婦・ユカリチャンの美しさに、我を忘れたのか、新郎・ユーキ、80人を超す皆の前で、彼女に大きな声で 「あいしてる〜〜〜〜!」 と叫んだりしており、とても楽しいひとときを過ごすことが出来た。ちなみに、そんな微笑ましい二人とは別に、ワタクシどものテーブル、特にワタクシとババ、二人そろって飲みすぎており、酒臭いのである。 ペーパークラフトはすべて手作りという温か味のある披露宴は、ユーキの挨拶で無事、終了と相成った。 |
![]() |
二次会・三次会と、大いに盛り上がり、四国の心底にある熱いものをおおいに感じさせていただいた。幹事のみなさまがこれまた一段と熱の入った方々で、店の選択から、心遣い、場の盛り上げと力を尽くして頑張ってくれました。これすべて、ユーキとゆかりちゃんの人徳と思いますよ。あらためて、お幸せに!
![]() ・披露宴開始直前 |
さて、4次会は、静大サイクリング部の面々になり、松山の繁華街のユーキ行き付けのバーに行きましたが、あいにくの満員御礼。では、ここで解散ということに決定した。ババ・アキちゃん・まことちゃん・村山・ワタクシの5人は、道後温泉の近くのホテルを準備していただいてあったので、タクシーでそちらに帰ることにした。さて、タクシーもすぐに見つかり、道後温泉 坊ちゃんの湯の前で降りた我々が見たものは・・・・・・・ |
まだまだ飲み続ける気満々の杉山の姿だった!彼のホテルは繁華街のすぐ隣である・・・・・。
杉山、道後温泉で降りて、すぐその足でまたタクシーに乗って帰っていったのである・・・・。呆然と見送る我々5人・・・・。また、次の機会に飲りましょう!
第三幕:高知県
昨夜は午前様を軽く過ぎていたというのに、緊張のせいか、7時過ぎにはぱっちりと目が覚めていた。その緊張は、ついに、この四国三郎といわれる激流・吉野川を初めてカヤックで下るという、武者震いでもある。しかし、そんな気持ちとは裏腹に、昨夜の酒が残っていて、しっかり二日酔いのワタクシとババ。7時45分頃、松山を後にし、一路、伊予三島に向かう。ここでカヤックの準備をし、カメラを持参したシゲオ、デジタルビデオカメラを持参した潤ちゃんと合流する。二人とも、三重から来たワタクシの華麗なるパドル捌きを画像に残し、オークションで販売するつもりなのだろうか・・・。それならば、大いに期待に応えねばならない。
カヤッカー二人と陸上サポート部隊は、二台に分乗し、まずは小歩危のゴール地点に向かう。そこで我々がみたものは、先の台風で完全に削られてしまったコンクリートの駐車場の惨めな姿だった。あたかも、大地震にあったかのごとく、めくれ、割れ、そして、流されていた。改めて、この川のパワーの大きさに驚き、そして皆で川をジーと見つめるのだった。
ババがぽつんと言う。
「サノサン、僕も経験のない水量ですが、どうしますか?」
「いかない!」 迷わず、即答である。
この一言で、今日は高知県の素敵な支流、穴内川に行くことになったのだ。
穴内川は吉野川に流れ込む支流で、増水時しか下ることは出来ない。岩がごつごつした滝をいくつもいくつも乗り越えていく、本当に素敵なクリークである。水がきれいで、川底がズーと見続けながらのパドリングは、最高に気持ちがよかった。しかし、それまで日本最大のパワーを持つ川・小歩危に行くことになっていた緊張感はここでぷっつりと切れていたのも事実である。
「なんだ、支流か・・・。お気楽カヌーだなあ・・・。」
そんなことを考えていたワタクシ。陸サポート部隊の映像班にポーズを決め、ワタクシとババ隊長は満面の笑顔で漕ぎ出していくのだった!
が、穴内川をなめていたワタクシ、落差約1mのクランク状になっている最初の滝でいきなりチン!その後も、結構一杯一杯のパドリングが続く・・・。それでも、あまりの水のきれいさに、心とても楽しく、つい、「ビールが飲みたい」などと考えているのである。そこへ、またもちょっと落差の大きい滝が現れた。約1mの落差が3段ほど続くその滝の2段目でチンをし、しかも、岩でごつん!と頭を打ってしまって、さあびっくり!すぐにロールをして、後ろ向きで3段目を落ちて行ったのである。川の神様に懺悔をし、二度と高知県の川を甘く見ません・ビールが飲みたいなんて思いませんと誓ったのである。
しかしこの穴内川、どれくらいきれいかというと、デジタルビデオカメラで、橋の上から撮影してもらった映像をテレビで見ると、まるで岩の上をカヌーが進んでいるように見える。つまり、水が澄み過ぎて、ビデオに写らないくらいきれいなのである!そこかしこに魚は群れをなして泳ぎ、こんな気分のいいカヌーは初めてである。ちなみにババ隊長はそこかしこのホールや瀬で力の限り遊んでいた。
穴内川と吉野川の合流まで漕ぎ下ったところで休憩。なんと、ここからは少し瀞場が続くので陸上サポート部隊が、車で移動してくださる!というではないか!しかも、ワタクシとババ隊長は車内で昼飯!まるで、プロのレーサー扱いである。あとで、べらぼうな請求書を突きつけられるのではないかと、妙にドキドキしてしまう・・・。
次に連れて行かれたのは、高知県の南小川。穴内川よりもきれいかと思わせる、クリスタルブルーの水。眼前には落差の大きい長い滝!その上には本物の滝!きれいな水に素敵なクリーク!心楽しくなるも、とりあえず、「昼飯を食べたばかりで少々動きにくいなあ・・・。」とか、「上段の滝はすごい落差だなあ」とか思いながら、のんきに河原でくつろいでいると、ババ隊長の動きがおかしい・・・。「おや、何処に行くのだろう??」彼は、カヤックを抱えたまま、上へ上へとよじ登っていくのである・・・・。「まさか、この滝を下るんじゃないよなあ・・・。」などと思っていると、上の方から声がする。
「しっかりビデオ撮ってね!」
どうやら、本気で滝落ちを試みるようである。大岩の上に乗ってスカウティングしてみると、下れるルートは一点のみ。その進入路はストレーナー状の岩がごつごつと行く手を阻み、そこでルートから外れると、岩だらけの滝を3m以上転がり落ちることになる。しかも、ルートどおり降りてきたとしても、落ちてすぐに崖にぶつかり、返しの波がとてもきつい。「行けるのだろうか・・」不安になって、スローロープを握るワタクシ・・・。
そして、ババ隊長は、雄叫びをあげながら降りてきた。ルートは最高、力強いパドリング、いよいよ滝に飛び込んだ!完全にカヤックは落下状態となり、滝壺にザブンと突っ込んでそれから崖にぶつかった!しかし、それでもババ隊長は踏ん張って、返しの波にもまけず、漕ぎぬけてきたのだ!その間、ずっと息を止めていたワタクシたちギャラリーは、一斉に歓声を上げ、拍手をした。ババはカメラに向かって、大きく叫んだ!充実感に満ちた、とても良い顔をしていた。ワタクシはそのときほど、ババがかっこよく見えたときはない。あの、滝から落ち、崖に突っ込み、それでもカヤックをコントロールし続けた彼に、またその後の満足げな顔をしていた彼に、大きく拍手を続けたものである。
「さっ、サノサンの番ですよ。」
「うぇっ?」
逃げるように河原を駆け出し、さっさと小滝の方に向かう。
さて、この南小川の小滝にも、映像班がスタンバイをし、我々カヤッカーの腕の見せ所である。しかし、気持ちよく下り抜けたワタクシは、エディラインの予想以上の力強さに、崖にぶつかり、しかも、そのままひっくり返ってしまったのである・・・・。しかもしかも、フネは岸壁にぴったり当たっており、ロールをしても、フネが上を向いてくれない。水中さかさま状態のワタクシ、「これが張り付きなんだ」と実感しながら、ビデオカメラマン・潤君の映像を意識しつつも、チンダツ。ちなみに、ババも同じところで張り付きそうになっていた・・・。
そのババ隊長、力強いパドリングでワタクシのところに来て、大笑いしながらこう言ったのである。
「サノサン、大丈夫です。この日のこの時のために、カウテールを買っておきましたので!初めて使うことが出来て、とても嬉しいです!!」
フネはまだ張り付いていた・・・・。
仕切りなおして、もう一段緩やかな勾配の、岩がごつごつした瀬を落ちていって、吉野川に合流。ここは、豊永の瀬のちょっと上の地点である。いよいよ、大歩危カヤックツアーである。川のパワーは極端に強くなり、ブレードを入れるだけでチンしそうな錯覚に陥る。しかし、水は目に見えて汚くなってしまった。
まずは、大歩危の入り口、豊永の瀬である。ここから始まる、大歩危小歩危の名前の着いた瀬の中ではもっとも易しいといわれるこの瀬。しかし、2mの大波がそこかしこに立っており、フネは木の葉のように弄ばれている。300mほど続くこの瀬は、仮にチンダツしようものなら、何処までも流されていかねばならない・・・。そして、いよいよ大歩危のハイライト、3段の瀬のVストッパーである。この瀬は、三段の落込みがあり、二段目・三段目はやや大きいホールになっている。一段目は、完全にVストッパーで、波高は2mほど。スカウティング(下見)をしようとしたワタクシにババ隊長はこうおっしゃられた。
「サノサン、大丈夫、所詮、大歩危です。真ん中真ん中で突破できると思います。」
「そうだな、所詮、大歩危だもんなあ・・・。」
二人、スカウティングもなしに、三段の滝突入が決定し、まずはババ隊長が切り込んだ。力強いパドリングで最初の大波を突き抜けて行ったが、それ以降、真っ白い泡の中に姿が消えてゆき、どうなったのかはわからなくなった。続いて、ワタクシ。過去、カヤックにおいては見たこともないVストッパーにガチンコで突入!・・・・・一発目で即チン!
かつて経験したことのないもみくちゃの中で、びびりながら上がったロール、そこで見たものは!
二段目のホールの波!
態勢を立て直すことも出来ず、またまたひっくり返り、もみくちゃにされ、セットも出来ずにチンダツ・・・。その後のワタクシを待ち構えていたものは、
三段目の落込み!
泡の中、なんとかフネを確保して、流れるところまでながれ、またまたババ隊長のカウテールのお世話になってしまう・・・。
「ありがとう、ババ・・」とワタクシ。
「いいですよ、これでカウテールも元を取れますから・・・。」
艇の中の水を抜き、またまた気を取り直して、岩原の瀬に向かう。この瀬は、ど真ん中にとても大きなストッパー化したホールが大口を開けて待っている。あのホールに捕まったら、多分、脱出不能である。強烈なパワーの瀬の中を、ホールの波を避けるように右岸をすり抜ける。右からの返しの波にフネは面白いように、中央方向に押し戻されるが、力強いパドリングで漕破。思わず、ガッツポーズがでる。
間違っても、ワタクシごときが「所詮、大歩危」なんて口にしてはいけないと痛感させられてしまったものである。
この日、穴内川・南小川・大歩危でしっかり心の洗濯をしたワタクシとババ。この心地よい疲れを癒しに皆で池田温泉にでも行こうかというと、陸上サポート部隊はなんとなんと、ワタクシ達より一足先に戻って、なんと夜の宴の買出しをしてくれるという。なんという至れり尽くせりの一日!お言葉に甘えさせていただき、ワタクシとババは肌がつるつるになる、池田温泉に入り、それから高橋別邸への帰路に着いたのである。
さて、その高橋別邸でのすき焼きパーティー。ここでは、ビールは瓶のまま飲むのが正しいスタイルだそうで、ワタクシも「郷に入りては・・・」ということでそうさせていただいた。ビールもすすみ、すき焼きも平らげ、皆満足したところで、本日のカヌー鑑賞会に突入である。
まず、画像が鮮明なことに一同新鮮に驚く。デジタル100倍ズームは、遠く離れた川の上の我々二人の表情までしっかり写し撮っておるではないか!また一同、穴内川の水のきれいさに驚く。こんな素敵な川を下れた喜びを、改めてかみしめてていると、南小川が映し出された。このビデオの最大の見せ場、ババタイチロウによる南小川・大滝の滝落ち映像である!
完璧なコース取り・完璧なパドリング・勇気を振り絞った滝壺突入・返しの波を受けてリーニングしたカヌーをスカーリングで立て直したリカバリー!どれもこれも素晴らしい!しかし、他の皆の大歓声は、そのカヤッキングが終わった後に沸き起こったのである。
「なんか、滝落ちが終わって、叫んでいるババの顔って、めちゃくちゃ長くないか!」
「オー長い長い!ありえないくらい長い!」
と。本来、「あんな完璧なカヤッキング、ありえない!」といわれるべく所にもかかわらず、「あんな長い顔、ありえない!」といわれているババ。たしかに、もう一度初めから見てみたが、最後に叫んでいる顔は長かった。
一方のワタクシ。南小川以降、ほとんど船底しか登場せず、しかも、二度も流れて引っ張られているという様だった。
しかし、陸上サポート部隊の皆様のおかげで、何不自由ないカヤックを、最高にきれいでスリリングな川にて楽しむことが出来ました。本当にありがとう。感謝しながら、この日の飲み会は幕を閉じていった。
第4幕:徳島県
10月25日(月)。いつもはブルーな気分で始まる月曜の朝も、今日は違う。7時ちょうどに目が覚め、いよいよ挑戦する小歩危のイメージトレーニングをする。・・・・あれ、またチンダツしちゃった・・・・・。イメージトレーニングがうまくいかない・・・。それもそのはず、全身を襲うこの筋肉痛。昨日の二度の泳ぎっぷりと、力漕の影響なのは明白である。ちなみに、肝臓あたりも少々痛い・・。
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高橋別邸で四国最後の朝食を、四国らしくうどんで絞める。 ちなみにこのツアーで二泊お世話になった高橋別邸は、左や下の写真の通りの豪邸である。特に特に、庭が素晴らしく、朝の散歩を敷地内で充分に満喫できるほどなのである。 |
| 8時過ぎ、高橋別邸を後にし、ババ隊長と二人、小歩危に向かう。あの小歩危の瀬に突入する我々二人の間には、ある特殊な戦友のような感情が芽生えていた。一つのミスが二人の明日を左右するかもしれない・・・。それでも、我々の車は、小歩危に向かっていた。そして、ワタクシ、本日、鈴鹿にまで一人で運転をして帰らなければならないのも、心と時間の大きな足枷である。 小歩危に対して、そして帰路の運転に対して、極度に不安になってきた小歩危への往路、胃が痛くなってきて、モンベルが作った巨大な小歩危前衛ラフト&ショップ拠点「WEST WEST」にて体を大いに軽くする。 |
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昨日とあまり水位が変わっていないような気もするが、ともあれ、車を一台大滝の瀬の辺りに停めて、スタート地点へと移動する。不安と緊張で胸が痛むが、気合を入れて、えいやー!と吉野川・小歩危に漕ぎ出した。ちなみに、水位計は豊永135cmである。
「最初の大きな瀬、・鉄橋下の瀬 に行くまでにチャラ瀬が二つありますよ。」
と、ババ隊長が言う。しかし、波高50cm、小さいホールもあるこの瀬を、なぜチャラ瀬といえるのだろう・・・・・。ワタクシ達カヌイストの目線の高さはたかだか50cmしかないのに・・・。
さて、小歩危最初の瀬 ・鉄橋下の瀬 に突入する。左岸側に岩がせり出しており、そこにぶつかった流れが波高1.5mの超巨大な返しの波となってワタクシ達に襲い掛かってくる。ワタクシの顔から体全体の左斜め前方にぶち当たり、全身打撲のような錯覚に陥り、カヤックは吹っ飛ばされるが、なんとか踏ん張り、最初の瀬を乗り切った!大歩危の三段の瀬もすごかったけども、水のパワーが大きい分、一切気が抜けない。そして、この波を体中、頭の上からもかぶったときに、やっとババ隊長の言葉を理解した。すなわち、
「所詮、大歩危ですから」 という言葉を。これは、ただ単に、小歩危と比較をして言っておるのだ。・・・再び、気合を入れなおす。
普通の瀬も何もないところでも、川のパワーは想像以上に大きく、油断しているとすぐにひっくり返ってしまう。
次は ・森囲いの瀬 !という手前のちょっとした流れの中でさえ、ボートコントロールをしきれず、岩に乗り上げてひっくり返ってしまったくらいである。ちなみに、ここでチンダツしたら、1mの落差が2段、2mが一段、1mの返しの波立つストッパーホールにフネごと流されていかねばならないのだから、必死のエスキモーロールである。失敗は許されない。なんとか、起き上がり、岸にフネをつけてスカウティングを行う。
![]() ・森囲いの瀬 |
上段中央から進入し、左寄りに進み、中央の最初のでかいホールを避ける。そのまま二段目を乗り越え、左からの返しの波に負けずに突っ切って、ど真ん中のストッパーホールの右ぎりぎりを抜けていく・・・。これが、我々二人の選択したルートである。河原からは全貌が見えるが、カヤックに乗ってしまうと、1m以上の波高のため、前はほとんど見えないので必死である。まずは隊長が突入する。進入はとてもよかったけども、二段目を落ちた返しの波で押し返され、核心のストッパーホールに捕まって、数十秒ぐるぐるぐるぐる・・・・・・と油がなくなりきるくらいまで洗顔をしていたらしい。・・らしいというのは、ワタクシはすぐ横を通ったにもかかわらず、川の上全てが泡で真っ白なので何も見えなかったのである。それでもさすが隊長、粘りを見せ、ホールから脱出したところでロールをしてなんとか泳がずに突破。ワタクシも、最初のホールに蹴飛ばされ、右に核心のでかいホールを見ながら必死のパドリング。左からの返しの波にも、ホールの波にも負けずに、なんとか無チンで漕ぎきり、瀬の下で隊長と二人で大絶叫を繰り返した。こんなに怖い思いをしたのは初めてである。 |
喜びもつかの間、1mくらいのホールが、右に左にぼこぼこ湧き出ているかのごとく、不思議な風景の瀬を力いっぱい漕いで乗り越え、そして、 ・二段の瀬 にやってきた。この瀬は、上段が約2mの落差、下段も2mの落差、その下にはホールが出来ているという、上から見るとこれまた全部真っ白という、恐怖心を駆り立てる瀬である。スカウティングでルートの確認をし、二段目の下のホールまでの進入路を完全に頭に叩き込む。まずは隊長が突入する。といっても、落差が大きすぎて、何も見えないのだけども・・・。続いてワタクシ、まずは一段目のホールとガチンコ勝負!・・・は、完全に力負けし、即チン。何がなんだかわからないくらい、一段目のホールでぐるぐる回った挙句、ロールを失敗し、水面下息苦しいまま二段目に突入。昨日の チンダツ⇒瀬を流れていく という状態だけは避けたいワタクシ、呼吸困難になりそうだったけども、二段目のホールからフネが出たであろうタイミングでロール。なんとか起き上がり、チンダツだけは避けた。しかし、一段目からほとんど水面下にいたので、この瀬がどんな表情だったかは、分かりえなかった。
続いて登場するのが、 ・大滝の瀬 である。進入路に二つのホールがあり、本流は右岸にある巨大な岩にぶつかり、返しの波をゴーゴー音立てながら左に2.5mほど落ち、そこには波高2mくらいの巨大なホールが待ち構えている。どんなルートを通っても、最後はその核心の大ホールに突っ込まなければならない!
| ワタクシ自身、まず、本流がぶつかっている大岩にそのまま突き刺さりそうでとても怖い。このパワーを持つ川の、しかも渓谷が最も細くなっている、パワーが集中している箇所で、本流から外れることが出来るのだろうか・・・。しかし、ここまできたら、突っ込むしかない。例の如く、隊長から突入するも、大岩の左に落ちてからは、真っ白で一切何も見えない。一方、続いて突入したワタクシ、大岩からの返しの波で速攻でチン。そのままフネは大岩にゴツン!とあたり、何がなんだかわからないまま、えいやー!とロールをしてみる。きれいに起き上がったワタクシは既にホールに落ちかけており、目前には過去見たことのない白い泡の壁が立ちはだかっていた!スコーピオンという2.7mのフネを操るワタクシ・・・。その2.7mのスコーピオンはスターン⇒バウの順番で立ち上がり、隣で見ていた隊長は、大フネのカートホイールターンに大喜びである。しかし、ワタクシ、ストッパーホールに捕まり、「洗濯機の中」というものを体験せざるを得なかった。水流で鼻栓は吹っ飛び、ヘルメットはずれたけども、それでもなんとかホールから出たときを見計らって、ロールで起き上がった。 | ![]() ・写真は小歩危最大 ・鮎戸の瀬 |
何が起きたかわからないくらい目は回るし、鼻は痛いし、隊長は笑うし、さんざんなガチンコ勝負である。結果的には、この瀬も進入口でチンをし、ほとんどを水面下で過ごしてしまったのである。
さて、本日のカヌーは午前中のみということで、ここで終了と相成った。・・が、しかし、とても大きな問題がある。というのは、我々の車は、左岸側に停めてあり、当然カヤックは左岸に上陸せねばならない。しかし、この強烈なパワーを持つ ・大滝の瀬 は右巻きに川が巻いており、その流れにワタクシもババも右岸側のエディに入っているのである。つまり、目の前の1mの白波の立つまっすぐの瀬を、フェリーグライドで横切らねばならないのだ!まずは隊長がでかホールのすぐ後ろくらいからフェリーグライドを始め、随分流されたが、左岸に到着した。さて、こんなに力強い川の流れをフェリーグライドするのは初めてという私の番である。ホールの後ろに突っ込むくらいの勢いで漕ぎ出したが、敢え無く即チン。そのまま流されて、下のほうでロールで起き上がり、力の限り漕いで溯上してこざるを得なかったのだった。
この日のカヌーはここまでと相成った。二人とも、ひっくり返った数は数え切れないけども、なんと無チンダツでここまでの小歩危ツアーを終えることが出来たのである。この川に100回近く出撃しているババ隊長はともかく、ワタクシがチンダツをしなかったのは、昨夜のビデオ反省会のおかげもあるけども、やはり隊長の指示が的確であったことと、隊長が必ずレスキューをしてくれるだろうという安心感がワタクシの中に強くあったことが原因であろう。隊長の背中それほど心強かった。あらためて、ありがとう。
・・・・池田町のスーパーにて、ラフトガイドのオーストラリア人に会った。オージーの彼は、我々との会話で、こう言っていた・・。
「ヘイ、ババ、キョウハコボケヲラフトデスカ?」
「いいや、二人でカヤックで行ってきたところなんだ。」
「・・・・クレイジー・・・」
この日の小歩危では、勿論月曜日ということもあったけども、誰とも遭遇しなかった。ワタクシはただ単に、月曜日だから、という理由とばかり思っていたけども、どうやら、それだけではなかったようである・・・。
ともあれ、二人無事に車に戻ったことに乾杯したい気持ちで一杯だが、なにしろ、ワタクシこれからまだ三重県まで一人で運転をして帰らなければならない・・・。二人で昼飯を食べて、硬く握手をして別れた。しかし、ワタクシ、とても大きな宿題を残してきたのだ。そう、小歩危のハイライト ・曲戸の瀬 ・鮎戸の瀬である。次回は必ず、小歩危を完漕せねばならない。そう誓う、ワタクシでした。
帰路、体はとてもぐったりとしていたけども、心はとてもぽかぽかでした。7時間を越すクルージングも、一人、楽しかった四国を思い出しては空を見て、ニコニコと笑ったり、叫んだり、感謝したりしながら頑張りぬくことが出来ました。
またきます。四国。
帰宅後二日間くらいは、全身筋肉痛で、何も出来なかった。恐るべし、四国!