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三重県の南端に近い、ここ北山村。村の真ん中には、熊野川の支流・北山川が流れる、森林豊な静かな村である。ただ、主力産業の林業はどんどん衰退し、働き手はみな、都会の方に出て行ってしまった。ここ、北山村は、年々、過疎化が加速しているのである・・・。
![]() *準備運動をするタクマ先生 |
廃校寸前の北山高校に、一人の教師が赴任してきた。彼の名は、タクマ先生。専門教科は、家庭と保健体育だが、いかんせん、先生の数も少ないこの学校のこと、勢い、いくつもの教科を担任せねばならないのだった。 これは、田舎の先生と、アクの強い生徒達が、アウトドアを通じて、心を通わせるという、、青春の一ページを描いた物語です。 |
タクマ先生は、驚いた。ここは、日本だろうか・・・・。そんな、思いで、ここ、北山高校の校舎を眺めた。北山川の河原に立つ、校舎は全て、テントなのだ・・・。しかも、高校から、保育園まで、同じ敷地に建てられている・・・・。老け面の高校生から、一歳児まで、全部合わせても、30人程度なのだが、一敷地内で教育がなされているという事実に、驚かされたのだ・・・。
老けている高校生もたくさんいるし・・・・。30年くらい、留年しているんだろうか・・・・・・。
サノ校長のところに、挨拶にいくと、これまた、タクマ先生は驚かされた。校長は、5月の夜だというのに、タンクトップで外にいるではないか!しかも、ズボンはフリース地の暖かそうな、季節に応じたそれだというのに・・・。
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赴任した5月2日、前職の仕事を終わらせてから駆けつけた先生は、夜中の12時ごろ、北山高校のある、木津呂に到着したのだった。その日は、まずは家族を眠らせ、そして、見たこともないような満天の星空の下で、歓迎の宴がささやかに執り行われた。 この日の空は、本当にまぶしく、目に見える空全てが、天の川、しかも、増水して光の洪水といった感じの美しさだった。校長は、その満天の星空を見て、 |
| *北山キャンパス風景 |
「鳥肌のような星空だね・・・」
と、訳がわからん感傷的なことを言っていた。詩的なセンスは、まるで感じられない・・・。
焚き火。満点の星空。ビール。面白そうな生徒達。この高校での教員生活が、明るいものになりそうだ。
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*左 タクマ先生のデモンストレーション。某冬季五輪金メダリストの技を意識した、 「ウナバウラー」 と言う技。 |
・1時間目 生物・地学
星座を教えようと、星座表を持ってくるも、星座表に載っているよりも、圧倒的に星の数が多いここ、北山村。全くどの星が何処に見えるのか、それさえもわからず、星座を教えるのは諦める・・・。
夜な夜な、鹿が河原を駆け回っているし、朝にはたくさんの猿が森を移動しているので、鹿や猿の生態について、大いなる講義をしようとするも、聞いている生徒達自身が、なんというか、猿に近いというか、馬と鹿を掛け合わせたような人ばかりなので、生態を教えるまでもなく理解していると確信し、結局講義は行わなかった。
替わりに、隣の小学生と一緒に、川に罠を仕掛け、魚を獲る授業を行う。前日に仕掛けた罠には、川エビが二匹、かわいらしい眼差しで引っかかっていた。小学生のテントと、幼稚園のあおい君が二人して、食べちゃ駄目だよと念を押すので、結果、水槽の中で飼われる事になってしまったのだった。ビールを片手に悔しがったのは、高校の生徒達。油を熱して待っている生徒もいるくらいである・・・。ここは、子供のまなざしに、涙を溜めさせてはいけないね。
・二時間目 体育(ブルーウォーター)
タクマ先生の専門、体育の時間がやってきた。この時間の体育は、校舎のある木津呂から北山川を下流に下る、ブルーウォーターのコースである。幼稚園児はもちろん、保育園児も参加の講義である。ただ、タクマ先生、今回、何を勘違いしたのか、アリーというカナディアンカヌーのファルトに、マスミチャンとミズホを乗せ、しかも、自分自身は、9ヶ月のコウシローを背負ってのパドリングである・・・。教える気など、毛ほどもないスタイルの先生・・・。早々に出発をし、大瀬を波をかぶりながら流れていったのである・・・。
この日、初めてカヌーに乗る生徒たち・・・。はるかとたかの中学生コンビが、それぞれ一人艇のカヤックに乗って、悪戦苦闘をしながら力一杯パドリングしている。
生徒のマ○ダさんとともちんが、カナディアンカヌー・RAM-Xで息を合わせて漕ぎ下っている。その二人の間には、テントとアオイという6歳コンビが、ちょこんと座っている・・・。人の子供を乗せるのは、かなりのプレッシャーだけども、そのプレッシャーをも楽しんでいるようである。
金沢夫妻と、橋本がそれぞれ一人乗りのカヤックに乗って、どんどん下流に向かって流れていく。
ダッキー・AIREトムキャットには、カヤックデビューのことみが、やはりちょこんと、まっつんとミホコの間に座っている。
二人乗りリジット・KIWI2には、2歳のコッチと、3歳のたのしを乗せて、トミダ夫妻が、二人乗りのファルト・ボイジャー2には、佐野家の面々が乗っている。いい風景だ!
中学生のハルカとタカは、それぞれ一人艇に乗って、右往左往しながらも、下流にどんどん船を進める。
この日、全員無チンで、全員に単位をあげたい。この大自然のなかで、おおらかに育たないわけがない!どのフネのどの生徒の顔を見ても、皆満足そうである。
・・・・・・ただ一人、先生は、生後9ヶ月のコウシローを背負ってパドリングをしていたせいか、随分ぐったりとしていたけどもね・・・・。
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5月4日は、ハルカとタカが二人乗りのボイジャー2に乗り、ワタクシとポンタ、大地・七海そしてテントを乗せたカナディアンは田戸からテン場のある木津呂までカヤッキング。好天に恵まれ、気持ちのいい時間を過ごしたこの日も、皆合格点を獲得! 5月5日の早朝には、マ○ダ夫妻が、6日の早朝にはトミダファミリー(左写真)が、それぞれ気持ちのいい時間にカナディアンで木津呂から清流荘前まで漕ぎ下る。朝日に山々が照らされていく風景は、言葉に現し難いほど、美しい。その時間を過ごした皆に、合格点。 |
| 5月5日には、たくさんの生徒が帰宅したが、この日、田上一家がやってきた。田上一家も、この日、先生や、ハルカ・タカらとともに、木津呂から清流荘前までのカヤッキングを楽しんだ。この日は、先生はハルカとタカに漕がせたボイジャー2の真ん中シートにビール片手にどっかり座り、ほとんど漕ぐことなく川下りを終えたらしい・・・・。替わりに、一番力漕していたのは、田上家の長男・龍太郎!小学二年生の彼は、ただただひたすらカヤックを上流向けて漕ぎ続け、周囲のみんなを驚愕させたのである。同じことにチャレンジしたのは、生徒のジンさん。ジンさん、5分ほど上流に向けて漕いでいたのはいいが、次第にフネは下流に向けて徐々に流れていき、約10分後、敢え無く諦めて、龍太郎に賞賛の言葉を捧げ続けていた。 | ![]() |
・三時間目 算数
タクマ先生が、一生懸命教えている算数。どの生徒も、3つ以上を数えるのは自信がなさそうで、心もとない。因数分解や方程式など、何処吹く風の彼ら・・・。数をかぞえると言う、算数の基礎の基礎をただただひたすら繰り返す。そのうち、校長もやってきて、一緒に講義をするも、この校長、ビールをがんがん飲んで、そこらじゅうに空き缶を転がしているにもかかわらず、どれだけ飲んでも
「本日まだ3本目!」
とか言っている。相当、算数に弱そうなので、一度しっかり補習をしていただきたいものである。
・四時間目 家庭科・給食
タクマ先生の最も得意な教科の時間がやってきた。この授業の準備のために、先生はこれだけの準備をしてきたのである
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・肉 25kg ・ビール 10ケース ・サーモン 一匹 ・野菜 たくさん ・卵 120個 ・・・・・・・・・・・・・・・おいおい、積めるのか?(積みました。左写真) |
| 朝食後、いきなり夕食の支度をし始めるタクマ先生(右写真)。なにしろ、マックス40人分の食事を作るんだから、大変だ。テン場にはずらりとダッチオーブンが並び、まるで、ダッチの展示・試食会のような雰囲気になっている。 | ![]() |
まだ夜は涼しいので、鳥団子鍋をつついて食べる。 隣の12インチDOには、トンポーローが殺人的にうまそうな匂いをぷんぷんさせている。子供たちは、キャンプの定番・煮込みカレーをガッツリ食べている。スモーカーからは、スモークサーモンや、スモークチーズが燻され、キャンプテーブルの上を彩る。
DOの定番といえば、メキシカン料理。ジャンバラヤ+チリコンカーンのスパイス料理は、麦酒がすすんでしょうがない。これに、フライドチキンまでどんどん揚げるんだから、こんな楽しい時間はない。
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スペアリブが12インチディープDOで煮込まれる。このリブを食べちゃうと、ほかのリブが食べれなくなってしまう。となりのDOでは、キャベツがまるまる水ナシで煮込まれる。キャベツと、他の野菜から出る水分をDO内にしっかり閉じ込め、旨味の濃縮されたスープが出来る。 |
朝も昼も夜も刺激的に美味い物ばかり食べているので、これまた仕方なく、麦酒で流し込み続ける。あくまでも、「仕方なく」なのだ。
この講義は、タクマ先生も本当に力が入る。
・五時間目 体育(ホワイトウォーター)
タクマ先生の専門のホワイトウォーターの講義である。なにしろ、ホワイトウォーターに行った事のある生徒の方が圧倒的に少ないこのメンバー構成。選択授業である五時間目は、次の生徒達が参加してくれた。
・先生 タクマ先生
・臨時コーチ トミダ まっつん ハタクン
・生徒 マ○ダさん ともちん 金沢さん さっちゃん 橋本
さて、河原に立ち、出発の点呼とフネの確認をする。
参加人数9名、まちがいなし!
フネの数、8艇まちがいなし!? ええええええええええええええええっーーーーーー!
足らないではないですか!誰が積み込みをしたんだい?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・校長!
やっぱり、算数の補習が必修のようですな、校長!
さて、結果的にどう考えても船が足りない。テン場に戻るには、片道45分のドライブという長距離だけに、一人カヌーに参加しないということで講義は続けられることになった。・・・・・・・で、一人フネに乗らない人というと、・・・・・タクマ先生。
![]() オトノリの瀬に突入するトミダ(5月5日) |
さて、授業がはじまった。まず、北山川上流部の最初の大きな瀬・オトノリ。この瀬は、進入にホールが一つあり、それを乗り越えて、小さなホールやウェーブが続く長い長い、いやらしい瀬なのである。最初のホールでチンダツすると、かなり流されなければならない。 この瀬は、トミダとまっつん以外、見事に全員チンダツ。橋本は、最初のホールでやられてしまい、しっかり200mほど流された。他にも、どんどんチンダツして流されてくるので、レスキュー部隊は大変である。タクマ先生、右岸の岩の上からこの風景を眺めるしか手立てがない。無念である。 |
| このあとも、最大落差の瀬・ナイアガラでチンダツ数名。ムササビホールでチンダツ数名。途中の名のない瀬でもチンダツ。この、総距離4kmのツアーに、かかった時間はなんと、6時間!流された生徒も大変だった思うけども、レスキュー部隊も、大変だったとおもいます。 | ![]() オトノリの瀬に突入する校長(5月5日) |
ちなみに、一度もチンをしなかったのは、まっつんとトミダのみ。そのまっつんは、テン場に帰って、テントに入るや否や、即チンして、夕飯まで起きてこれませんでした。
皆様、大変でしたね。(校長)←お前が言うな!反省しろ! (・・・はい。)
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左:オトノリに突入するタクマ先生 |
| 右:オトノリに突入するポンタ | ![]() |
・6時間目 ゆとり教育
5月5日に、ほとんどみんな、帰宅してしまいました。子供たちは、楽しい思い出を持ち帰ってくれたんじゃないかな。大自然のなかで、自分達の力だけで自由に遊ぶ。こんなゆとりのある教育をしていきたいものです。
はるかとタカ、あおいが帰るとき、大地は、涙を浮かべていました。そして、テントと楽、コッチが帰る時、こらえ切れず、大声を出して泣いていました。感受性の豊かな子供に育ってくれて、本当に嬉しいですね。
こんな涙を見ていると、また企画をせにゃいかんなあ、などと、思ってしまうのです。
また、何もない自然の中で、一緒に遊んでください。来年も、GWには北山自然学校を開講しますので・・・。ワタクシは、算数の勉強をしておきます(校長)。
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のんびりさざえを焼くタクマ先生。のんびり、のんびりがモットーです。 |