「トマトは嫌だ!」
 ロイドの昔からの主張は常に無視され続けていた。
「トマトにはビタミンとかミネラルとかいっぱい含まれてるから食べなきゃダメ!」
「びたみん?みねらる?」
「つまり、体に良いから食べなきゃダメ!ってこと」
「うう〜〜っ」
 体に良いから、の一点張り。
 嫌いなモノを食べて体に良いわけないだろ!
「そんな屁理屈知りませ〜ん」
 鼻をつままれて毎回食べさせられていたのを思い出す。
 いくらジーニアスが近くにいてもこれでは拷問のようだ、とどれだけ思ったか。
 なにゆえそんなに食べさせたい。
 いじめか、いじめなのか!?
 そんな可愛い顔して悪魔のようだ!でもジーニアスなら小悪魔で良いと思う!
「何バカなこと言ってんの」
 トマトを押しつけられた。
 やっぱりいじめだ。


 で、時間は戻って現在世界再生中。
「今日の夜ご飯はトマトソースのスパゲッティだよ」
 辛い夜になりそうだっ。
 しかし、今回は仲間がいる!
 同じトマト嫌いのクラトスだ!
「トマトだってよ、クラトス!嫌だよな!」
「いや?」
「うそだろ!?だってトマト嫌いじゃん!!」
「もー、食べたくないなら良いんだよ、ロイド?」
 腹減ってます。夕食抜いたらオレ死にます。
「ごめんなさい」
 素直に謝りました。
 くそー、絶対クラトスがこっちについてくれればトマト料理じゃなくなると思ったのにっっ。
 こうなりゃオレとクラトスのトマト嫌い同盟(勝手に結成)でトマトなんか撃退してやる!


「なんで?」
 どーして??納得できないっっ!!
「どしたの、ロイド?」
「なにかあったか?」
 ジーニアスとクラトスが不思議そうに振り返る。
 クラトスの手元にはクリームスパゲッティー。
 オレの手元には真っ赤なトマトスパゲッティー。
「なんでクラトスのヤツは違うメニューなんだ!?」
「しょうがないでしょ、クラトスさんトマト苦手って言うんだもん」
「お、オレもトマト嫌いだ!」
「知ってるよ?」
 何年一緒にいると思ってるの、と胸を張られてしまう。
「じゃあなんで!?」
 オレの「トマト食べたくない主張」は無視され続けるのか!?
「体に良いからだってずっと言ってるでしょ?」
「それをクラトスに食わせなくて良いのか!?」
「だって、クラトスさんには……」
「には?」
 続く言葉を待つ。
「僕の料理を美味しく食べてほしいからっっ」
 ……なんだよそれ。
「ジーニアス!」
「ク、クラトスさん!」
 見つめ合うな!手を握るな!食べさせ合うな!
 このバカップルどうにかしてくれっ!オレのトマト料理食べろ!
 っつーか、オレのトマト料理食べろ!
 そしたら二人の仲、半分くらいは認めてやるから!!