響「ああ、サクラが綺麗だねぇ」
蘭「余裕だな?」
響「ああ、すまんね。あまりにも見事なサクラだったもんでさ」
蘭「フッ、お前らしい」
響「お褒めにあずかり光栄です」
蘭「…………」
響「…………」
 互いに睨み合う

響「奏でようか、戦いの旋律を」
蘭「ああ」

 衝突する光と音
 月明かりの中照らし出されたサクラだけの見ていた戦いだった

凛「酒臭いったらないわね」
響「まぁ、そう言うなって。サクラは綺麗だろう?」
凛「サクラは綺麗だけどねぇ、この五月蝿さ、どうにかならないかしら?」
響「無理だろうな。この季節にそれを望むのは贅沢だよ」
凛「それだったら昼間来ればいいじゃない。まだ酒臭さがましでしょうに」
拓「ま、まぁまぁ」
凛「ごめんなさいねぇ、拓くん。こんな事に付き合わせちゃって」
拓「そんなことないよ!サクラは凄く綺麗だし」
弥生「外で食べるご飯は美味しいですものね」
響「だよな?」
凛「なによなによ、みんなして。あたしだってサクラは綺麗だと思ってるわよ、本当に」
拓「楽しみましょうよ、せっかくのお花見なんですし」
凛「……わかったわ!もうここまで来たら楽しむわよ!」
弥生「私も、そうしようかしら」
響「うんうん。良いんじゃないかい、それが」
弥生「じゃぁ、一番弥生、歌います。『きよしのズンドコ節』」
凛「なんでよっっ」

 凛達が盛り上がっている一方

響「どうした?蘭」
蘭「いや、ただ」
響「ん?」
蘭「この木にだけ……」
響「人が集まってないって?」
蘭「ああ」
響「やっぱ前にあった怪事件のせいなんじゃないか?もったいないよな、こんなに立派な木なのに」
蘭「犯人が何を言う」
響「共犯者だろ、蘭?」
蘭「そうだな」
響「それにしても、やりすぎたよな。あの時は」
蘭「この木以外全てをなぎ倒したか」
響「この木だけ残ってたから呪いがかかってるとか言われてたんだよ。他の木は植え替えられちゃったしね」
蘭「ああ」
響「まぁ、あの時と同じくらいサクラが綺麗だし。過ぎた時間を惜しみながら、その埋め合わせのために花見をしようじゃないか」
蘭「なんでもいいさ。口実など」
響「お、ばれたか?ま、こうして一緒に楽しんでいられるなんて前は考えられなかったからなぁ。一緒にいられるこういう時間が凄く愛おしいよ」

 戦いの中に身を置かなくても共にいられるとはなんと良いことか。
 昔の戦いを見ていたサクラが、全く逆のこの幸せを見る日が来ることは、響が望み待ちこがれた光景であった。

響「ああ、サクラが綺麗だなぁ」