見える物 (TOA ジェイガイ??)
ガイが目を擦っている。
別にたいした行動でもない。
前の失明事件の事さえなければ。
「ガイ、大丈夫?」
回復係であり、周りに聡いティアは一番に訪ねる。
ただたんにルークが一歩出遅れて、ジェイドはあえて何も言わないで、ナタリアは料理に手を出そうとして、アニスは料理で目が離せなくて。そんな状況だった。
「いや、平気だよ。ただゴミが入ったみたいだったけど…」
「ゴミ?」
うっすらと涙目になっているのを見てルークが過剰に反応した。
「だ、大丈夫かよっ!」
グイッと顔を無理矢理自分の方向に向ける。
「……ルゥーク?」
首の痛さを低い声で訴えているのだが、ルークはその声が聞こえないようで、賢明にガイの目に入ったというゴミを探している。
その至近距離具合がまるで今にもキスをしそうに見えて、周囲がどよめく。
「もう取れた、て言おうとしたんだけど」
静かながらに仄かな怒りの漂う声にようやくルークが正気に返る。
そして間近にありすぎるガイの顔にボッと顔を染めて慌てて離れた。
綺麗な顔。
潤んだ瞳に、長いまつげ、そして……。
「わ、わわわわわ悪い」
明らかに動揺して手の震えているルークに苦笑いをこぼして
「もう少し落ち着いて話を聞こうな。首は直ぐに治るから平気だけど」
と、ガイはお母さんっぷりを発揮している。
それがどうも気に入らなかったらしい人物がいる。
「ガァイ♪」
「…………………なんだ」
やけに弾んだ声は悪夢を招く。
ジェイドはそんな存在だった。
「目にゴミが入ったくらい出よかったですねぇ。もしまた前のが再発したとなったら……」
「なったら?」
前は魔物の血が持つ毒性で一時的に目が見えなくなっただけだ。
再発、と言うものがあるのかどうか分からないけれど、続く言葉を促す。
ガイはこの時点で大分嫌な予感に苛まれていた。
とんでもない事を言い出しそうだと。
「また私の献身的介護が必要になりますね。手取り足取り腰取り、懇切丁寧にやってさしあげますよ」
ブッと吹き出した。ガイが。
王族二人は「腰?」と不思議そうに首を傾げている。
意味が伝わらなかったのなら良い。
しかし、最年少ながら俗世間に聡いアニスなんかはニヤニヤしている。
「おまっ、ジェイドッ!
一体何言い出すんだっ」
胸ぐらをつかんで問いただそうとするといけしゃあしゃぁと続きを言ってみせた。
「おーや、事実を述べたまででしょう。
上の世話から下の世話までやって差し上げたのですから」
「わーわーわーわーわーっ、言わないでいいっ、言うなっ」
「大佐ぁ〜何があったのか、アニスちゃん知りたいですぅ」
「あはは、十八禁の世界になりますからもう少し経ってからにしましょうね」
にっこりと爽やかかつ胡散臭い笑みが気に入らない。
「子どもに変な事を吹き込むんじゃないっっ」
「なんですの?それ」
「ナタリア、あえてそこはふれない方が……」
「ジェイド、お前俺のガイになにしやがったっっ!?」
ワイワイきゃあきゃあと騒いでいる仲間達にガイは
「もう、もうその話題に触れるなーっっ」
と叫んだ。
それで騒ぎが収まるはずもなく、ガイは顔を赤から青にコロコロ変えながらジェイドに殴る掛かるまでも時間の問題だった。