モーゼスは一人、ベットに入ることなく窓の外を見ていた。
 静まりかえった部屋では男四人、押し込められてもう眠りについている。
 暗い空に穴が空いたような満月。
 月の明るさで星は一つとして見えない。
 そんな空を見つめて、らしくないと分かっていながらもため息を一つ。
「どうしたんだ?らしくないな」
「!」
 後ろから声を掛けられて軽く飛び上がる。
 不意打ちというより、全員寝ていたと思っていたための驚き。
 モーゼスは胸を押さえながら
「お、起きちょとったんか」
 声を掛けたセネルが逆に驚くくらいの反応をした。
「ああ、目が覚めてな」
 どうしてそこまで過剰反応をするのか、と不思議に思いながらセネルは簡単に答えた。
「起こしたか?すまんの」
 とたんすまなそうになるモーゼス。
 セネルは言い繕うわけでなく疑問をぶつけた。
「いや、いい。
 それでどうした?いつも一番に寝るってのに」
「……なんていうんじゃろな」
 苦笑いを浮かべて言葉を濁す。
 そこで気づいた。
 無意識なのか、つい先日交換したばかりのお守りをいじっている。
 ギートがいないことで寂しさを感じているのだろう。
 セネルが気づいたことを察したモーゼスは
「情けないのぅ。覚悟しちょったことなんに、ときどき無性に隣が寂しく感じるんじゃ」
 今までずっと一緒におったからの。
 クカカ、と笑ってみせるモーゼス。
 その笑顔は笑っていながらも、哀愁は消せていなかった。
 食べるのも出かけるのも寝るのも一緒だった存在がいなくなったのだ。情けない、と言っているが仕方ないことだろう。
 先ほどの驚きはこのことを知られたくなかったからなのか。
 納得したセネルはベットの布団を上げ、
「じゃぁ、一緒に寝るか?」
 と誘ってみることにした。
「は?」
「ギートの代わりってわけじゃないが、たまにはいいだろ?こういうのも」
 突然言われたことにキョトンとしているモーゼスを寒いから早く入れ、と急かす。
「お、おぅ」
 勢いに押されてセネルのベットに入るモーゼス。
 布団を掛けると押し殺したような笑い声が聞こえてきた。
「狭いの」
「まぁ、大の男二人が入ってるからな」
「もうちょいそっちに詰めぇ」
「俺のベットだぞ」
「誘ったのはセの字じゃろ」
「うわ、落ちるって!」
「くっつけばええのに」
「いや、それは俺の理性がな……」
「?まぁええわ。
 ……セの字」
「なんだ?」
「ありがとう、な」
 こんなことくらい、いつでもしてやる。
 と言う前に寝てしまったモーゼスの寝付きの良さに半分呆れながら、頭を撫でる。
 さぁ、夜は長い。

 翌朝、一緒に寝ているのを散々ジェイに追求されたとかされてないとか。