「納豆をおいしく食べるには」 2000年2月
納豆は29.7回かき混ぜるとおいしいらしい。とあるテレビ番組で実験をしていた。
しかしまだまだ甘い。世の中もっと広いのだ。
数年前、他の番組で納豆の特集をやっていた。その中で、「魯山人納豆」と呼ばれる物がでてきたのだ。
何が魯山人なのかと言うと、納豆を500回以上も混ぜるのだ。記憶が定かではないが、確か800回くらいだったと思う。
番組では納豆を800回混ぜると粘りけがなくなり、固まってパサパサになっていた。出演者一同「美味しい!」と言っていた気がする。
私が試さないわけがない。
パックの納豆を購入し、早速作業に取りかかった。
いつものように付属のタレとからしをパックの納豆に入れ、かき混ぜ始めた。たしか、200回くらいかき混ぜたくらいからマメの形がなくなってきたように思う。
「・・・何かおかしい」。700回くらいかき混ぜた頃からそう思い始めた。
そう。全然固まらないのだ。しかし、「なあに、800回くらいから急速に固まるのだろう」と特に気にはしていなかった。
ついに800回かき混ぜても納豆に変化は訪れなかった。ただの納豆なのだ。いや、もはや納豆を通り越していた。ここに存在するのは、もう納豆ではなかった。さながら「ピーナツバターの納豆版」といったところだ。
しかしここまでやっといて、食べないワケにはいかない。パックに穴が空くほどかき混ぜたのだから。パック内でかき混ぜたのは間違いであった。
「形は違うけど、きっと出演者の人たちもこんな納豆を食べたのだろう」と思いながらその納豆を食べた。
見た目通りのマズさであった。こんなもの美味しいわけがない。
800回も苦労してかき混ぜた納豆は、あっけなくゴミ箱へ捨てられた。もちろん厳重に封をして。
私はしばらく納豆が食べられなくなった。
数日後、ふと思い出して納豆専門のホームページを見てみた。
なんと、そのサイトの管理者もどうやらあの放送を見て試したようであった。そこには「パックのままかき混ぜたのでは固まらないようです」との記述があった。
私は、失敗した納豆の味についての考察も書いて欲しかったと思った。
今日、納豆を約29.7回かき混ぜてから食べた。気分的にとてもおいしかった気がした。
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