「見られる側の事情」 2000年6月19日
ある蒸し暑い日の夕方、私は自転車で家路を急いでいた。私は駅にある地下連絡通路への階段を、自転車を押して早足で降りた。
階段を降りきって薄暗いまっすぐな地下道へ着くと、何やら出口の登りの階段の下に人が集まっているではないか。
・・・ん? 人が横たわっている。そのまわりに複数の人影が見える。私は「自転車に乗ったまま階段を降りようとして事故ったんだ」とすぐにわかった。
しかし人影に近づくと、わかっていなかった事がわかった。
・・・赤い着物を着て、眼帯をしたお姉さんは自転車なんかに乗らない! ましてやこんな地下道でお姉さんがぼーと突っ立っていることなどもっとない!!。それになんで風鈴の音が聞こえてんの!? なんでまわりの人は倒れてたりしゃがんだりしてるワケ!!
ただならぬ雰囲気をかもしだしていた。
その光景を目の当たりにして出てきた私の結論は、「見てないフリをして通り抜けよう」であった。もはや目の前の状況などはどうでもいい。
「何も見ていないし、目の前には何もない。だからオレは何も考えないんだよ〜ん」と無理矢理に思いこもうとしたが、どうしても考えてしまう。
宗教団体か何かだろうか・・・。話しかけられたらイヤだなぁ。是非気にしないでいただきたい。
それともこれがお化けというヤツだろうか。いや、足はある。でも、なんか「チリーン」とかマジで聞こえてるし、着物のお姉さんが・・・! おまえらの出る季節にはまだ早すぎる、でもそれっぽい〜!!。
いや。このお姉さんは普通の人で、ちょっと怖い格好をしてらっしゃるだけでは? ・・・は! もしや「階段」と「怪談」をかけているのでは!? もしくは「会談」か? そんなに陽気なお姉さんだったら・・・いや、やっぱりイヤだ!
とかなんとか自転車を押している数秒の間に考えた。まあ何にせよ「ノンストップで通り抜け」にかわりはない。
あぁ! 階段の登り口を彼らがほとんどふさいでる!!。私はかまうものかと、自転車用の坂を使わずに階段をドカドカと駆け上がっていった。
「話しかけないで〜!!」などど心の中で叫んでいると、後ろの方から「あ〜、終わった終わった。メシだメシ」という声が聞こえてきた。
振り返ると彼らは撤収の準備を始めていた。なるほど・・・撮影ね。彼らは映画でも撮っていたのだろう。
一足早い肝試しができて、良い機会であった。・・・などどはまったく思わなかった!! 本気であの時は怖かった。老人があの場にいたらきっと腰を抜かすぞ、まったく。
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