「西寧へ行ってきた」 2001年11月12日


 中国の北西に位置する青海省の省都、西寧(せいねい)へ、2週間弱の間行ってきた。
 今回の目的は普通の観光ではなく、フィールドワークであった。とはいうものの、実際に調査やら何やらをするのは私らではなく、大学の先生なのだ。同行者である私と友達は、そのフィールドに便乗したのである。ということは、観光か。
 ともかく、日本からはその3人で旅立った。

 フィールドとは一体何か。現地での流れを大まかに説明しよう。
 今回のフィールドは「なれない食事→車がバカ揺れ→お腹が急降下→汚いトイレで意気消沈→紫外線で抜け毛?→オレって痩せてない?」であった。
 また、「西寧で情報集め→ある民族の住む村へ移動→村にて情報収集、寺巡り→西寧へ帰る」のような事も毎日のようにやっていた。
 長期間の滞在だったので途中で飽きてしまうかと思いきや、毎日が新鮮であった。しかもなんだか今回は中国語が結構通じるし。衰える一方で全く勉強などしていなかったが、どういうわけか通じた。
 むこうでの食事は、だいたいの物が辛かった。私は辛い物がスキなのでそれで幸せであった。だが、普段食べ慣れない物もやはり多く出てきた。
 西寧では、あるチベット族の方の家へしばしば行っていて、そのたびに夕飯をごちそうになっていた。食卓には、いつも羊の肉があった。西寧の人は、羊の肉をよく食べるらしい。私たちの先生はその家で羊の肉を食べたときに「おいしいおいしい」と連呼していて、なんだか私たちもその気になって「これはおいしい…のかな?」という気になってバクバク食べていた。
 そして、次の日もその次の日も羊の肉を食べ続けた。だが、「いや、やっぱりこれってそんなにおいしくないでしょ?」と気がつくのに、そう時間はかからなかった。どちらかというと、食べ慣れないせいもあってかあまり好きではない。そういえば、先生も最近羊の肉をろくに食べていないじゃないか。
 後で聞いてみたら「モンゴルで食べた臭い羊の肉に比べたらとってもおいしかったのよ、あの時は」と。比較しないとそんなにおいしくはないですよね…。
 その後「お腹をこわした原因は、普段食べ慣れない羊にあったのでは」という説が、私たちの間で有力であった。だが、一行は帰国するまで腹痛に悩まされ続けた。原因は単純に羊というわけではなかったようだ。
 羊の肉には慣れることができなかったが、他の家庭料理はとてもおいしかった。中華料理屋で普通に出てきそうなものばかりであった。そのような料理が一般家庭でできるものだとは。まぁここは中国か。

 西寧の方では、トイレがいろいろと変わっていて面白かった。天然のトイレはもちろんだが、川の上に高床式の建物で作ってあったトイレ、にわとり小屋と一緒のトイレなどなど。トイレの立地条件は様々であるが、どのトイレにも個室がないという事は同じであった。しきりがないので、個室とならないのだ。あるのは長方形の穴があいたレーンのみ。最大で8レーンのトイレを見た。薄暗いトイレに、整然とならぶレーンが見せる建物の奥行が、新鮮であった。
 一番汚かったトイレは、青海湖にあったトイレだろう。湖畔にある料理屋の調理場用のテントから30m程度離れたところに、3方向を高さ約1mの麻布に囲まれたトイレ(?)があった。布の囲いの中心には、直径60cm程度の樽が地面に埋まっていた。そこには樽いっぱいの…。
 野ざらしでそんな樽が置いてあるだけに、ものすごい数の蠅がたかっていた。蠅の王でも近寄るまい。このように衛生上の問題もあったのだが、その他にも無視できない問題があった。高さ1mの布が、またくせ者なのだ。その場で、「案外自分は足が長いんだなぁ」と実感した。
 これだけ様々な種類のトイレがあったので「写真にとってコレクションにでも」と思ったが、写真では決して伝わることのないリアルな臭いを体験して、そんな気はいっぺんに消え失せた。第一そんな写真など保存しておきたくないし、見返すまい。そのシーンにはいろいろなものが写っているわけだし。
 とにかく、青海湖のトイレを経験してからは、どんなトイレにもうろたえることはなくなった。良い経験であったように思う。
 西寧のトイレ事情にはいささか面を食らったが、それと同じくらいに電話事情にも驚いた。
 西寧から離れた小さな村でも、トイレは汚くとも携帯は通じるのだ。どちらが先に進化すべき物であるという事もないが、このような生活があるという事はあまり予想していなかった。

 ここで話が終わるとトイレが今回のテーマであると思われそうだが、実はそうでもない。実際に見てきた物だけの話ではなく、考えの部分を書きたいのだが、いまだに話がまとまらずにいる。
 というわけで、次回にコンティニュー。

 青海省西寧市内。標高2000m以上。田舎というわけではないが、昔という印象を受ける。昔の日本にタイムスリップしたような感じ。イスラム教徒である回族の屋台が多い。

 互助県五峰寺の花会。西寧から車で約2時間。
 土族(つちぞく)。この頃はデジカメが珍しかったらしく、みんなよってきた。写真が撮りやすい時期であった。

 同じく花会。山の中腹にある寺へと続く道に出店が並ぶ。
 地面はゴミだらけ。ぬるいビールを瓶ごと飲み、そのまま地面に投げ捨てる。そんな光景をよく見た。

 互助県小庄土族民族村。鹿の角(高価な物らしい)やら、舌がぴりぴりする手作りヨーグルトやらを食べた。これを境にお腹の具合が悪くなった気が…。

 チベット仏教寺院 塔尓寺(クンブム)の八宝如意塔。

 塔尓寺の法舞。観客は多かったが、あまり感動するほど技巧的な物でもなかった。

 互助県佑宇寺。法舞目当てで来たが、雨で中止となる。

 互助県佑宇寺付近で、山の廟から撮影。ずっと川下の方から登ってきた。息がすぐにあがる。

 土族の結婚式の様子。模擬的に実施してもらった。
 歌ったり踊ったり、ブランコでぐるぐる回ったりする。先生の命により、私は新郎役をいきなりやら され、なにやら愉快な帽子をかぶり、言葉もわからず、周りにあわせてただ踊っていた。恥ずかしいことこの上ない。
 数分後、ビデオを真剣に構えた先生が「入らないで!この踊りは伝統的な物だから!」と。あんたさっき無理矢理に一緒に踊れと…。

 青海湖付近の峠 日月亭。標高3500m。月亭側から日亭を撮ったのか、逆なのか今となってはわからない。亭には土産物屋があったり、牛に乗れたりする。

 青海湖。標高3000m以上。海と見分けがつかないくらい大きい。

 化隆夏群寺。ラマ教活仏を見に行った。

 活仏登場。

 活仏の説教を聞く。ものすごい日差しとほこりにも関わらず、みなじっと動かないで聞き入っている。信仰の深さを実感した。

 同仁県。西寧から車で5時間程度。確か隆務寺は女性が入れなかったのでパスして、近くの法院へ。チベット族の何かが行われていた。残念なことに、単独行動をしていたため何がなんだかさっぽりわからず。

 法院へ続く道。道が細い上に斜面が急で、さらに小雨が降っていて道がドロドロ。いったいどうやってあれだけの人が法院へ…。

 同仁のメインストリート 中山道。500mくらいの長さ。道はすぐに突き当たりになってしまい、町はすぐに終わる。町の規模が知れよう。

 吾屯上寺院。同仁県あたりだったと思う。この辺になると、ガイドブックを見てものっていない。


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