「Aの事」 2005年6月26日 English version is available.


 Aというテレビ番組が終わった。
 松浦亜弥や久米宏などの有名人をレギュラーとし、鳴り物入りで番組が始まったのだが、わずか3ヶ月で、打ちきりとなった。

 この番組の主な内容は、アジア(中国、台湾、韓国、タイ)での日常生活レベルの文化を紹介するといった内容である。
 たとえば、韓国での引っ越しの仕方や、タイの通勤事情、台湾でのデートの仕方、さらには各国でのしゃっくりの止め方の違いなどさまざまである。
 各国には一般人のレポーターがいて、現地の様子をレポートする。また、レポーターと番組会場とをインターネットで結び、ビデオ会議方式で対話するといった事も試みられていた。その会話は会場内で同時翻訳され、繁体字、簡体字、韓国語、タイ語でリアルタイムの字幕がつけられるという手の込んだ物であった。

 各国の歴史、文化に関する番組は沢山ある。
 しかし、現代アジアの日常生活における文化の違いに着目し、紹介するといった内容は貴重である。
 それらは教科書にも載っていないし、学校で習うこともない。

 そのような観点から文化を比較することでも、その土地の地理、気候、歴史、民族、宗教、考え、人となりを想像、あるいは類推することができる。
 それは今その国で生きている人の物であり、そこには今までの古い、時には奇妙な先入観など存在しない。
 「過去から現在へ」ではなく、「現在から過去」へ向かっての想像である。

 この番組は、回を重ねるごとにつまらなくなっていった。本筋と思われた文化の紹介が少なくなっていったのだ。
 視聴者に迎合しすぎた気がする。他の要素が多くなりすぎた。

 この番組の失敗のため、しばらくこの手の番組は出てこないかもしれない。非常に残念だ。


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