インタラクティブノベル「勝手にかまいたち第一回」


真理がキレイなシュプールを描いて僕の目の前へやってきた。
実に様になっている。
真理は、スキーが上手だと自分で言っていたが、これほどまでにうまいとは思わなかった。
僕など足下にも及ばない。
僕は思わず真理に・・・

「真理、インストラクターみたいだよ」
と言った。
真理は・・・

「なに言ってるの。さあ、透のスキーの練習見てあげるから上に行きなさいよ」
と真理は僕をはやしたてた。
僕は・・・

「え! まだやるの!? そろそろ戻ろうよ」
もうこれ以上は滑れない。
実は日頃の運動不足もたたってか、もう足腰がたたなくなっているのだ。
「それにほら。天気も怪しくなってきてるし、帰れって言ってるみたいだよ」
雲行きが怪しくなってきた。天気予報では今晩雪が降るとは言っていなかったように思う。

僕たちはペンションに戻ることにした。

が、
「え! あれ!? 車がない!! 真理、確かここにとめたはずだよね!」
僕たちが乗ってきたはずの車が見あたらないのだ。僕はすがる思いで真理に聞いた。
「!! ホントだ! え!? ちょ、ちょとどうするのよ! どうやって行くのよ!?」
僕はしばらく考えた後・・・

** ここでつれづれ、ここらで物語を終わらす展開へ持っていこうとする **

僕の所属しているFBIに頼んで、ヘリをチャートしてもらう事にした。
FBIは上司の僕の命令は絶対に聞くので、困った時に便利だ。
ヘリに乗っていた隊員のモルダーはめんどくさそうな顔をしながらも上司である僕に敬礼して、ペンションまで乗せていってくれた。

** ペンションにつれて行かれてしまった… **

「モルダーが車の事は心配するなだってさ、よかったよ真理」
モルダーが車の一件は面倒を見てくれるというので、僕は安心して真理との旅行を楽しめると思いホッとした。

ペンションについた。

ここのオーナーである小林さんが出迎えてくれた。
「早いおつきですね。スキーは楽しかったですか?」とにこやかな笑顔でいってきた。
なんとなくうそ臭い笑顔だった。彼の話を聞いてるうちに僕はだんだん不機嫌になってきた。
そこで真理は・・・。

「さってと、部屋に荷物置いてシャワー浴びちゃお!」
真理は、僕と小林さんの話を打ち切るかのようにそう言った。
僕が不機嫌になっていくのがわかったのか?
ひょっとしたら真理も小林さんにイライラしてたのかもしれない。
真理と小林さんは親戚だということだ、伯父か叔父といったところだろう。
少しだけ気になる、後で真理に聞いてみよう。
そんな事を考えてるうちに、真理はとっとと階段を上がっていってしまった。
僕は…

「ちょっと待ってよ、俺も荷物を置きに行くよ」
僕も真理を追って、二階の自分の部屋へ荷物を置きに行った。
残念だが、真理とは別の部屋という事になっている。
そして、後で真理と一階の談話室で落ち合おうということになった。

僕たちは一階の談話室に集まった。

「ピッポ!」壁のハト時計が一度だけなる...
どうやら6時半のようだが、僕の腕時計は6:25と表示していた。
僕は真理にさっきの疑問を聞いてみることにした。
「ねえ真理、真理と小林さんてどんな間柄なの?」
小林さんの姿はそこにはない、どうやら夕飯の仕度をしているようだ。
真理は…

真理「どんな間柄って、決まってるじゃない」
真理はこともなげに言うと席を立ち窓際のほうへ立った。
窓の外は夕闇に包まれもの静かな雰囲気をかもし出していた。
真理「あなたは私と彼がどういう関係だったら満足なのかしら?」
真理はいたずらっぽく僕の耳元でささやいた。
返答に困った僕は・・・

真理の意味ありげな振る舞いにとまどいつつも
「ただの叔父さん だろ? 他に何があるの?」
と冷静をよそおいつつ聞き返した。
「うん。叔父さん、とてもいい人よ」
真理の話によると、小林さんは数年前に脱サラをして、ここのペンションを始めたそうだ。
ペンションを始める前は街金融で働いていたそうだ。
しかし、昔からの夢が捨てきれず、脱サラを決意したということだ。
だが、今でも街金融で働いていたときによくしていた「うそ臭い笑顔」を時々やってしまうとの事だ。
そんな事を話していると、二階からがやがやとした話し声とともに、女の子三人組が降りてきた。
見た目はOL風だが、ぼくらよりも二つか三つ年下だろう。

「もう一泊くらいしたかったね〜」ロングヘアーで細めの女の子が言った。
服装が派手なせいか、少し軽薄そうな印象を受ける。
「ホント、ホント。雪質も最高だったし。まだまだ滑り足りないよ」
元気な声で言った女の子はボーイッシュなカンジだ。
「それよりも食事よ食事。また来たいな〜、ここ」
少しぽっちゃりめの女の子が言った。
いかにもスキーよりも食事といった様子だ。
皆荷物を抱えている。どうやらこれから帰るらしい。
談話室まで降りてきた彼女らはこちらへ向かって会釈をした。
すると真理はぼくに向かって…

** ここでつれづれ、女の子の名前を憶えておらず、帰っていただくことにしようとした **

真理は僕に向かっていった。
「あの3人、きっと宇宙人ね。」
???話の意味が全くわからない。どうやら真理はすこし頭がいかれたらしい。
僕は返答に困って小林さんのほうに助けを求めるような顔で向いてみた。
「ああ、彼女はよくああいう風に頭のねじが外れるんだよ。根はいい娘だからあんまり気にしないでやってね。」
しらなかった。彼女にそんな一面があるなんて。
「ピー。ピー。」
真理がいきなりよく分からない事を言い出した。どうやら真理は三人に向かってテレパシーを送ってみようと試みているようだ。
傍目から見ると彼女はただのきちがいにしか映らない。三人もうろたえた顔つきで真理を見ている。
困った僕は・・。

宇宙人?
宇宙人といえば奴だ!そう、モルダーを呼び出そう!!
僕は襟に仕込まれた小型通信機でFBIに連絡を取ろうとした、が...
「何をしてるの?さっきスキーで転んだ時頭でも打った?」
???真理はいつもどおりの真理で平然と立っている。さっきの女の子3人も小林さんに見送られてすでに玄関の外だ。
ふと我に返ると後頭部がやけに痛い、そっと手を触れてみる。
すると大きなこぶになっていた、いつの間に...記憶に無い。
それだけじゃない昼間のスキーの記憶すら断片的にしか無いのだ。
何故だ?
...僕は糸を辿るように昼間のスキーを思い出してみることにした。

真理がキレイなシュプールを描いて僕の目の前へやってきた。
実に様になっている。
真理は、スキーが上手だと自分で言っていたが、これほどまでにうまいとは思わなかった。
僕など足下にも及ばない。

ここまでは確かに覚えている、このあと僕は…

この後僕は、それが夢だと知るのに数秒の時間を要した。
なんとなく憂鬱な気分だった。
真理が「どうしたの?透?暗い顔しちゃって」と僕に問い掛ける。
僕は黙って雪の上に座り込んだまま空を見上げてみた。
雲はぴくりとも動かなかった。雪は光を帯びて静かに振りつづけていた。
僕はどうしても立ちあがる事ができなかった。体からあらゆる力が失われていた。
僕が見た夢にはそれだけの力があったのだ。
不吉な気持ちになって僕は倒れこみ、顔を手で覆った。
誰かがやってきて、背中にそっと手を置くまで、僕は夢の事を考えつづけていた。