聖バレンタイン・デイ


高級宝飾店「ブルガリ」は控え目なハートでバレンタインを演出

こんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

2月14日のこの日、男性の皆さんにとっては、義理だの本命だのということを抜きにしても、やはり飛び交うチョコレートの行方は気になるものなのでしょうか。義理、という言葉で片付けてしまうと何とも味気ないものですが、同僚や友人、家族に「いつもありがとう」の代わりにささやかな贈り物をするというのは、確かに悪くない習慣のように思います。

実は二人

聖バレンタイン、イタリア語でSan Valentino(サン・ヴァアレンティーノ)とは、ではいったい誰なのか?・・・手元の「聖人辞典」(”Dizionari dell’Arte ? Santi”, Rosa Giorgi, Electa, Venezia, 2002) で調べてみました。曰く、3世紀の殉教者で、恋人達、及び癲癇の守護聖人。恋人達の守護聖人と呼ばれるようになったのは中世以降、当時は2月14日から小鳥たちが巣作りを始めると信じられていたから。・・・というところまではいいのですが、なんと「ローマ殉教者列伝」には、この2月14日に記録されている「ヴァレンティーノ」が二人いるというのです。一人は268年に皇帝クラウディウスの下で打ち首にあったローマ人司祭、もう一人は273年にこちらは皇帝アウレリウスの迫害の中でやはり打ち首にあった司教。弟子達に遺体をフラミニア街道沿いの町、テルニに埋葬された後者のヴァレンティーノが、主にこの信仰の対象とされているものの、同じ名前、ほぼ同じ時期、同じ刑による殉教。そしてまた前者のヴァレンティーノもフラミニア街道沿いに埋葬された・・・という偶然の一致が重なり、後世の、美術表現の中でも聖人の姿が司教だったり司祭だったり、と若干の混乱をきたしているのだそうです。
ちなみに、この辞典では実際にサン・バレンティーノが登場する例として、

Jacopo Bassano「聖バレンティーノに洗礼を受ける聖ルチッラ」、1575頃、バッサーノ・デル・グラッパ、市立美術館

Bartolomäus Zeitblom「癲癇病者を治す聖ヴァレンティーノ」、16世紀初期、アウクスブルグ、国立美術館

の2つが掲載されています。

余談ですが、このバッサーノ・デル・グラッパは、ヴェネツィアから約一時間、ドロミテ山脈をバックに中世の街並みが映える美しい町です。ぶどうから作る蒸留酒「グラッパ」の産地でもあります。一味違うイタリアを体験したい方には、おすすめスポットのひとつです。

聖バレンタインのお膝元イタリアではこの日、恋人達の日ということにはなっていますが、特別に女性から男性のみ、またとりわけチョコレートを贈るというわけではありません。深紅のバラを、もちろん男性から女性へ・・・というのがオーソドックスなパターン、とも聞きましたが、ほんとに実行している人が、そんなにいるのかどうか・・・。お菓子屋さんから高級宝飾店まで、ハートを散らしたディスプレイで飾っていますが、クリスマス前の熱気のかけらもなく、歯が浮いたような感じさえします。
一番大切なのは、一緒に過ごすこと、ということなのかもしれません。

それでは、また。よい週末をお過ごしください。
Fumie