こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。
ヴェネツィアでは、昨日、今日とあいにくのお天気ですが、先週は半袖で日光浴ができるくらい暖かかったので、あちこちで桜も花を開いています。
ヴェネツィア生活
ヴェネツィアには、車がありません。
海の上に直接建てられたこの島では、車どころか、バイクも本当は自転車も禁止です。道はみな狭く、おまけに、無数の運河を渡るのに無数の橋がかかっているのですが、運河は今でも重要な水路、船が通るために橋は階段がついて高くなっています。
外から来ると、観光で来ると夢のような島、外部のイタリア人が住むには恐ろしく不便な島、でも、馴れてしまうとどこででも歩いていける、いや、歩いていかなければならない環境というのも、悪くないものです。
ここでは、観光客が重い荷物を運んでいたり、ベビーカーを押していたりして、橋の階段の前で躊躇したところで、基本的には誰も手伝ってはくれません。よぼよぼ歩きのご老人でも、自分でショッピングカートを引いて、一歩、一歩、階段を上り下りする、ベビーカーはそのまま一段一段、がったん、ごっとんと押し進める、それが当たり前で、手を貸していてはきりがないから、と思います。はじめのころはそれこそ、同じイタリア人でも北の人は冷たい、などと勝手に解釈していましたが、そういうことでもないようなのです。逆に、たまに見かねて、手伝いましょうか、などと声をかけたりすると、びっくりして猛烈に感謝されるか、あるいは、いえいえ、大丈夫、馴れてるから、などと丁寧に断られるのです。確かに、毎日のことですから、馴れないとやっていけないのでしょう。
そんなわけで、ここでは、食料品や日用品の買い物に行くのには、ショッピングカート持参が当たり前、もちろん、老いも若きも、です。ショッピングカートって、日本にも今でもあるのかどうか、その昔は家でも使っていた気がしますが・・・。ここのものは、かなり大きく、まず、ミネラルウォーターの2リットルのペットボトル6本パックが、底にソックリ入るのが基本です。縦は、そのパックを、もう1つ上に重ねても入るくらいでしょうか。
それにしても、どうしてこういうものは、ちっともおしゃれにならないのでしょう?イタリアンデザインに期待するのと、また対極にあるイタリアのあきらめ堂々スタイル、みたいな感じです。お上品な老婦人、きれいな若いママ、あるいはおしゃれな紳士でも、皆ショッピングカートは見事に似たり寄ったり、です。こういうのは、日本なら、ちょっと気のきいたデザインのものができれば、あっと言う間に普及するのではないかと思うのですが・・・。
実はこのショッピングカート、大学の中でも愛用されています。さすがに、カートで授業にやってくる学生はいませんが。ここでは、例えば、資料や本を持ち歩くには、それしか方法がないのです。はじめに、学科の事務員がカートを引いて出かけるのを見たときには、「ん?勤務中にまさか買い物?さすがイタリア・・・」などと眉をひそめたりしていたのですが、実は、別のところにある大学事務局に書類を運んでいるところだったらしいことに、しばらくして気がつきました。ヴェネツィア大学は、30以上もの建物に分かれて本島中に散らばっているので、書類のやりとりもさぞかし大変なことです。
いつも若い着こなしとグッチのリュックなどでおしゃれにやってくる先生でも、荷物があればやはりカート出勤。あるいは、サンタクロースのような風貌でも知られる名物教授が、よれよれのコートをはおり、これまたちょっとくたびれたカートを引いているのを目撃したときには、ちょっと、なんというのか・・・ここだけの話、ほとんど住所不定者のようでもありました。15-16世紀ヴェネツィア美術史の、大家なのですが。ヴェネツィアにお出での際、万が一そういう方を見かけたら、大学の教授かも、と思ってください。
ではまた。
Fumie
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