月曜日の風景


どんぐりの木も花盛り

お元気ですか。
急激に暖かくなって花が一斉に咲いたと思ったら、ここ数日は毎日太陽が出ているものの、ちょっと冷たい風が吹いたりしています。それでも空気がからっと乾いて、すっかり春になりました。

旅行者、ではなく・・・

毎週月曜日の朝、ヴェネツィア大学の校舎近辺は、巨大なスポーツバッグや、小型トランクをガラガラ引く学生であふれます。実はヴェネツィア大学とはいっても、生粋のヴェネツィア人、という学生は少なく、近郊の町出身の人がほとんど。公共交通の便がよいとはとてもいいきれないイタリアでは、例えば日本なら絶対に通勤・通学圏内、という距離でも、電車の乗り継ぎが悪くて軽く2時間以上かかったり、本数が少なくて夜8時以降は帰れないとかいうことが珍しくありません。それでも、どうしても帰れない日は友達の家に転がりこんだりしながら、頑張って通学している人もいますが、通いきれずに大学近辺に間借りする人もいます。といっても、そこはマザコンで知られるイタリア人、当然のことながら金曜日のお昼をすぎたあたりから実家にいそいそと帰宅します。洗濯物を全部荷物に詰め込んで。そんなわけで、金曜日の午後はヴェネツィアから各地に向かう電車は、みな大荷物をかかえた若者たちでいっぱいになります。そして月曜日の朝は、当然のことながら単身赴任してくる学生たちでいっぱいになる、というわけです。荷物の中は、下着までピッチリとアイロンがかかった一週間分の衣料やシーツのほか、おそらくマンマ(ママ)お手製のトマトソースの瓶も入っているに違いない・・・。
そして、この「頑張れば通学圏内」という人々のためにあるのが、Settimana corta(セッティマーナ・コルタ、短い一週間、という意味)という賃貸方式。一部屋、または一ベッドを、月曜日から金曜日までだけ貸す、というもので、つまり週末にはいないことが前提となっていて、洗濯機はあっても使えないとか、いくつか制限がある分、賃貸料が若干少なめ(のはず)で、ほんとに「間借り」という感じ。いわゆるホームステイ形式でこのパターンが多いようです。いくら毎週洗濯物は持って帰るとはいえ、毎回全荷物を引き上げるわけでもないし、大家さんにとって何のメリットがあるのか?と思うのですが、小銭稼ぎに部屋は貸したいけど、週末はゆっくり家族だけで過ごしたいとか?・・・または逆に自分の息子が帰ってくるとか?・・・いろいろ考えられますが、結局半分は自宅に帰る学生の場合、台所では朝コーヒーをいれるのと、料理をするといっても最大限パスタを茹でてお手製ソースをそのままかけて食べるくらい。面倒が少ない、ということなのでしょう。あえて深読みするとすれば、私のように、毎週末簡単に帰れる実家がない外国人は当然無理なわけで、うまく除外しているともいえます。まあ、さらにへりくつをこねれば、シチリア人やナポリ人でも毎週帰るというのは現実的には難しいし、こちらから見れば同じイタリア人とはいえ、ここの人からみたら十分「怪しい」人々もついでに除外されてるともいえるでしょう。
もっとも、大都市にすべてが集中する日本と違い、何事も地元志向、地元意識の強いイタリア、シチリア人がヴェネツィア大学に来るということはほとんどありえません。彼らにはパレルモ大学という、歴史に名を誇る大学があるので。ヴェネツィア大学にいるのは、ほとんどが同じヴェネト州出身者、だからこそ、「短一週間貸し」が繁盛するのかもしれません。
誤解のないようにいえば、この「短一週間貸し」は、別にヴェネツィアに限ったものではなく、おそらく全国の主要都市、大学があって、その近辺から学生が集まってくるような町ではどこでもある制度ではないかと思います。1週間、2週間などの「短期の賃貸」という意味ではありません、念のため。
それでは、また。
Fumie