受難あれこれ

 ヴェネツィアの空港(2002年7月開港当初)

こんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

次々と試験をこなすはずだったこの6月ですが、ちっともそう思ったようにいかず、苦しんでいます。ほんとうは、先日のメイルの後半を書くつもりだったのですが、本を読みながら思い出したことがあるので、先にそちらを。

入り鉄砲ならぬ・・・

パリというところは大好きで、次にどこに住みたいと聞かれたら真っ先に名を挙げたいくらい好きなのですが、パリのシャルル・ドゴール空港とはいまひとつ、相性が悪いようです。乗り継ぎの前の便が遅れて置いていかれたことが1回、機内預け荷物が乗り継ぎ先まで届かなかったことは、迎えに行った友人の例なども合わせ数回。そうでなくても、違うターミナルでの乗り継ぎがわかりにくくて不安だったり、市内行きのバス乗り場を求め、延々と歩きまわったり。
そして、確か以前から、手荷物のチェックは厳しかったように思うのですが、テロ事件の後、それが一段と厳しさを増しました。ナイフ類はともかくとして、はさみ類もすべて、それも、眉切りのもの、小型の爪切りまですべて没収されます。ほとんどマニアックなほど執拗にそれらを検出するため、荷物検査のところは、いつも長蛇の列になっていて、よく航空会社の地上職員の方が、お客様の呼び出しに駆けずり回っているのを見かけます。(乗り換え時間の短い方、要注意。)
先日、日本から戻ってきた際、絶対に何もないはずなのに、係員が「あなたは、はさみを持っている」と言うのです。その時は、成田で機内預け荷物が重量オーバーだと言われ、手荷物に大量の本を持ちこんだりしていて、なにしろ大きなバッグがぎゅうぎゅうだったのでうんざりして、「持っていませんが。」「はさみは持ちこめないので、出してください。」「そう言われても、持ってないものは出せないんですが。どうぞ、ご確認下さい。」と言ってバッグの口を開けても、その黒人男性職員は無言で見ているだけ。おそらく、荷物に触れて引っ掻き回したりするのは、後で訴えられたり、問題の元なのかもしれません。それとも、単にやる気がないだけなのか。「すみません、はさみを、モニターで見つけたのなら、どこにあるのか言って下さい。(もしかしたら、ほんとうにうっかり何か入っているかもしれないし・・・)」ところが、モニターを見つめる白人女性職員は、振り返りもしないのです。その時点で、こちらも相当頭に来ていましたが、なにしろ問題のはさみを取り出さないことには、そこを通過できないので、手荷物を一から全部そこに出して並べはじめました。イタリア語で、聞こえるように文句を言いながら・・・。すると、私の荷物の多さに嫌気がさしたのか、その黒人職員が「あなたは確かにはさみを持っているけど、小さいから今回はいい」。
何という言い方なのでしょうか。単に、マニュアル通りにしゃべっているだけかもしれません。これがフランス式なのかどうか私にはわかりません。英語という言語の問題なのか。それとも、英語という外国語でしゃべっているから、よりマニュアル化しているのかもしれません。1日に何十回、それを毎日やっていて、飽き飽きしているに違いありません。それにしても、何ていやなものの言い方だろう、と、ほんとうに後味の悪い思いをしました。
これが日本だったら、とは言いません。私は幸い一度もありませんが、日本では荷物を開けるときは徹底的に、もちろん触ってチェックする、と聞きます。イタリアではどうでしょうか。イタリアでは、1回のX線(?)通過でちょっと怪しいときは、もう一度通されて、それでたいていはパスしているように思います。バッグを開けさせることはめったにないし、もちろん爪切りも取り上げられません。万が一開けさせられたとして、何も見つからなかったときは、「機械の調子が悪くて」とか(それじゃ困りますが)、「XXが紛らわしかった」とか何とか、ともかく言い訳するのではないかと思います。「大変お手間をおかけしました、ご協力ありがとうございました!」と深々と頭を下げられることもなければ、「あなたははさみを持っている」とロボットの指令のように言われることもないでしょう。
ふだんは、どこへ行っても、言い訳ばかり聞かされるのにうんざりし、あるいは「いいからしゃべってないで仕事して」と頭の中で思ったりしているけれど、こんなときは、イタリアの仕事ぶりに、なんだか助けられる気分すらします。

ではまた
Fumie