ヴェネツィアの外国人


ヴェネツィアの元・映画館、日本語学科の校舎

こんにちは。今回は、ヴェネツィアに滞在する外国人について。
ヴェネツィア大学の付属の全部で10週間のイタリア語のコース、私は最初数週間通った後、ひどい風邪、その後はイスタンブール、そして試験、と結局ほとんど通えないまま、最後の一週間に突然復活し皆を驚かせ(あきれさせ?)、打ち上げ飲み会にのみ参加する、という日本人の評判をぐっと落とす行動をとってしまいました。

土着の民・放浪の民

イタリア人は、もともと「おらが国」根性が強い。自分の町、生まれ育った身の回りが一番で、基本的に外に出ない。それがいいところでもあるのだけど、時々、あまりの頑強な視野の狭さに正直疲れることがあります。その点、在住外国人は、理由はさまざまなであれ、少なくとも、自分の国とここと、2カ所は見ているわけで、いいといころ悪いところ、概してバランスを持った見方ができるし、そもそもいろんなタイプの人がいて、面白いのです。
今回のこのクラスでまず筆頭は、どこから見てもドイツ人なのに、自分の国はフランス、と宣言するカロリン。なぜ今イタリアにいるのかというと、秋からフランスで大学に通いたいのだけど、それまでドイツにはいたくないから、と言う。はあ。なんと終了試験で全校初の100点満点をとって先生を喜ばすという優秀ぶり。スペイン人のアナベルは、自国でドイツ語科を卒業、ドイツ留学中に知り合ったイタリア人の彼氏がヴェネツィアで建築大学に通っているので、とここに来て、美術館でアルバイトをしながらイタリア語を勉強。クロアチア人のラスターは、自国で大学助手の身分、奨学金で3カ月間来伊。ところが、思った成果が得られず、ドイツのほうがより自分の研究に有利ということがわかり、方向転換。一度クロアチアに帰り、秋には一カ月ミュンヘンで語学留学、そのための奨学金もすでに手配、その後、本業のためドイツに本格留学したい、という。
そして欧州内には、「エラスムス」という交換留学制度があって、欧州内の留学生はほとんどそれ、といってもいいくらい。まずドイツ人のセバスチャンは、そのエラスムスで一年間ヴェネツィア大学に留学、私と同じ授業をいくつかとっていたのだけど、「イタリアの大学制度の無駄や不都合にほとほといや気がさし」、自分の目指す分野はイギリスのほうがよいと判断、秋からはイギリスの大学に行くべく準備中。同じくエラスムスの、オーストリア人ユリアは、自国の大学でロシア語学科に所属。スラブ系以外で第二外国語が必修、というのでイタリア語を選択、5カ月間やはりヴェネツィア大学でイタリア文学の授業を受講。
ここで思うのは、皆、欧州内とはいえ、行動範囲が広いというか、自由だな、ということ。「エラスムス」をはじめとする留学制度の充実もあるし、そういう学生はほんとに質素な生活をしていることも確か。欧州共同体の政策の一つとして、各大学が開かれているという事情もあるでしょう。それにしても、語学という障害がまったくなく、いい意味で遊牧しているのです。この人たちは、上記の言語のほか英語は暗黙の了解であるわけで、イタリア語を習得しながらどんどん英語を忘れている私としては、いったい全体どうして???と不思議。仕事をしていた頃、5カ国語、8カ国語に堪能だ、という人を見るたび、一種の超人かと思っていたけど、こちらではほんとにそう珍しいことではないのでしょう。ヨーロッパ人全員が全員だとは思わないけど、いったいどのくらいの割合でこういう人たちがいるのでしょうか。そして、狭いサンプルではあるけれど、彼らの行動を見る限り、ではどこが学問の中心、とかいうことでもなく、やりたいことのあるところに行く。語学うんぬんというよりもこの交流性がほんとうにうらやましく思えます。ヨーロッパ、まだまだ強いな、という感じです。そういう意味では、この環境の中にいながら、語学的問題もあり、昔から「外国人が来るのは当たり前」、だけど自分はなかなか出ていかないイタリア人も残念ながらちょっと遅れをとっているかも・・・。
それでも、そういう「欧州内エリート」に限って、アジアその他には全く理解を示さず、平気で「中国も日本も区別がつかないけど、興味ないから」と堂々と言いきってしまう人種にも今まで見て来たので要注意。ところが、今回のクラス、やはりエラスムスでヴェネツィア大学留学中のスペイン人のグリエルモ、なんとロンドンで日本人の女の子と知り合った女の子を訪ねていき、四国・九州旅行をしたとのこと。そのうち日本語も勉強したいのだそうです。
世の中、いろんな人がいますね。
ではまた。
Fumie