こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。
8月15日、日本では終戦記念日のこの日、イタリアは「聖母被昇天」の祝日でした。といっても、暑い夏まっさかり、クリスマスや復活祭とは違いイタリアの中でも単なる休日としての認識がある程度、特別な行事はほとんどなさそう。特に今年は雨が降り続いたあとようやく太陽が戻ってきたため、失いかけた夏を取り戻すのに必死、みな一斉に海へ山へ、と繰り出したようです。おかげで町の中はほとんど無人、ミラノではなんと住民の80%以上が不在になったそうです。ヨーロッパの心臓
モルダウ、ドナウ、と美しい音楽でうたわれるこの中央ヨーロッパを流れるふたつの川が、自然の凶器となってヨーロッパ中を震え上がらせています。太陽が戻り夏を満喫しているイタリアをよそに、今度は中央ヨーロッパで大雨、ロシア、ドイツ、オーストリアなどで相次いで洪水をひきおこし、特に、数日前からのプラハ(チェコ共和国)、続いてドレスデン(ドイツ)での大洪水は、歴史的地区での直接の被害、その規模の大きさから、イタリアでも連日トップニュースとなっています。
プラハでは、モルダウ川の水位が一時は6m以上もあがり、建物の2階に届く高さにもなったとか。15日夕方現在驚くべき早さで水位が低下しており、プラハ自体は最大の危機は脱したとのことですが、今後まだチェコ国内の下流で被害が広がる恐れもあります。イタリア人にも人気のプラハ、美しい町並みとして知られる歴史的建造物が水をかぶったということだけではなく、その中には美術館も図書館もあり、文化遺産のこうむった被害だけでも計り知れないものがあります。チェコの首相から、すぐに伊首相に文化財回復の面での協力依頼もあったとのこと。イタリアでは、1966年にフィレンツェで大洪水が発生、人的のみならず文化面において歴史に残る大ダメージを受けています。ニュースも、その時と比較して伝えられていることが多いのですが、チェコからのSOSも、もちろんその経験を踏まえての依頼で、今後、財政面、技術面、いろいろな意味で協力していくことになるのでしょう。もちろん全体の被害はそれどころではなく、命を失った人、農業への影響、さらに、プラハから遠くない化学工場も完全に水に浸かったため工業汚染の可能性など、二次三次の被害も指摘されています。悲しかったのは、あまりに急速に水位が上昇したため、動物園の象を救出できなかったという映像。人間が優先だったのは仕方がないことなのでしょうけど・・・ほかにも、いくつかの動物が救いきれなかったのだそうです。ただ、救助活動、土嚢の積み上げなど、市民や学生が協力してよく町を守っていたのが印象的だった、とイタリア人観光客が口々に語っていました。
一方、各地で大小問わず被害の広がるドイツの中でも、一段と深い衝撃を与えているのが、モルダウ川の下流にあたるエルベ川の氾濫による、旧東ドイツのドレスデンの冠水。歴史的・文化的遺産の多いこの町は、第二次世界大戦終戦間際に米英連合軍による爆撃で多くが破壊され、東西ドイツ統一後ようやく修復されつつあったところへの、今回のダメージ。ずばり「北のフィレンツェ」の名を持つこのドレスデン、やはりイタリアにとって他人事ではないようです。
ふだん水の上に直接建っているようなヴェネツィアの風景を見ているし、ヴェネツィアでの冠水は生でも映像でも見なれてきたけれども、そうでない、ふつうの町、当たり前の地面の上の町が堤防も何も完全になくなって水に浸かって「ヴェネツィアのようになっている」風景というのはまったく目を疑う映像です。たまたま、私にとってプラハも、ドレスデンも、一度は絶対行かなくては思っている「憧れの町」であるだけにショックが激しく、ほんとうに信じられない思いです。
一方、ウィーン(オーストリア)、ブダペスト(ハンガリー)、ブラティスラヴァ(スロヴァキア)、ベオグラード(ユーゴスラヴィア)と4つの首都を含む9カ国を通り黒海に流れ込むドナウ川も、各地で既に被害が続出、まだまだ予断を許さない状況が続いているようです。
ヨーロッパのクォーレ(心臓)が水に沈む今年の夏、ほんとにどうなってしまったのでしょうか。
ではまた。
Fumie
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