| こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。 日が暮れるのがここのところ急に早くなって、ああ、そろそろ秋になるのかな、と感じます。そう思うと、まだ本当は強すぎる昼間の陽射しも何か名残惜しいようで、もっともっと陽にあたっておかなきゃ、という気になったりします。
街角の小宇宙
イタリアで暮らしていて、日々の散歩の楽しみの一つに、「Edicola(エディコラ)」があります。元々は、建物の外側の聖像などを納める壁がん、あるいは小礼拝堂のことですが、現代では、Edicolaといえば通常は街中の、新聞販売スタンドのこと。食べ物、飲み物などはないので、日本のキオスクとはまたちょっと違いますが、大きさはあんな感じだと思います。
エディコラでは、日刊紙の他、週刊、月刊などの各種雑誌を取り扱います。商慣習というのか、流通の違いなのでしょう、イタリアでは、原則的には本屋さんには新聞、雑誌の類はなく、逆にエディコラには書籍はありません。
なのですが、このエディコラの賑やかなこと。ファッション誌などには、タンクトップ、バッグなどがおまけでくっついていたりするのですが、それだけではありません。やはり活字離れが激しいイタリア、本紙を売るための苦肉の策なのか、あるいは本紙だけでは厳しいので、何でもいいから少しでも稼ぐ作戦なのか、各新聞社、雑誌社が競って、カップリング販売をします。例えば日刊紙なら毎週決まった曜日に、「世界の美術館シリーズ」だったり、「二十世紀の大作家シリーズ」、「名指揮者コンサート」など、本紙代にプラスアルファで、本、CD、DVDなどがついてくる、というわけです。こういうのは、たいていシリーズ第1回は完全に本紙代だけで無料、あるいは超サービス料金だったりするので、品切れ必須。どうしても欲しいものは、かなり気をつけて、朝エディコラに直行しなくてはなりません。
また、面白いのは、文字通り本末転倒、雑誌、つまり読物の部分が最初からおまけみたいなシリーズも、たくさんあること。「世界のクラシックカー」、「デミタス・カップ・シリーズ」など、いずれも高々数ユーロ、「コレクション」と宣伝文句にあるほどのものではないでしょうが、それでも遊び半分、集めてみたくなるものなのでしょう。この業界の大手、デアゴスティーニ社、スペインのデルプラド社は、既に日本にも進出しているとの記事を読んだことがあるので、ひょっとして既にご存知かもしれませんが。
チェスのコマや、プレゼピオ(キリスト誕生の場面の人形セット)など、一つ一つのパーツを集めていくもの。バービー・シリーズなんていうのもあり、何やら、バービー用の小物がついてくる模様。全国のチーズ・シリーズでは、さすがにチーズそのものというわけにはいきませんが、チーズ・カッターや、お皿など。日本ブームに乗じて、「日本」なんてシリーズもありました。簡単な、パンフレット程度の本紙に、それでも歴史、文化、料理などの紹介があって、毎回、和食器もどきがついていました。他社が「日本とアジアの料理」というシリーズで追随しているところを見ると、案外評判がよかったのでしょう。
CD, DVDも、新聞・雑誌とのカップリングのみならず、例えば、思い出の名画シリーズ、外国語講座といった風に、最初からそれがメインで出ているものもあります。そんなあれこれが、ところ狭しと、路上まできちんと並べられている様子は、見るだけでもなかなか楽しいものです。
DVDなどは、専門店で買うより安いということもあり、今週は何?と、ついチェックしてしまいます。でも、そんな何でも屋と化したエディコラで、一番気になるのは、やはり雑誌。その名もズバリ「Medioevo(中世)」「Rinascimento(ルネッサンス)」あるいは「Archeo(考古)」などは、全ページカラーで写真が豊富。学術誌ではなくあくまで一般向けなので比較的読みやすいのですが、案外新しい発表が載ったりすることもあります。あとは、学科の友人の中で定期購読している友人が多いのは「Arte(アート)」。定期購読にしてしまえば安いのですが、あっちもこっちも気になり、全部は買えないし、読めないし。なので、今月号は何の特集かな、なんて見て、買おうかどうしようか、迷ったりするのも楽しみの一つにしています。
イタリア旅行で、駅や空港のエディコラをのぞく時間があったら、「Bell’Italia(美しいイタリア)」もお勧めです。もちろん、全部イタリア語ですが・・・写真がほんとうに美しく、歴史的名所、自然、著名なところ、知られざる穴場、そしてもちろん料理やワイン、とバランスよく紹介されていて、見るだけでも楽しめるのではないでしょうか。同じ出版社で「Bell’Europa(美しいヨーロッパ)」というシリーズもあるのですが、なんとなく迫力不足。やはりイタリア人にはイタリアを紹介してもらうのが一番でしょう。
ではまた。
Fumie
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