ヴェネツィアで活躍する・2
白い、ヴェネツィアの朝
| こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。 朝7時、窓の外は雲とも霧ともいえない白い闇に包まれて、今日のお天気はいったいどうなのかさっぱりわからない・・・、いつのまにか、そんな季節になりました。同じ時間に、すでにしゃっきっとした青空を見ていたのは、つい最近のことのように思えます。 ずいぶん前になってしまいましたが、NHKの番組、「遠きにありて・・・」を見ていただいた方、ありがとうございました。私はまだ見ていませんが、ヴェネツィアを楽しんでいただけたのではないかと思います。その時に、ヴェネツィア在住の友人を他にも紹介するつもりで、すっかりそれっきりになっていましたので、今日はその続きを。 友人に、乾杯! 前回のメイルで紹介した松坂愛友美さんは、まだ20代。アイディアとエネルギーに満ちあふれ、私から見ると何かそれだけでも前途洋々。彼女は、彼女なりに十分悩んだり壁にぶち当たったりしているのは重々承知の上、それでもやはり、既に自分の道を歩みつつあるように見えるのが、少しうらやましい気がしてしまうのも事実です。 ガラスで知られるムラーノ島で、彫刻家のアシスタントをする、Tさん。アシスタントという肩書きではありますが、秘書業務から制作助手、あるいは国外での展覧会の手配や準備、と何でもこなします。それまでは弟子も何も一切とらず、全部自分で仕切っていたというその師匠が、その一部をいわば他人で、しかも外国人である彼女に託したのですから、その本人の能力や資質の高さがうかがえます。 あるいは美術史研究者のKさん。ヴェネツィア絵画の教授につき、ヴェネツィアに来て以来3年間、図書館に通い詰め、週末は家にこもり、と、まさに寝食も忘れるほど研究に没頭しています。そうやって仕上げた論文を、その教授主宰の学術雑誌で発表、現在は既に3本目の論文を仕上げたところだそうです。ずっと研究者で、けれども少し回り道をしたというKさんは、今まさに、それまでの蓄積をもとに、一気に花を開かせているのでしょう。図書館で文献をひもとけばひもとくほど、発表すべきことがみつかってしまう、そんな風に見えます。 TさんやKさん、私から見れば、既にそれぞれの道を極めつつある彼女たちも、実は皆、共通して口に出るのは、将来への不安、です。まだ若い、アーチストの愛友美さんにしてもそれは同じことです。誰もまだ、いわゆる安定した立場を掴んでいるわけではない。だからこそ、それがいいエネルギーとなっているのでしょうが、そう言ってしまうのは簡単で、同じような不安定な身分にいるだけに、その不安は実感としてとてもよくわかります。また、比較的、一般的には日本人には寛容と言ってもいいイタリア、ヴェネツィアですが、イタリア人と同等、あるいはそれを凌ぐ活躍をするとなるとまた別問題です。彼女たちの口からたまにぽろりと漏れるのは、言葉の壁、習慣の違いのみならず、私にはまだ見えない壁です。いやがらせや差別も、無いとは決して言いきれません。 皆はとても、紹介できないけれども、建築家、音楽家、歴史家あるいは調理師。それぞれのたまごから、既にその道を歩みはじめている人まで、女性のみならずもちろん男性も、ヴェネツィアで会う日本人は皆個性とパワーに満ちた人ばかりで、かっこいいのです。そういう人々に出会えただけでも、ヴェネツィアに来てよかった、と思います。 ひるがって、私はいったいどうなのか。まだまだ道が見えない、発展途上もいいところですが、そんな友人たちの、プラスのパワーを少しずつもらって、そのうちきっと何とかなるだろう、などと最近は思うことにしています。 |