| こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。
季節の変わり目と共に、春から夏、秋にかけて開いていた展覧会が終了、そして次々と新しい展覧会が始まっています。ティエポロ展、ターナー展などHPの展覧会ページも少し更新しました。
一つでもパニーニ、では二つなら?
パニーニという単語、日本でももうすっかりおなじみになっている言葉でしょうか。私がイタリアに来る前から日本ですでに使われていたので、上陸から少なくとも5年は経っているのではないかと思います。意味するところは、イタリア風ホット・サンド、長方形のパンに、ハムやチーズをはさんで、専用のホットプレートで挟んで焼いたもので、くっきりとその網目がついていなくてはいけないかもしれません。
イタリア語で、パンはパーネ(pane)。それに縮小辞をつけたのがパニーノ(panino)で、これは単純に小さいパン、という意味ですが、転じて、それに何かはさんだものもパニーノと呼びます。なので、焼いたもの、という意味は本来はなく、家庭で作った簡単なものもすべてパニーノ。「今日はパニーノ持ってきた」というと、お弁当持ってきたよ、ぐらいの意味になります。そして、パニーニ(panini)はその複数形。
例えばパン屋さんで、かなり体格のしっかりした奥様が、「そのパニーニ5つちょうだい」と言えば、ご家族のお食事用に、小さい、手のひらサイズのパンを5つ買っているところで、決してホットサンドを一度に5つ食べたい、と言っているのではありません。
新しいもの好きの日本へ、確かにイタリアならたいていどこでも食べることのできる、そのタイプのホット・サンドイッチを輸入したのは、なかなかいいアイディアだったと思います。同じホット・サンドでも、手間がかかってコツのいるクラブハウス・サンドなどと違って、材料と道具さえあれば、簡単でかつ誰でもそれなりにおいしくできるので、厨房にアルバイトを使う喫茶店やファーストフードなどにも、実は、うってつけなのです。
ところが、前から気になっていたのは、どうしてそうなってしまったのか、どうも日本では、一つでもパニーニ、と呼ぶようなのです。別に私は言語学者ではないし、外来語に目くじらを立てるほうではありません。それより、スパゲッティにパスタ、と特にイタリア語は日本語に馴染みやすいし、変に訳すよりは、そのままのほうがむしろ言葉として適切かも、と思うほうです。なのですが、ほっそりしたきれいな女性が、日本語で「私はパニーニ!」とか言っているのを聞くと、一瞬びっくりしてしまうのです。二つ以上食べるのかと思って・・・。
そして、それは日本だけの現象ではないことに気がつきました。紅茶の国だったはずのロンドンでも、今や繁華街では2軒に一軒がスターバックスや、似たようなカフェ・チェーン店という勢いになっているのは、もやは驚きに値しないのかもしれません。そこには、カフェ、カプチーノ(cappuccino)に並んで、当然パニーニ(panini)の文字が踊っています。そして、ありました、ありました、なんと、PANINIS!
もうすっかり英語となって、そして複数化されていたのでした。イタリア食文化万歳!でも、やはり英語風に複数形にされたCAPPUCCINOSと一緒に、なんだかそれはスペイン語っぽく聞えてしまうのが、ご愛嬌です。
それでは、また。
Fumie
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