ローマ秘宝発見 絵画館からデポジトまで、秘密なき美術館 

ローマ、ボルゲーゼ美術館

Galleria Borghese, Roma

期間不明

http://www.galleriaborghese.it/

イタリア語のデポジト(deposito)は、英語のdepositとほぼ同じで、預託とか、預金、保証金のほか、倉庫という意味を持つ。特に美術館用語でデポジトというと、美術館のいわゆる場所としての倉庫、保管庫のほかに、特にその中に保管されている作品まで含めて現していることが多い通常、美術館は所蔵品をすべて常設で展示しているわけではなく、たいていはそれ以上の数の作品を所有する。イタリアではしばしば、やれデポジトに多くのお宝が日の目を見ずに眠っている、と取りざたされることがあるが、たいていここにあるのは、常設で出すほどではない、1級半以下、2級、3級の作品であることが多い。または、修復中の作品。
常設の作品に比べると質の劣るデポジト、では何のためにあるのかというと、例えば、著名な画家の作品の精巧なコピー。コピーはあくまでコピーでしかないけれど、それがオリジナルがなくなっているとすると?ここ、ボルゲーゼのデポジトには、ラファエッロの「聖ジョヴァンニ」のコピーがある。原作は残っていない。
あるいは、弟子や、工房の作品。大傑作でなくとも、十分佳作ではある。それどころか、専門の美術史家にとっては新しい発見など、決定的な作品になることもあり得る。
これらデポジトの作品は、ずっと「たんすのこやし」なわけではない。よくあるのは、常設の作品が、特別展のために他の美術館などに貸し出されてしまっている場合。壁を、空欄にしておくのもいいけど、その代わりに、同じ工房や、同時代で同じテーマの作品などがデポジトから出されて、掛けられる。
また、展覧会のテーマによっては、デポジトの作品に直接、貸し出しの依頼が来ることもある。
例外的なのは、季節に合わせ大きく展示品も入れ替えるという、ジェノヴァのキヨッソーネ東洋美術館だろうか。夏に1度行っただけなのでわからないが、春夏秋冬の変化を愛でる日本の美術品は、毎年季節ごとにごっそり入れ替えているらしい。

ここ、ボルゲーゼ美術館のデポジトは、ギャラリーと同じ建物の、上階。毎日15,16時のみ、完全予約制でキューレターらしき男性にガイドされての見学。めずらしく、その案内が簡潔でわかりやすく、とてもよい。展示自体も、もっと倉庫的な殺伐としたところを想像していたら、この一般公開に合わせ整理したそうで、時代、派ごとに並べられているだけでなく、なんと作品1つ1つにタイトルや作者が記されていて、ごく普通の美術館並み。ここにあるものを、せっかくだから少しでも一般の人々に見てもらいたい。そういうさりげない意気込みが感じられて、好ましかった。
何か、有名な作品があるわけではない。だから、わざわざこれだけを見に行ったら、がっかりしてしまうかもしれない。が、美術館の裏側を覗いてみるつもりで行ってみるのも、悪くない。

Fumie

12 dicembre 2005