ジョルジョーネ展

ウィーン美術史博物館

Kunsthistorisches Museum, Vienna

2004年7月11日まで

http://www.khm.at/homeE/homeE.html

ここ最近、ウィーンとヴェネツィアの関係がいいらしい。そのおかげで実現したのがこのいわば双子の展覧会。今回このウィーンでの展覧会には、ヴェネツィアのアッカデミア美術館から門外不出の「嵐」と「老婆」の二点が持ちこまれた。ヴェネツィアのジョルジョーネ展(2003年11月〜04年2月、会期終了)に、ウィーンから「3人の哲学者」、「ラウラの肖像」の二点がやってきたのと交換というわけである。ヴェネツィア展でのポスター、カタログの表紙に「哲学者」が使われていたのと対照に、ウィーンではもちろん「嵐」、エールの交換という感じか。
ここウィーンでの展示は、上記4点のほかに、ワシントンから「聖家族」、ベルリン、フィレンツェの肖像画など。さらに同美術館の所蔵品から、ティッツィアーノ、デューラーなど、影響を与えた、あるいは与えられたとされる画家の作品が関連づけて展示されていたのも、さすがウィーンならでは、だろう。David Teniersによる「レオポルド・ウィリアム皇太子のコレクション」と、その絵の中に登場する絵画の本物を、いくつも同時に見せているのも面白い。時代の中の一画家としてのジョルジョーネ、コレクターの対象であるジョルジョーネらの作品、という社会的位置付けを見せた、というべきか。
ヴェネツィアでは、「カステルフランコの祭壇画」の修復完成の公開も兼ねていたため、これを中心に据え、会期はじめの4週間のみ、「ロッテルダムのデッサン」、そして上記4点と、全9作品をシンプルにじっくりと見せる構成であった。ジョルジョーネ個人の活動を追い、あくまでも、ミステリアスな画家というイメージのまま保っていたのがヴェネツィア展だったと言えるかもしれない。
運営面で言うと、ヴェネツィアでは、X線撮影による作品分析が、イタリア語のみであったのを非常に残念に思っていた。神秘の画家、とよばれるジョルジョーネの作品を読み解くには、なくてはならない部分であり、いい展覧会であっただけに、せめて英語が用意されていれば、と思った。ウィーンでは、さすがに全て英語対訳つき。カタログも当然のように英語版も用意されており、その辺りはやはりウィーンに軍配が上がるだろう。
ごたごた言うまでもなく、現存する自筆作品が20点あるかないか、と言われるジョルジョーネの作品が、10以上並ぶ様はやはり、壮観である。ともかく必見であることは間違いない。
Fumie