ルシアン・フロイド 展
ヴェネツィア、コレール美術館
Museo Correr, Venezia
2005年10月30日まで

http://www.museiciviciveneziani.it/frame.asp?musid=97&sezione=mostre
| モノトーンの背景に、浮かび上がる肖像。その肌は、大胆に色で分解、再構成されている。あたかも下の筋肉を剥き出しにしたかのようでもあり、そのタッチは粗い。絵の具も分厚く、塗りこめられている。 それにしても、似ている。いや、本人は知らないのだから、リアリステック、といえばいいのだろうか。直接知るわけではないにしても、ご本人の顔がぱっと浮かぶのは、英国のエリザベス女王くらいだ。が、それ以外も皆、いるいる、こういう人。そういう感じなのだ。 人間の顔は、そもそも左右対称でないのだ、と感じさせる。均等に整った顔は、ここには1つも存在しない。しわやしみ、ほくろ、あるいは手の甲に浮き出た血管。美しくないヌード。その表現は、残酷なほどだ。 その強烈な人間の表現と対照を成すのが、グレーに茶色といった無機質色の背景。その上に、血肉の通った、顔や、ヌードが浮かび上がる。着衣のものも、1つ2つの例外を除いて、グレーの背広、濃い色のブラウスなど、背景はあっても、室内の床やベッド、ほとんどはそのトーンで、同じ効果を出している。 そして、この一見ニュートラルな背景が、実は丹念に一筋ひとすじ、塗りこまれている。その静謐な筆遣いは、煮えたぎる肌色とは全く違うタッチで、そこだけ見ると、まるで全く違うタイプの画家による静物画を見ているようだ。 2004-2005年となっているから、1番最近の作品と言ってよいのだろう、”The Painter is Surprised by a Naked Admirer”(Acquavella Galleries, Inc.)と、2002年の自画像がまたとてもよかった。この画家は80歳にして、確立していたはずの背景に、新しい手法をとりはじめたらしい。 Fumie 28 luglio 2005 |