藁井 杉代
たのしみは思いもかけず夕食の
子等の手によりできている時
たのしみは口数少なき長男の
「行って来ます」の声を聞く時
たのしみは種から育てし朝顔の
大輪の花咲かせたる時
たのしみは仕事帰りの道端に
挨拶に来る猫と会う時
たのしみは早生まれなるわが年の
友より一年遅く来る時
たのしみは忘れておった懸賞の
当選賞品送られ来し時
たのしみはなかなか解けぬ謎々の
答えおもむろに開示する時
たのしみはきょう一日のお終いに
感謝しながら足洗う時
たのしみは朝のメダカの水槽を
覗きて稚魚を発見した時
たのしみは手をかけ育てし子供らの
確かな成長感じたる時
たのしみは明るい色のワンピース
意外に似合うを鏡に見る時
たのしみは何にも増してほっとして
一日の終わりの床につく時
たのしみは笑いを求め集い来し
友と笑顔を共有する時
たのしみは年一回の旅友達の
「また来年!」の笑顔見る時
たのしみは留守番していたわが夫の
解散場所に迎えに来る時
たのしみは一人の夜に稽古する
三味線の音のひびき佳き時
たのしみは期待に胸を膨らませ
弾く三味の音に艶のある時
たのしみは休みがちなるあの人の
無事の出勤確かめし時
たのしみは雑貨売り場で求め来し
ピアスを家で鏡に見る時
たのしみは喪中なるゆえ少数の
年賀葉書の当たりを見る時
たのしみは無理だと思ったあの曲の
撥の捌きの出来てきた時
たのしみは夜更けて檻の入り口に
うさぎのわれを待っている時
たのしみは諦めかけてたあの人の
ふとした優しさ見つけたる時
たのしみは移り気似たる娘等の
新たな恋の話聞くとき
たのしみは良いこと何も無い今日を
幸せかもと思い直す時
たのしみはラジオ聞きつつ夫といて
互いの趣味に没頭する時
たのしみは笑部屋なる掲示板に
受けを狙って歌作る時
たのしみは仕事を終えてほっとして
子等とテレビに笑い合う時
たのしみは分別持たない子等持ちて
これも試練と立ち向かうとき
たのしみは月の初めに送られ来る
短歌同人誌にわが歌詠む時
たのしみは健康づくりの講義して
即座に質問あれこれ来る時
たのしみはあれこれ構わず歌創り
それって解ると共感得し時
たのしみはバス待つ間も歌創り
寒さ・退屈感じない時
たのしみはそっと貯めてるへそくりの
預金残高確かめる時
たのしみは超えたこと無いハードルを
案外楽に飛び越えたとき
たのしみは頼んでおいたあの本の
到着まだかと待ちわびおる時
たのしみは朝な夕なにわれを待つ
ペットのうさぎ抱き上ぐる時
たのしみはみんなのつくる独楽吟の
自由な世界覗き見る時
たのしみは年を取るほど見えてくる
読めてくるもの有るを知る時
たのしみは元気が自慢のわが夫の
病みたる肩に薬塗る時
たのしみは大暴れせし喉風邪を
わがNKが破りたる時
たのしみは美容院から帰り来て
家族の反応確かむる時
たのしみは失せものなかなか出で来ずも
お札がひょっこり顔を出す時
たのしみは天童よしみを聞きながら
笑部屋にて歌創る時
たのしみは七年前には弾くことを
思いもせざりし楽器弾く時
たのしみは稽古仲間と集いおり
優しき笑顔に包まるる時
たのしみは知命の年を記念して
富士の登山に挑戦する時
たのしみはわが死にざまをあれこれと
都合よろしく考うる時
たのしみは「こんな」の中に秘められし
言葉の真意確かむる時
たのしみは幼なじみにメールして
近況伝うる返事来し時
たのしみは「こそあど言葉」に込められた
相手の真意確かむる時
たのしみは台風後(たいふうあと)の光浴び
これを短歌(うた)にと考える時
たのしみは数多(あまた)の障害ある中を
思いの儘に歩みゆく時
たのしみは「ホームページを見ました!」の
嬉しい声を思わず聞く時
たのしみは三月(みつき)に及ぶ歯科通院
もうじき終わると知らさるる時
たのしみは会社の庭のニガウリを
有り難がられて頂戴するとき
たのしみは鬼も笑うか来年に
皆して総会出席成る時
たのしみは三橋美智也を聴きながら
好きなページにアクセスする時
たのしみはきょうの一日(ひとひ)を顧みて
良かったことを見つけだす時
たのしみは凍って動かぬ掲示板
お湯注ぐごとく一首詠む時
たのしみは自分のためのプレゼント
五十歳を控えて考うる時
たのしみは誕生日へのあと二日
四十代を振り返るとき
たのしみはク〜の寝言を聞きながら
ネットに歌を投稿するとき
たのしみは短い時間のやりくりで
好きな読書に浸りいる時
たのしみは一息ついてせせらぎと
小鳥のさえずり 想像する時
たのしみはぽろり落とせし独楽吟を
くにさんうまく締めくくる時
たのしみは細々なれど続けいる
短歌で友の輪広がり行く時
たのしみは言葉通じぬ愛犬と
動物どうしで語り合う時
たのしみはノルマのごとく創りいる
独楽吟なにやら成功せし時
たのしみは「パレアナの青春」真似て独楽吟に
きょうの「良かった!」ひねり出す時
たのしみは短歌の一首出で来ずも
独楽吟ならば浮かび来る時
たのしみはエッセイ読ませていただいて
その人となり惹かれ行く時
たのしみは友のチャレンジする姿
見ては己に喝入るる時
たのしみは目の回るような生活の
中にひととき安らぎ得る時
たのしみは四苦八苦の中ひとかけら
キラリと光る「楽」を見る時
たのしみは貧しき中に少しだけ
ぜいたくをして花を買う時
たのしみは出張帰りに気にいりの
中華料理屋に憩う一時
たのしみは内緒で播きし花の種
会社の庭に芽吹くを見る時
たのしみは年経る毎に男性と
性を気にせず対し合う時
たのしみは書き込みたくなる独楽吟で
誰かがつられて書きくるる時
たのしみは子育て終えて生活を
自分好みに彩りゆく時
たのしみは風邪に体力奪われて
時経ち元気回復する時
たのしみは花金の日の夕つ方
家族の帰宅を居間に待つ時
たのしみは賀状のみなる付き合いに
終止符打って友と逢う時
たのしみは女六人旅先に
憂き世忘れて乾杯する時
たのしみは暇な時間に愛犬と
近くの丘から町並み見る時
たのしみはわれを頼れる愛犬の
漆黒の目に見つめらる時
たのしみはいろいろあっても母として
どーんと構えて子等思う時
たのしみは十年前には知らざりし
仲間とこうして独楽吟詠む時
たのしみはダイエット中の体重計
一人こっそり乗ってみる時
たのしみは日々の暮らしに追われても
好きな三味線稽古する時
たのしみはわれを頼りの亀・うさぎ・
めだか・犬等の世話をする時
たのしみはわたしの中に生きている
鬱なる病の静かなる時
たのしみはこっそり埋めた花の種
芽を出し皆を驚かす時
たのしみはだ〜れかさんが知恵絞り
創り出したるロゴを見るとき
たのしみはわらいの会で披露する
秘密の「芸」を考える時
たのしみは次から次と出で来たる
難問題を解いて行く時
たのしみは病の床の我が母と
子供の頃の話する時
たのしみは一歩一歩の積み重ね
確たる力になりしを知る時
たのしみは耳は痛めど他人の言う
忠告素直に反省せし時
たのしみは好きなあなたとこうやって
一つの部屋でテレビ見る時
たのしみは「笑い」総会報告を
「おう、そうかい!」と友に聞く時
たのしみは夜に眠れぬ母といて
昼に二人で居眠りする時
たのしみはわが血を吸ってぷっくりと
太りし憎き蚊しとめたる時
たのしみは母の痛みがどうすれば
軽くなるかを考える時
たのしみは自分本意の五十歳
続く痛みに叩かるる時
たのしみは総身のだるき母といて
窓に寄り来る鳩を見る時
たのしみは病室に母とNHK
連想ゲームに笑みもらう時
たのしみは寝坊のわれに今朝もまた
朝を教える母と居る時
たのしみは力失せゆくわが母の
喜ぶことを探しいる時
たのしみは病みて苦しむ母いつか
小康を得て退院する時
たのしみは嫌な相手と諦めて
新たな策を模索する時
たのしみは事の全てが悪しき夢
なりしと思う時の来る時
たのしみは母の病で色々と
病気についての知識得し時
たのしみは独楽吟をひねり出し
前向き思考志す時
たのしみは夜半に目を開け淋しがる
母に添いいて語り合う時
たのしみは惚け案じさす母なるに
家族の写真に笑み見する時
たのしみは独楽吟なぞひねりだし
己があほさを隠しいる時
サッチ
たのしみは学会終わった次の日に
独身気分で観光する時
たのしみはめったに笑わぬ病人が
思わぬ拍子に笑み見せる時
たのしみは今日のノルマを全部終え
すっきり気分で目を閉じるとき
たのしみは賀状に友の書きくれし
一筆を読み思い馳すとき
たのしみは落ち込んでいた友人が
前向き思考声に出す時
くに
たのしみはドアを開ければわがポメの
尻尾振り振り出迎へる時
たのしみは植皮術後のタイオーバー
とりて生着確かむる時
たのしみは集いの後に居酒屋で
友と語らい酒を酌む時
たのしみは笑いの種を蒔くうちに
笑いの花の咲き初むる時
たのしみは時ならぬ雪のその下に
春咲く花の芽吹き見し時
たのしみは柿の枯れ枝に突き刺したる
蜜柑を鳥がむさぼり食ふ時
たのしみは己が掲示板にアクセスし
新たな書き込み見つけたる時
たのしみは「独楽吟」風の短歌読み
あれやこれやとカキコするとき
たのしみは遠く聞こゆる三味の音に
破茶の心根伝はりし時
たのしみはウオーキングの道すがら
桜のトンネルくぐり行く時
たのしみは妻と外食したる後
満開の夜桜眺めいる時
まーくん
たのしみは心ゆるせる友人と
語らいながら酒を飲む時
たのしみは新しきこと教えられ
これだこれだと知識得た時
たのしみはたまの休みの昼下がり
うつらうつらと居眠りし時
たのしみは秋風のなか立ちどまり
ススキの穂先ゆれる見る時
あっこ
たのしみは嫌なこと忘れスタジオで
リズムに合わせ汗流す時
たのしみは患者様のふさぎ顔
話すうちにも笑顔になる時
たのしみは一日せわしく仕事して
帰路に茜の空あおぐ時
たのしみは弾む想いに沿うごとく
車窓に富士の雄姿見る時
たのしみはメール受信をクリックし
期待どおりに返事来る時
たのしみはいぬふぐりの野踏みながら
春うぐいすの初音きく時
たのしみはやっとうまれた空き時間
好みの本に吸い込まれる時
たのしみは照れ屋の夫が励ましの
誕生ケーキ持ち帰る時
たのしみは三月離れのつらさ超え
四月門出の夢つなぐ時
たのしみは思わぬ心の行き違い
解けてより増す絆知る時
たのしみはカーナビ新調もう安心
行き先いっぱい広がりし時
たのしみは遅れて届きしプレゼント
中に添えたる手紙読むとき
たのしみは梅雨の晴れ間を利用して
カラリと乾きし干し物寄す時
たのしみはやること一ぱい有るけれど
ひとまずよけとく花金の時
たのしみは子が親になり子育ての
苦労解かる日近づきし時
たのしみはあの世で一緒に暮らそうと
涅槃で待つ人見つけたるとき
たのしみは産まれし初孫覗き見て
誰それ似だと語り合うとき
たのしみはコリ固まった掲示板
皆の息吹で脈打ちし時
たのしみはやなこといいことみな忘れ
老人パワーの歩(ほ)の揃う時
たのしみは旅先の湯に浸り居て
時空の停止噛みしめるとき
たのしみは年の初めに新調の
ウールの着物で詣でしとき
たのしみは「誕生日だね、おめでとう」
言われて気付きときめきし時
たのしみは親しき友と語らいて
ふさぎし心軽くなる時
たのしみは転地のしごとに不安顔
はれて新たな決意見るとき
たのしみは昨年来の課題終え
肩の荷おろして春感じる時
たのしみは飾らず気負わずありのまま
笑いの仲間と歌交わす時
たのしみは久しぶりに再会の
エアロの友と汗流す時
たのしみは頭ガチガチ肩コリコリ
独楽吟でリラックスする時
たのしみはしがらみ離れて定年後
第二の人生プランする時
たのしみはひさかたぶりに盃かわし
それぞれの花咲くを知るとき
たのしみはここが子らのよりどころ
良いも悪しきも受け止めし時
たのしみは苦悶難問なんのその
独楽吟で勇気得る時
たのしみは湿気に暑さが加わるも
梅雨明け間近と感じたる時
たのしみはあまりに違う性格に
これも有りかと認め合う時
たのしみは一年ぶりに再会し
明るい笑顔で盃交わす時
たのしみは苦楽を共に噛みしめて
交わり深きまこと知る時
たのしみはそのひと時の煌きを
胸に受け止め焼付けしとき
かおり
たのしみはさみしい時にケータイを
のぞいてみるとメールきた時
たのしみはテストの終わった日曜日
朝から晩まで遊びまくる時
たのしみはお昼の時間はらぺこの
おなかをみたす手作り弁当
たのしみは修学旅行みんなでね
思い出つくろう長崎平戸
たのしみは早退をして浜労に
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