屋島パラグライダ−試験飛行の中止について

<現状>
  平成15年10月18日から延べ3日間の試験飛行が行われ、香川県支部から、ミサゴがパラグライダ−に 敏感に反応している点、着陸地点が営巣木に近い点、ミサゴが繁殖の準備行動に入っている点などをその場で指摘すると共に、飛行検討委員会の開催を要望しました。その結果、現在は試験飛行を一旦休止して着陸地点の変更や飛行コ−スの再検討等、今後の試験飛行について再考することとなっています。
        
     試験飛行のスタ−ト様子             空中飛行の様子




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<発端>
  香川県高松市の東側に位置する屋島という山(高さ290m長さ4km幅1.5km)は、源平の合戦場、四国八十八箇所の札所の在る所として、古くから高松市の代表的な観光地の一つです。しかし、最近の観光に対する価値観の変化から観光客が減少しており、高松市では観光の活性化を計ろうと努力しています。
 
 平成14年2月27日の地元新聞で、「高松市は屋島の山上に、地元観光協会などと協力してパラグライダ−施設を作る計画を進めており、今年度中にオ−プンさせる方針。」との内容記事が報道されました。

  パラグライダ−とは、パラシュ−ト状の滑空機で山上などから飛び出し上昇気流を利用して滑空するもので、条件が良ければかなり長時間飛行でき、高度的にも飛び出した山の倍近くの高度まで上昇できるようなものです。

  屋島は瀬戸内国立公園・鳥獣保護区に指定されており、多くの動植物が生息する自然環境の非常に豊かな地区です。
また、ハヤブサ(県国とも絶滅危惧種U類に指定)や ミサゴ(絶滅危惧種)の生息・繁殖が確認されています。
<中止要望>
  日本野鳥の会香川県支部では、後世にこの自然をいかに残していくかといった面からも、高松市にこの計画について再考していただきたいと思い、平成14年3月26日に飛行計画中止の要望書を高松市長宛に提出しました。

 高松市の対応は、高松市には自然保護の担当が存在しないので、開発担当課の観光課が窓口になりました。
香川県支部からは、要望書に沿って屋島が鳥獣保護区であること、ハヤブサ、ミサゴがどのような鳥なのか、どのくらい貴重な鳥なのか、また現在屋島での生息状況はどうなっているのかをポイントで示しながら説明し、それに対してパラグライダ−の飛行がいかに悪影響を与えるかを訴えました。

 これに対し高松市からは、パラグライダ−は屋島に関心を引く選択肢の一つである、大きな施設が不要で費用もかからない、自然に関しては離陸場所の木を切る程度であまり影響ないと考えていた、パラグライダ−をしている人の感想で、野鳥に対してはあまり影響はでないと考えていたとの説明を受けていた,などの
説明がありました。

 香川県支部は、離陸場所ではなく飛ぶ空間が野鳥に対して大きな影響を与えることを説明し、施設の建設計画中止を重ねて要望しました。
 また、県の自然保護室にも、前述の経緯を説明し、今後県の環境行政機関として存在感を示して欲しい旨要請しました。

   屋島南嶺全景

 屋島で繁殖しているミサゴ

<県の開発許可>
 その後,香川県支部はパラグライダ−以外の、自然を活用した利用促進を図り、屋島の活性化への一助との意味も込めて、屋島山上探鳥会を企画したり、11月には源平屋島活性化推進協議会の企画にも協力しました。

  しかし、香川県支部に何の説明もないまま自然公園等の開発許可申請が提出され、平成14年12月27日には屋島山上観光協会に対して県知事から自然公園法の瀬戸内海国立公園特別地区内における工作物の新築許可が出されました。(工作物の内容は,10m×20m程度の樹木の伐採のみです。)
 
<調査>
  香川県支部はあくまでも「飛行計画中止を要望している」立場ではありますが、許可が下りてしまった時点としては、その許可条件として付けられていた「パラグライダ−の飛行が猛禽類の生息に及ぼす影響について調査すること」が適正に行われる事を確認するために、調査に協力しつつ意見を述べることが妥当であると判断し、調査協力を了承し、現在も現況調査を実施中です。

 伐採前の飛び出し付近

 伐採後の飛び出し付近

  現在「屋島におけるパラグライダ−飛行検討委員会」が作られ、その委員会で調査が行われています。 同委員会は屋島山上観光協会が設置し、事務方は高松市が務めており、委員には県・市・地元・パラグライダ−・野鳥の会関係者が選任されています。野鳥の観察については実質香川県支部のメンバ−が実施しています。
 なお、日本野鳥の会本部にお願いして、ワシタカに詳しい本部の嘱託調査員の方を紹介していただき、その方に委員および調査の指導員として調査に加わって頂いております。