瞬く星を遮る月光もお邪魔虫な雲の欠片も無い、星空の世界。
天の川を挟んで彦星と織姫が一年に一・二度しか会えない逢瀬の夜、七夕。
夏も中盤から終盤へと差し掛かる八月七日に、あたしの地元では七夕様を始めるの。
つい昨日まではバケツをひっくり返したような大雨で『明日はやばいかも』とか
思っていたけど、天気の神様のおかげなのかイタズラ好きな『何か』の気まぐれ
なのかは解らないけど、こうして天の川を見られることが出来たの。
その日の朝あたしは、クラスメ−トと一緒に七夕様の飾り付けをやっていたの。
その時に友達の一人が嬉しそうな顔をして『ボーイフレンドと一緒にお願い事する!』
って張り切っちゃってなんだかすんごくうらやましく感じたんだよ。
そこで別の友達があたしに『そう言えばまー坊は誰かいい人でもいるのかなぁ?』
なんて言ってきたの。あたしは思わず売り言葉に買い言葉じゃあないけど『もちろん、
あたしより年上で背が高くって、小さな頃から……』ってにいちゃの事を言ったん
だけど…どうやら、その友達が勘違いして『ほほぉ…成る程ねぇ。まー坊ってファザコン でしたか』とパパの事だと思っちゃったの。
あたしは思わず大声で『違うの! あたしが好きなのは
にいちゃなの!!』
って、飾り付けしていた他の皆をビックリさせてしまう程叫んでしまったの……
そのとき、あたしは鏡で自分の顔を見たら夕日か熟したトマトみたいに顔の造形が
わからなくなるほどに真っ赤っかになっていたかも知れなかったの。
イラストその壱
そんな小さな事件からもう既に数時間が経って、あたしは家に戻ってジャージから
浴衣に着替えている途中、誰かがドアをノックする音が聞えたの。帯を締めている途中
だったから、片手で前を押さえながらドアを開けると、そこには…
『よ!』って言いながらにいちゃが声をかけてきたの。さっきの今だからあたしは
にいちゃの顔をまともに見られなくなっちゃって……、「にいちゃぁ…」と声を
搾り出すのがやっとだったの。それから少ししてからにいちゃが……
『……ゴ、ゴメン!! わ、わざとじゃないんだ…それはそうと今夜、一緒に七夕の
あれ、行くか? そっちに先約が無ければ…だけど』
と、あわててドアを閉め、その向こう側から謝りながらあたしを誘うにいちゃ。
最初はドアを閉める音やら何やらと少し呆気にとられていたけど、時間が経つに
つれて胸の中に何かが込み上がるのを感じながら『うん!』と一言。それも笑みを
その言葉に思いっきり詰め込んで……。
そしてやってきた七夕の夜。あたしはにいちゃと一緒に七夕の会場を歩いていたの。 でも……にいちゃの後をついて行ってからしばらく経つと、会場から流れるラジオの
音が何だか遠のいているように感じて……。そんな時、前を歩くにいちゃに
「にいちゃぁ…会場と正反対の方向なんだけど…」て言ったらその返事が……、
「いや……こっちの方角でいいんだ。会場の照明やラジオの音で台無しにしたくない
からな」そう言われて…ふと空を見上げれば、そこには満点の星達が光に照らされた
宝石箱かシャンデリアのようにきらきらと輝いていたの。
「こらこら……もう少しだぞ!」にいちゃの声がかかって、あたしは我に返った。
それから少し歩いていけば、少し大きな茂みにぶつかって中をくぐって眼に入った
のは、眼下に広がる真っ暗な闇に点在する家々の灯り。そしてさっき見上げた以上
に広く、そして数え切れないほど無数の星達がまるで、光の洪水か何かのように……
イラストその弐
…にいちゃ、ありがとうね。言葉に出来ないほど、うれしかったよ。
〜END〜
〜執筆者あとがき〜
ハイどーも〜『P'UNK〜EN〜CIEL』…もとい、ほろふる! でする。
今回は『ねがい星 かなえ星』て言うシスプリメの企画もの参加第二弾という事で、
書かせていただきました。
北海道をはじめとして、東北などの北国では八月七日に七夕をやるので
タイムリーかも、と思って書いてみましたが意外や意外と思い通りに書き上げ
られず何度自爆しそうになったことか。
でも、今となっては美しい思い出って、言う前にイラストも上げねば!!
〜050808〜文章完成
〜執筆者あとがき2〜
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